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首都直下巨大地震の確率急上昇!これは絶対に来る! 東京46%横浜78%埼玉51%。いますぐ逃げたほうがいい
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41697
2015年01月11日(日) 週刊現代 :現代ビジネス
何気ないニュースであるかのように、さらっと発表された最新版の地震発生確率。だがそこには首都圏に忍び寄る巨大地震の恐怖が如実に反映されていた。いま日本が置かれている危機的状況の真実とは。
■より精密に計算した結果
東京・新宿の東京都庁の周辺で、今後、震度6弱以上の大地震が起こる確率が、これまでより20%上昇した—。
そんな驚くべき発表を、12月19日、政府の地震調査委員会が行った。
この日、地震調査委員会が公表したのは、「全国地震動予測地図」の最新改訂版。これは、東京大学地震研究所や防災科学技術研究所などの研究者約20人からなる地震調査委員会が、'95年の阪神・淡路大震災を警告できなかったという反省から、震災後10年の節目となる'05年以来、毎年改訂・公表してきた資料だ。
地図上に〈日本の各地域が、30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率〉がまとめられている。
そこで発表された、最新の地震の発生確率は、首都圏の各地を中心に、驚くべき上昇を見せていた。
たとえば、横浜市役所が78%(前回'13年版66%)、さいたま市役所が51%(同30%)、千葉市役所が73%(同67%)となっている。
冒頭に述べた東京都庁でも、46%(同26%)と、大幅増となった。
なぜ、こんなことになったのか。地震学が専門の武蔵野学院・島村英紀特任教授は、こう解説する。
「地震調査委員会はいくつかの理由をあげていますが、主に'14年までに判明した、新しい研究成果を盛り込んだためだとしています。
関東地方の地下では、太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレートという3つの地殻(プレート)が複雑に重なり合っている。一般的に、地殻が重なり合う部分では地震が多いわけですが、関東はそれが3枚重ねで、その真上に約3000万人が暮らしているという、世界でもまれな危険地帯です。
ところが、その3枚の地殻のうち、フィリピン海プレートの下に潜り込んでいる太平洋プレートの深さがどれくらいなのかが、これまではっきりわかっていなかった。おそらく30~40qだろうと思われていたのですが、それより10q浅く、20~30qだということがわかった。
それも、前回の想定よりも、首都圏が大きな揺れに見舞われる確率があがった理由のひとつです」
たしかに、今回の改訂では首都圏での地震の発生確率の上昇が際立っている。
たとえば、駿河湾から紀伊半島沖、四国沖を通って九州の南沖に至る巨大な地殻の割れ目、南海トラフでは、近い将来、M8クラスの地震が連動して発生するような巨大地震が起きる可能性が指摘されている。
その被害を受けるであろう地域の確率を見てみると、静岡66%(前回65%)、津62%(同65%)、和歌山60%(同56%)、徳島69%(同68%)、高知70%(同70%)と、全体的に高い数字ながらも前回想定からはほぼ横ばいの結果になった。
それだけに、やはり今回の結果は、はっきりと、
〈関東=首都圏に危険が迫っている〉
と感じさせるものとなった。島村氏はさらに、こうつづける。
「もうひとつ、関東の地震の発生確率を上昇させたのは、相模湾の海底を走る相模トラフ沿いの地震について得られた新しい知見です。
有名なのは1923(大正12)年の関東大震災。相模トラフの地震に関しては、記録も豊富なこの関東大震災を基準に考えられることが多かったのです。ところが東日本大震災をきっかけに、さらに古い地震についても詳細に見直すべきではないかということになった。
そこであらためて調査が進んだのが、関東大震災のひとつ前、1703年の元禄関東地震です。これが、調べれば調べるほど、関東大震災より大きな地震だったとわかってきた。
たとえば、元禄関東地震では、鎌倉の鶴岡八幡宮まで津波が到達したという記録がある。ここは海岸から内陸に2qも入ったところで、関東大震災ではそこまで津波は来ていません。他には小田原にも津波が来たという記録があるけれども、関東大震災では来ていない。
つまり、大正の地震よりもさらにひと回り大きな地震が、関東では起こっていた可能性がある。ならば、次に来る地震を、関東大震災程度と考えていては甘いのではないか、ということになってきた」
数字が跳ね上がっただけでも驚いてしまう、この地震の発生確率だが、その数字の意味をもう一歩、突き詰めて考えてみれば、背筋が凍るような感覚がこみあげてくる。
たとえば、横浜の78%という数字。これを、あなたはどう感じるだろうか。
想像してみてほしい。もしこれが、天気予報の降水確率だったら、どうか。
〈今日の午後、雨が降る確率は78%です〉
と言われたら、多くの人は「今日の午後は雨だな」と判断し、傘を持って出かける。それはごく常識的な行動と言っていい。ならば、
〈今後30年間のどこかの時点で、震度6弱以上の大地震が起こる確率は78%です〉
と言われた地域の人々は、「それなら、我々はこれから30年以内に大地震に遭遇するんだな」と判断するのが常識的だろう。何しろ平均寿命まで生きるとしても、現在50歳から下の世代は、ほぼ確実に巨大地震を経験することになる数字である。
しかも、最新の知見を盛り込み弾きだされた今回の想定は、これまでのものより精密な結果になっていると考えてよいはずだ。
■下町でも山の手でも火災が
