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本当に火山は活発化している?「日本はこれが平熱」と専門家〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150616-00000005-sasahi-sctch
AERA 2015年6月22日号より抜粋
口永良部島が噴火し、箱根山や浅間山では火山活動が活発化している。火山は活動期に入ったと指摘されるが、本当にそうなのか。
火山のニュースが相次いでいる。最も活発な桜島は、5月30日に今年の爆発的噴火が600回に達した。1955年の観測開始以来、最速のペースだ。小笠原諸島の西之島の噴火は引き続き活発だし、阿蘇山も断続的に噴火を続ける。5月29日に爆発的な噴火をした口永良部(くちのえらぶ)島は、噴火警戒レベルが最高のレベル5(避難)で据え置かれ、全島民が島外に避難している。
しかし、火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長(東京大学名誉教授)は、「まだ、火山活動は活発化していない」と話す。火山大国・日本にとって特別な状況ではなく、これがいわば「平熱」というのだ。
目立った報道と火山の活動度の大きさは必ずしも比例しない。昨年噴火した長野・岐阜県境の御嶽山の噴火は、規模としては決して大きくはなかった。多くの登山者が犠牲となったのは、登山シーズンの晴れた土曜日の昼で、火口近くにいた人が多かったためだ。
人気観光地の箱根山は、大型連休中に火口周辺への立ち入りが規制される警戒レベル2に上がり、にぎやかな報道が続いたが、噴火には至っていない。今月11日にレベル2になった浅間山、4月に警戒度が上がった蔵王山のほか、吾妻山は昨年12月に、草津白根山は同6月に、それぞれレベル2になったが、いずれの火山も噴火していない。
活発化したと感じるのは、御嶽山の噴火で戦後最悪の犠牲者が出て火山に対する関心が高まり、大きく報道されるようになったことに加え、御嶽山がレベル1(平常)のまま噴火した「教訓」から、警戒呼びかけのハードルが下がったためといわれる。
今年が特別ではなく、活発な火山活動が注目された年は繰り返されてきた。2000年は、3月に有珠山が噴火、6月には三宅島が噴火して全島避難に至った。秋からは富士山でマグマの動きの関連とみられる低周波地震が急増、噴火に備えた災害予測図づくりなどの防災対策が進められることになり、大騒ぎとなった。
震災や原発事故の陰で大きく報道されなかったが、2011年の東日本大震災直後も動きはあった。国内の13火山の周辺で地震活動が活発化した。そのひとつが富士山。3月15日にマグニチュード(M)6.4の地震が起き、火山学者たちは、いよいよ噴火かと肝を冷やしたが、結局、噴火に至らず沈静化した。
火山でマグマが上昇して地震を繰り返しても、地上に至らない「噴火未遂」に終わることが多い。複数の火山で同時期に地震が増えても、歴史に記録されていない例が多いとみられる。今のような複数の火山が活発化した状態も、実は繰り返されていたのかもしれない。
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