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GW直前緊急特集 巨大地震を呼ぶ火山噴火「警戒地域」〜富士山、蔵王山、吾妻山、桜島、御嶽山ほか〜(1)
http://wjn.jp/article/detail/7388327/
週刊実話 2015年5月7日 特大号
「もし蔵王山が噴火するのであれば、御嶽山の時よりも多少大きな噴火になる可能性がある」
ゴールデンウイークを前に蔵王山の噴火の可能性について、さる火山学者がこのように話し、地元では緊張が一気に高まっている。噴火警戒レベルも、火口周辺で小規模な噴火の可能性がある“レベル2”に引き上げられ、宮城・蔵王町では不安の声が相次いでいる。
「最も困るのは、噴火して地元の温泉街にも噴石が飛んできたり、溶岩流に巻き込まれるのではないかという風評被害です。この時期は稼ぎ時なので、キャンセルが相次ぐとやっていけません」(地元ホテル経営者)
ただ、別のホテル従業員は「問い合わせが入ると、“大丈夫”とも言えない」と噴火の現実味に戸惑いを隠さない。
山形・宮城両県は、蔵王山での過去最大規模の噴火をもとに、ハザードマップを作成した。それによると、風向き次第で、約40キロ離れた仙台市でも降灰が予想される。
「仙台空港を発着する飛行機のほか、電車や新幹線の運行もストップすることが心配されます。降灰によって道路は非常に滑りやすくなり、電線が切れることもある。その点は、富士山が噴火した場合の横浜や東京の被害予想と同じです」(地元記者)
懸念はそれだけではない。蔵王山はいまだ雪化粧しているが、火口付近では、噴火して飛び出た噴石が雪を溶かし山の斜面を駆け下りる。発生した大量の水が土砂や岩石を巻き込みながら平野部まで到達する「融雪型火山泥流」となる可能性もあるという。
蔵王山の歴史をひもとくと、過去1000年間はおおむね100年に1回噴火したことがわかっている。
「前回噴火したのは1940年。これまでの噴火の歴史を見ると、もう少し先になりそうですが、東日本大震災の巨大地震の影響を加味しなければいけません」(サイエンスライター)
武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏も、巨大地震と大噴火の関連性を指摘する。
「1950年以降、M9クラスの地震は世界で7回起きている。そして、そのうち六つの地震では4年以内に近隣の複数の火山が噴火しているのです」
'52年のカムチャツカ地震(M9.0)では、翌日にカルピンスキ山が大噴火を起こし、その後、周辺の2つの火山が相次いで噴火。2年後の'54年にも一つの火山が噴火し、さらに'55年には、それまで1000年近く活動していなかったベズイミアニ山が大噴火を起こしている。
また、'57年にアラスカ州南西で発生したアリューシャン地震(M9.1)では、2日後にヴィゼヴェドフ山、1年半後にオクモク山が噴火した。
史上最大として知られる'60年のチリ地震(M9.5)、'64年のアラスカ地震(M9.2)、2004年のスマトラ地震(M9.1)、'10年のチリ中部地震(M8.8)でも、4年以内に周辺の火山が噴火。こうして見ても、3・11から4年経過した今、蔵王山が大爆発する可能性は極めて高いと言えるのだ。
「地元観光業者や気象庁は観光への影響を考えて控えめに言いますが、もし噴火すれば風評被害どころでは済まない深刻な実害が発生する。札幌へ飛ぶ航空機はあの真上を飛びます。火山灰を吸い込んでエンジンがストップしたケースは何度もあるのです」(同)
日本には海底も含め110の活火山がある。気象庁はそのうち「47の火山が100年以内に噴火する可能性がある」としている。3・11の最大の被災地、東北地方にあるのは、47座のうちの17座。中でも活動を活発化しているのが蔵王山、吾妻山なのだ。
「蔵王山の活動は抜きん出ており、昨年12月噴火警戒レベルが平常の1から2に引き上げられ、福島市が入山規制している。ところが、吾妻山の入山規制については、福島市は山頂付近の“大穴火口”から500メートルの範囲にまで縮小した。これは観光シーズンに合わせての措置です」(前出・地元記者)
長野県と岐阜県に跨る御嶽山の場合、当時は警戒レベル1だったにもかかわらず、昨年9月27日に突如として水蒸気噴火を起こし、死者・行方不明者62名を出した。観光客が大挙して押し寄せる今、何事もなければよいが…。
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GW直前緊急特集 巨大地震を呼ぶ火山噴火「警戒地域」〜富士山、蔵王山、吾妻山、桜島、御嶽山ほか〜(2)