これらの確率を見て勘違いしてはいけないのは、
「横浜は78%危ないらしいけど、東京は50%弱だから、関係ない」
などと、地域を切り離して考えすぎてしまうことだ。当然ながら、横浜で震度6弱以上の地震が発生したときには、東京も相応の揺れに襲われ、大きな被害が発生すると考えたほうがいい。端的に言えば、首都圏全体で巨大地震発生の危険が高まっているのだ。
では首都圏を巨大な直下型地震が襲ったら、何が起こるのか。都市防災が専門のまちづくり計画研究所所長、渡辺実氏はこう指摘する。
「新宿や渋谷に代表される首都圏の商業地域は、大通りを通っていると鉄筋コンクリートのビルが多く目について、一見、安全性が高いように思えます。しかし、これは大いなる錯覚です。
市街地でも、大きなビルが並んでいるのは、区画を囲む周辺部分だけ。表通りから一歩、区画のなかに足を踏み入れると、古い木造の店舗などが密集している場所が非常に多いのです。
首都直下での大地震が発生すると、こうした区画のなかにある木造の建物が倒壊し、やがて火が出て、生き埋めになった人を巻き込みながらあたりを焼き尽くすことにもなりかねない」
これだけ建物の密集した首都圏だ。専門家が恐ろしいと口を揃えるのは、地震による都市の破壊だけでなく、それにつづく大火災だ。
大正の関東大震災では、隅田川周辺の下町の地域などで、業火によって発生した上昇気流が巨大な竜巻のようになる「火災旋風」という現象が多数発生。灼熱の突風が人々を巻き上げながら焼き殺すという、地獄のような光景が広がったことが知られている。
だが、立命館大学歴史都市防災研究所の高橋学教授は、「この関東大震災のイメージにとらわれ過ぎてはいけない」と警鐘を鳴らす。
「首都圏の直下型地震というと、どうしても関東大震災の記憶から、『下町が危なくて、山の手のほうが安全』と思いがちです。
ところが、状況を冷静に分析してみると、関東大震災のとき山の手での死者が少なかったのは、当時はまだそこに住んでいる人自体が少なかったからなのです。
本当に、そこに建つ建物は安全なのか。地盤のデータを見てみると、かなり疑問視せざるを得ない。
大正時代に『山の手』と呼ばれていた、西側の武蔵野台地などとの境界にあたる崖地の地域には現在、家が多く建っている。いまは多くが暗渠になって見えませんが、本来は川沿いの谷地である場所にも、無数の木造家屋が建っています。
こうした場所では、'60年代頃に建てられた一戸建てが多く、子供が独立した高齢夫婦や独居のお年寄りが住んでいたりする。周囲の道は入り組んでいて狭い。
建物や塀が倒壊すればたちまち閉じ込められて、そのまま火災に巻き込まれる人が続出する可能性もある」
■逃げるなら北海道だ
心配されるのは、木造家屋の倒壊と、それによる大火災だけではない。老朽化したビルが根元から横倒しになり、幹線道路をふさぐ。湾岸地域の埋め立て地にあるコンビナートでは燃料タンクなどが地盤の崩壊で傾き、次々に爆発炎上。河川上の橋や高架橋などが崩落し、交通網は寸断、人々に逃げ場はない……。
さらに、前出の渡辺氏はこんな点も指摘する。
「建物やインフラといったハード面だけでなく、パニックやデマの発生など、ソフト面の問題もあります。とくに、いまや新宿のような首都圏の大都市で忘れてはならない要素が、外国人の存在です。日本に住んでいる人や観光客など、多数の人がいますが、出身国によっては、ごく小さな地震にも遭遇したことのない人もいる。新宿駅のような人ごみのなかでは、怯えきった彼らが、日本語もわからないなかでパニックに陥り、その恐怖が人々に伝染して、大混乱の引き金を引くことにもなりかねない」
私たち市民一人一人は、街の建物やインフラを強くできるわけではない。だが、こうしたソフト面での問題に向き合うことはできるはずだ、と渡辺氏は指摘する。
「たとえば、先ほど言ったビルに囲まれた市街地の場合。区画のなかの木造家屋が倒壊したら、周辺部のビルに勤めている人たちは、互いに助け合う救助部隊として行動する。『自分は素人だから手を出さないほうがいい』などと考えていては、助かる人も助からない。
同時多発しているケガ人や火災の対処に追われて、救急車や消防車はまず、絶対と言ってもいい確率で、あなたのもとには来ません。そういう前提で、なるべく多くの人命を助けることを考えたほうがいい。
ヘタでも何でも、外国語のできる人は、近くにいる外国人に状況をできるだけ説明する。誰かが恐慌状態に陥れば集団がパニックを起こし、命にかかわる混乱に至る可能性もあります。
とにかく自分にできることをすべてやるという覚悟でいなければ、首都直下での巨大地震は乗り切れない」
明日、明後日にも起こるかもしれない巨大地震。もはや首都圏に住んで安穏としていられるレベルではない。思い切って、いますぐ首都圏を逃げ出し、今回の想定で地震発生確率の低い北海道西部(札幌、函館0・9%、旭川0・4%)や山陰地方(松江2%、鳥取5%、山口4%)、九州(福岡、佐賀、熊本8%、長崎5%)に移住することを真剣に検討してもよい段階だろう。
では最後に、こうした大地震の前ぶれとなるかもしれない現象が起こるとすれば、何が考えられるのか。
地震学が専門で、前出の相模トラフと関東大震災の関係などを解明してきたという、琉球大学の木村政昭名誉教授は、こう話す。
「私は、伊豆大島の噴火と関東大震災の関係に注目しています。いま、小笠原諸島の端にある西之島が噴火をつづけていますが、それに連なる伊豆大島で火山活動が活発になると相模トラフの活動も活発になる傾向がある。今後、伊豆大島が噴火をするようなら、注意しなければならない」
次なる巨大地震は、確実に私たちに忍び寄っている。
「週刊現代」2015年1月3日・8日号より
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