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死海で浮かぶ観光客ら=4月28日、イスラエルのエン・ゲディ
死海が「死の危機」=水位低下、沿岸に陥没孔―観光産業にも影響か
http://news.ameba.jp/20150501-696/
時事通信 5月1日(金)15時52分配信
【エルサレム時事】世界で最も低い場所にあり、観光地としても有名な死海が「死の危機」に直面している。水位低下による消滅の懸念に加え、近年では沿岸に「シンクホール(陥没孔)」と呼ばれる穴が多数出現。地元住民らは対応策に頭を悩ませている。
海抜約マイナス430メートルに位置する死海は、イスラエル、ヨルダン川西岸地区、ヨルダンに囲まれた塩湖。北から流れるヨルダン川が主な水源だ。そのヨルダン川からイスラエルや近隣諸国が大量取水していることなどが原因で、死海は2050年までに干上がると言われてきた。
これに加えて最近では、急増するシンクホールが人々の頭痛の種となっている。死海周辺では1980年代に初めて発見され、今では約5000個に上るとみられている。
イスラエルの地質学者エリ・ラッツ氏は「シンクホールは死海の水位低下と関係している」と指摘する。水面の低下に伴い、地下水が地中の塩の層と接触。塩が溶けて地中に空洞が形成され、地表が何かの弾みで崩れると、大きな穴が突然出現するメカニズムという。
シンクホールが与える影響について、ラッツ氏は「人が落下する危険性に加え、経済的損失も大きい」と話す。同氏が暮らす死海沿岸の町エン・ゲディでは、住民の生計の糧であるナツメヤシ農園の7割以上が使えなくなった。既に一部のビーチや道路も安全上の理由で閉鎖を迫られ、観光客の足を遠のかせる原因となりかねない。
死海の水位低下を食い止めるため、紅海から水を引く計画が長年検討されてきた。今年2月には第1段階として、イスラエルとヨルダンがパイプライン建設などに関する合意文書に署名。だが、ラッツ氏は「全く違う質の水を混ぜれば多くの問題が起きる可能性がある」と計画に反対する。
現段階では、シンクホールの危険区域を設定する以外、有効な対策はないとされる。
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