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“日本沈没”の危機 地震学者らが警告「活断層近くにある伊方、川内、浜岡の再稼働は危ない」〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150615-00000003-sasahi-soci
週刊朝日 2015年6月19日号より抜粋
ここ最近、小松左京のSF小説『日本沈没』を彷彿とさせる地震、火山噴火が頻発している。5月下旬から6月上旬にかけて茨城県と北海道で震度5弱を記録。箱根山にある大涌谷で蒸気の噴き出しが続く中、5月29日には鹿児島県の口永良部島も爆発的噴火を突如、起こした。
連動するように翌30日にはマグニチュード(M)8.1の巨大地震が列島を襲った。観測史上初めて全国47都道府県で震度1以上(最大は5強)を記録。震源が小笠原諸島西方沖682キロと深かったため、大きな被害は出なかったが、揺れの大きさに衝撃が走った。地震学者で武蔵野学院大学の島村英紀特任教授が言う。
「東日本大震災が日本列島の地下にある基盤岩を大きく動かしてしまったのが、火山や地震活動の活発化に関係している可能性が高い。あの地震では牡鹿半島近くで5.3メートル、関東地方で30〜40センチ、木曽御嶽で20〜30センチほど地盤が一気に動いた」
その変動が今後数年間で、地震や火山に様々な影響を与えるという。東海大学地震予知研究センター長の長尾年恭氏も同様の意見だ。
「地震を鍋でお湯を沸かすことに例えれば、いまは沸騰寸前。地殻は連動しているため、どこか1カ所が大きく動くと周りに影響する。いつどこで地震や火山噴火が起きてもおかしくない」
日本列島が地震の活動期に入ったといえそうだ。長尾氏はさらに予想する。
「20世紀の高度経済成長期には幸運にも劇的に地震や火山噴火が少なかった。これから50年ぐらいは各地で頻繁に起きるだろう」
そんな危険な状態の中でも安倍政権は粛々と原発再稼働へ向けた準備を進めている。川内(鹿児島)、高浜(福井)原発に続き、5月20日には伊方原発3号機(愛媛)に事実上の合格証を与えた。四国電力の社員がこう意気込む。
「先日、うちの役員クラスが、『再稼働を急いでほしい』と政府筋から言われたと聞いた。口永良部島など噴火の影響で川内がスムーズにいかなくなる可能性があり、うちが一番最初にやれれば、大手柄になる」
だが、伊方、川内原発ともに巨大地震のリスクが潜んでいる。二つの原発の近くを日本最大の断層、中央構造線が通っているためだ。冒頭の小説『日本沈没』は、この中央構造線が千切れて西日本が水没するストーリーだが、地震活動が活発化する中で再稼働した原発を巨大地震が襲えば大惨事は避けられない。放射性物質が放出されれば、風向きによっては首都圏にまで達することになる。
建築研究所特別客員研究員の都司嘉宣氏が解説する。
「地震学者として最も動かしてほしくないのは、東海地震の想定震源域の中心にあり、津波にも弱い地形に立つ浜岡原発。2番目が伊方原発です。伊方の場合、北にわずか数キロほどの海中に中央構造線が東西に走っています。これまで活動はしていないと思われていましたが、2000年代になり1596年に四国西部から九州東部にかけて中央構造線を震源とするM7.7の巨大地震があったことがわかってきた。そのちょうど真ん中あたりに原発が位置する。中央構造線を震源とする地震が起きれば、伊方原発を10メートルを超える大津波が直撃する恐れがあります」
前回の地震から約400年が経っているため、次の大地震がいつ起きてもおかしくないという。活断層の真上近くに原発があるのにもかかわらず、伊方原発は耐震基準が低すぎると指摘するのは高知大学の岡村眞特任教授(地震地質学)だ。
「伊方原発設計時の耐震基準となる加速度はわずか473ガル。もともと巨大な活断層があると言われてきたのに、四電がそれを受け入れなかったためです。愛媛県知事の要請もあり、再稼働までに1千ガルへ引き上げるようですが、もともと低いレベルの設計を急激に強靱化するのは難しい。そもそも中央構造線で大地震が起きれば1千ガル以上は揺れるでしょう。国が四電に評価を求めた長さ480キロの断層が連動して動いたら、どのくらいの規模の揺れになるのか想像もできない。岩手・宮城内陸地震では4022ガルを記録しました。安全性を確保するなら、原子炉を建て替えるしか手はありません」
(桐島 瞬、今西憲之/本誌・小泉耕平)
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