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直径500mの桜島「昭和火口」から勢いよく噴き上がるマグマ。光り輝く軌跡は何tもの高温状態の塊で、遠くからは見えない小型の噴石も無数に射出されている
川内原発が火砕流で大事故の戦慄。阿蘇と桜島に異常な火山活動が!
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150302-00044282-playboyz-soci
週プレNEWS 3月2日(月)6時0分配信
鹿児島の桜島と熊本の阿蘇山で活発な火山活動が続いている。特に桜島は地元の人も見たことがない異常噴火が継続中だ。
一体、何が起きているのか? 現地はただならぬ状況に緊張が走っている。
■桜島の火口から溶岩が溢れ出す?
桜島は昔から噴煙を吐き続けてきたため、鹿児島湾(錦江[きんこう]湾)に面した約100万人の住民は、よほどの大噴火でなければうろたえない。しかし、今回の噴火には不安の声が高まっているようだ。
年明けから桜島山麓で噴火シーンを取材している映像作家の吉留直人氏は、こう語る。
「私は鹿児島市生まれで毎日のように桜島を眺めて育ったので、今では噴煙の量や色具合で爆発のタイミングがある程度予想できるようになりました。ところが今回の噴火活動は、そんな経験則やカンが役に立たない、まったく別モノのような感じがするんです。
特に気になっているのが、1月4日の日没前に桜島の真上に現れた“虹色に輝く雲”。これは今まで見たことのない光景で、美しいというより、何かただならぬ緊急事態を告げているような不気味な印象を受けました」
この大気発光現象「彩雲」は、富士山の「宝永大噴火(1707年)」や「中国・四川大地震(2008年)」の直前にも目撃されたという。そして吉留氏の胸騒ぎどおり、この1月4日の夜を境に桜島の昭和火口では噴煙の高さが数kmにも達する爆発的噴火が頻発し始めた。
「もうひとつ、今までに聞いたことがない奇妙な“噴火音”が続いているのも気になります。以前に桜島が大噴火を起こしたときには、まず直前に突き上げるような地面の震動があり、“ドン!”という短い衝撃音が響く感じだったのに、今回は“ゴォォッ”“ザザザ〜”といった、まったく違う音がひっきりなしに響いてくるのです」(吉留氏)
本誌は2月7日、8日に桜島山麓を訪れたが、確かに嵐の海辺に大波が不規則に押し寄せるような“異音”が聞こえた。その響きは、8日のほうがはるかに大きく、同日18時頃には怒濤(どとう)のような轟音(ごうおん)が一度ピタリとやんでから、約30秒後に“ズドーン!”という大爆発音と衝撃波を伴うマグマの大花火が打ち上がった。
今年に入って70回目のこの爆発的噴火を一緒に現場で観察した、火山災害シミュレーション小説『死都日本』の著者で火山研究者の石黒耀(あきら)氏は次のように分析する。
「確かに奇妙な火山音ですが、これは桜島の地下に潜むマグマが火道を押し広げて上がってくる際の衝撃音ではなく、昭和火口の縁近くまで上昇したマグマの表面が非常に激しく“泡立っている”音だと思われます。
この音がいったんやんだときは、火道の中で細かい泡が大きな気泡にまとまり、それらが一気に炸裂(さくれつ)してマグマが飛び散るのでしょう。液状のマグマをシャワー状に高く噴き上げるのがストロンボリ式噴火ですが、今日(2月8日)のようにマグマが硬めで、火山弾が山腹に当たって砕け落ちる場合は“ブルカノ式噴火”でしょう」
直径500mの火口縁付近でグツグツと煮えたぎるセ氏1000℃のマグマ。その下のマグマだまりからは補給が続いているため近々、火口から溢(あふ)れ出すかも。この半世紀以上起きていなかった「溶岩流出」が、今回の桜島噴火の大きな特徴かもしれない。
■鹿児島湾は巨大な噴火口跡だった
1914年の桜島「大正噴火」では南東斜面から溶岩が流れ下り、全壊家屋120棟、死者58名の大惨事になった。次いで46年には東側の新火口(昭和火口)から溢れた溶岩流が大正噴火の溶岩では埋めきれなかった東側海峡を覆い尽くし、桜島と大隅半島は完全な陸続きになった。
昭和火口から出る溶岩は粘性が低く、短時間に広範囲へ流れる危険性が指摘されてきた。果たして、今回の“平成噴火”はどうなのか? 鹿児島県危機管理局防災課によると、
「火砕流と溶岩流出の範囲については、地形を細かく分析したハザードマップ(災害予想地図)が完成しているので、これを防災対策に活用します。
ただし1月半ばの専門家を交えた定例検討会では、大正・昭和大噴火ほどになる前に終息するのではないか、という見通しがまとまりました」
だが桜島直下3〜6kmにあるマグマだまりでは、昨年12月前半からマグマ蓄積量が急増している。その一部がついに山体の長い火道を突破して噴き出し始めた現状を見れば、火山活動は終息どころか、これからが本番ではないのか。
では、なぜ桜島のマグマだまりは増えているのか? 前出の石黒氏によると、
「マグマとは深さ地下100km以上で作られた、高圧高温のマントル物質や、プレート衝突の圧力で熱溶解した地殻物質の一部で、周りの岩石より比重が軽いので上昇する力が強い。それらが地殻内部のあちこちに集まったものがマグマだまりです。しかし、桜島の地下にあるマグマだまりでは、実は近くの別のマグマだまりからマグマが移動してきて蓄積されているのです」
その「別のマグマだまり」は、桜島北側の鹿児島湾地下10km付近に潜んでいる。桜島直下のマグマが噴火で消費され圧力が低下すると、この北側の深いマグマだまりからパイプ状のルートを通り、新たなマグマが追加されるのだという。
そしてこれが、今回のレポートの重要テーマ「カルデラ破局噴火」と関係してくる。この火山学用語を小説で世に広めた石黒氏は、こう説明する。
「この鹿児島湾北部のマグマだまりでは、2万2000年前頃にすさまじい規模の爆発的噴火(破局噴火)が起きました。桜島の北側はそれまで陸地でしたが、そこに直径約20kmの巨大な火口が現れ、マグマを出しきった後の円いクレーター状陥没地形に海水が入り込んだ。
これが今の鹿児島湾北部で、これを姶良(あいら)カルデラといいます。その姶良カルデラの外輪山部分が薩摩半島と大隅半島のつけ根にあたり、南側部分に破局噴火の名残をとどめているのが桜島です」(石黒氏)
では「カルデラ破局噴火」とは一体なんなのか?
●この続き、後編は明日配信予定!
(取材・文/有賀 訓 撮影/吉留直人)
■週刊プレイボーイ10号「九州を消滅させるほどの“破局噴火”が迫ってる?」より
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