http://wjn.jp/article/detail/0662187/
週刊実話 2015年5月7日 特大号
■三原山噴火は南関東地震の前兆
噴火の可能性があるのは何も東北の火山に限らない。現在警戒レベル1程度の火山でありながら、専門家の目から見れば噴火の恐れのある火山はある。
「浅間山、三原山、阿蘇、霧島などの火山は、本格的な噴火をした後、本来なら火口底が300メートルほど沈まなければならないのに、上空から見ると火口底が目視できる。これはつまり、太平洋プレートにマグマがギュッと押し上げられた状態が続いているということです。このように上空から確認できる以外にも、マグマが押し上げられた状態の火山は増えていると考えています」
こう語るのは、御嶽山の噴火を予測していた琉球大理学部名誉教授の木村政昭氏だ。
その中でもとりわけ気掛かりなのは、伊豆大島の三原山だという。
木村氏に続けてもらおう。
「三原山は日本の“ヘソ”と言えます。地震についても噴火についても、シグナルを出し続けている。そのメカニズムはこうです。まず三原山が大噴火し、その後、北海道、東北で地震が起きる。やがて三宅島などが噴火し、その後にやって来るのが、南関東での大地震なのです」
関東大地震(1923年)でもそうだった。大震災の起こる5年前に千島列島の一つの得撫島で、M8.6の巨大地震が発生。大震災の半年前には、三原山で噴火を記録している。
'53年の房総沖地震(M7.5)も同様だ。
「その前年には、M8.2の十勝沖地震があり、続けて三原山が小噴火を起こし、房総沖地震へと至るわけです」(同)
最近の三原山を見れば、'86年に大噴火し、'93年〜'94年にかけては北海道・東北でM7.8の巨大地震が2度、M8.1が1度発生している。そして、2011年には東日本大震災が発生。三原山噴火をめぐる巨大地震の勃発は、驚くほど一致しているのだ。
「三原山噴火はおおむね30年周期です。前回の大噴火が'86年ですから、今度は2016年前後。ということは、いつ噴火しても不思議はないということです。私のグループの研究者が目視したところ、火口底は上がったまま。つまり、噴火の準備ができていると見ていい。噴火の直前まで警戒レベル1ということもあり得ますから、ゴールデンウイークの登山は警戒レベルだけを頼りにしない方がいいでしょう」(同)
一方、九州の火山はどうか。雲仙普賢岳、阿蘇、霧島、桜島など、九州には活発に活動する火山が多い。
まずは霧島。国土地理院は火山周辺に4つのGPS観測点を設置し、山の変化を調査している。地下にマグマが蓄積されると山全体がわずかに隆起し、観測点間の距離が広がるためだ。
結果、2009年末からマグマ供給が急速に進み、えびの観測点と牧園観測点の距離が'11年1月までに約4センチ広がった。その後、噴火で大量のマグマを放出したため、2点の距離は約3センチ縮んでいる。ところが、昨年9月までに再び約3センチ広がった。これは、マグマ蓄積量が'11年の噴火直前の水準にまで達していることを表し、「新燃岳の再噴火はかなり近づいている」(前出・サイエンスライター)という。
また、過去に死者を伴う大噴火を起こしたこともある桜島も同じく脅威だ。
「桜島の場合、日本で今まで起きてきた100年に数回の大噴火が起きることも十分考えられる」
と地元の火山学者は言う。
実際、年明けからは「山体膨張」の変化が観測されている。気象庁は「地下のマグマが上昇しているため」と見ており、場合によっては火砕流を伴う大噴火を起こす可能性もあるとして、地元民は避難訓練も実施している。控えめに発表する気象庁が警告するほどなので、その可能性は高いともいえる。
「過去100年、日本の火山は非常に静かでした。しかし歴史をひもとくと、100年に4〜5回は大噴火を起こしている。桜島に限っていえば、1914年の大噴火が特筆に値するが、北海道駒ヶ岳の'29年の噴火も、それと並び20世紀に国内で起こった最大級の噴火です。これまで静かだったからといって、これからも静かだとは限らない。むしろ、これまでがレアケースだと思って備えるべきです」(前出・サイエンスライター)
油断できない噴火と巨大地震の連鎖。とはいえ噴火に関しては、注意しろと言われてもレジャーで登山に出掛けることもある。
防災ジャーナリストの渡辺実氏はこう注意を促す。
「たとえ警戒レベルが1であっても、まったく活動しないわけではないことを心得て侮らないことです。登山カードはしっかり書いて警察に提出してほしい。入山中はラジオ、携帯をオンにし、警報アラームが入ったらすぐにわかるようにしておくことが必要です」
自分の身は自分で守るしかない。
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