梅雨らしくない不気味な天候が続いている。２３日夜に東北から近畿にかけて、１時間に５０ミリ以上の豪雨が降ったかと思えば、２４日は一転して全国的に強い日差しが照りつける夏日となった。この極端な天気の移り変わりには注意が必要だ。専門家は「ゲリラ豪雨の連発を招き、災害リスクを拡大させる恐れがある」と警告。今週末も西日本を中心に猛烈な豪雨が予想されているだけに十分用心したい。

　バケツをひっくり返したような土砂降りだった。気象庁によると、千葉県佐倉市で２３日午後７時ごろまでの１時間に６８・５ミリの雨が降り、観測史上最多を更新。茨城県小美玉市で１時間に６０・５ミリ、同県龍ヶ崎市でも５０・０ミリを観測し、いずれも６月の史上最多を記録した。

　この大雨で長野県の一部地域で土砂災害の恐れが発生、計約１万世帯の約２万５０００人に一時避難勧告が出た。

　大雨をもたらしたのは、日本列島の上空約５５００メートルに流れ込んだ氷点下１２度以下の強い寒気だ。

　北極・南極などの極地で調査研究を行ってきた広島大の長沼毅准教授（生物海洋学）は、「地上と上空の温度差が大きければ大きいほど積乱雲が発生しやすくなり、集中豪雨が起きやすくなる。日本上空には寒気が入り込みやすい状況が続いており、今後も突然発生する大雨、つまりゲリラ豪雨の被害は続くだろう」と説明する。

　積乱雲は、ゲリラ豪雨に限らず、雹（ひょう）やあられ、落雷の危険も招く。竜巻を起こす上昇気流や、積乱雲から生じた下降気流で重く冷たい空気が地上にぶつかることで発生する「ダウンバースト」の危険も高まる。１５日には、群馬県伊勢崎市や前橋市で建物の屋根が破損するなどの突風被害が発生したが、これもダウンバーストの影響とみられている。

　そもそもなぜ、日本の上空に寒気が入り込みやすくなったのか。

　長沼氏は「北極の気候変動が影響している可能性がある。北極の地上付近の気温が上がり、上昇気流の発生頻度が高くなっている。その北極の寒気が、日本上空にまで入り込んでいるのではないか」と推察する。

　関東では、土砂降りの雨から一夜明けた２４日は一転して強い日差しが降り注ぎ、埼玉県熊谷市で７月中旬並みの３０・７度を記録した。

　実のところ、梅雨の晴れ間のこの暑さはかなり危険な状況という。

　「６月下旬の晴れ間は１年の中で最も日光の影響が強く、晴れ間がのぞけば地表の温度が上がりやすくなる。雨天時に降った雨で水を含んだ土から水蒸気が大量に発生し、上昇気流が生じやすくなるため、断続的なゲリラ豪雨に見舞われる危険がある」（長沼氏）

　気象庁によると、週末には梅雨前線が西から北上し、西日本を中心に激しい雨が降る所が出てくる見込み。ゲリラ豪雨の“ラッシュ”による土砂災害や道路の冠水に要警戒だ。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150625/dms1506251542017-n1.htm