02. 2014年11月20日 13:49:24
: nJF6kGWndY
実際に相補的な関係があるんだなhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/zisin1948/19/2/19_2_96/_pdf 深 発地震が地球上の活動帯 にのみお こるこ とは, よ くしられた ことであ る. その ような活動 帯の中には, 山脈 または島弧, 海溝, 重 力異常帯な どが平行にな らんでい る. なかで も火山帯 は, 地理的位置 が100〜250kmぐ らいの深 さの地震の震央帯 とほ ぼ一致 してい る. これは偶 然 の一致 ではなさそ うであ る. 何 か因果関係でむすびつ けられ るのか も しれ ない. そのよ うな 因果 関係の予 想の もとに, 深い地震 と火山 との分布 をさらによ くみ る と, む しろ火山の真下 に はその ような地震はお こつていない し, またマ ン トルの地震 の真上 には活 火山が ない. この論文は, マ ン トルにお こる地震 の震央 と火山 とが相補 的な分 布を しめす ことを図示 し, これが震源 と マ グマ発生 帯 との相補的な 分布 を意味す るに ちがいない ことを論 じた ものである. 火山の分布 とマ ン トルの地震 との関係 島弧地 域の マン トルにお こる地 震は, その震源 の分 布がかな り規則ただ しい. す なわち, 震 源 は海 溝か ら大陸側(か な らず しも大陸があ るとはかぎ らないが)へ かたむ きさが る1つ の面 のまわ りに分 布 してい る. この面 を ここでは便宜上震源面 とよぶ. 火山の分 布は, つぎの諸点で この震源面 と密接に関係 してい る. 1. 火山 と100〜250kmの 深 さ の地震 の震 央 とは, 地理 的にお な じ 地帯 に 分 布す る (Honda(1934); Wadati (1935)). 2. 火山をつ くるみな もとをなす 玄武岩 質 マグマの化学組成 と震源面 の深 さ とは, おな じパ ターンで地域的変化をす る(久 野(1956);勝 井(1959)). 3. 火山帯は, マン トル上部 の"と けやす い温 度"層 と震源面 とのま じわ りの ゾーンの真上 に分 布す る(杉 村(1963); (1966 or 1967)). 以上 の諸 点に関 しては, 別 の ところで くわ しくのべた(杉 村(1966)). ここに若 干の注釈 をつ け くわえてお こ う. 一般 につ ぎのよ うなこ とがい える. 火山のみな も とは マ グマに あるが, マ グマの化学組成 の多様性は, 玄武岩質本源 マグマか ら分別結晶作用や 地殻物質混成作用 によ り分化 して生 じた もの とされ てい る.そ の玄武岩質 マグマは1種 類では な く何種 もあつて, その多種性 は1種 類 の マグマよ り分化 した として 説 明す ることがで きな い.生 成 した ときの温度 ・圧力条件な どの ちがいに帰せ しめ るのが妥 当であ る. 玄武岩質 マグマが生成す るのは, 地球内部の温度分布 と構成物質か らかんがえて, マン トル 上部であ るとかんがえ られ る. と くに, 実際の温度がそ こを構 成す る物質の とけは じめ る温度 に きわめて近い ところにで きやすい とす るのが当然 であろ う. それ は深 さお よそ150〜250kmの範 囲にあ る(東 日本 火山帯 な どでは上限が120〜140kmと おもわれ るが)と 予想 され る. 上述で はこれ を"と けやすい温度"層 としるした. この層 の中をったわ る地震波の速度 は, 相 対的 に低い とお もわれ る. た だ し, 逆 に"低 速層"は かな らず しも"と けやすい温度"層 とは か ぎらない. (注釈 おわ り) そこで, 上 の3つ の関係か ら, 火 山のみな も とになつ てい る玄武岩質 マグマが震源面 にそ う あるプ ロセスに ともなつ て生成 され るので はないか, とい うか んがえが うまれ てくる. このか んが えを簡単 に図示す るとFig. 3の よ うになる.こ のかんが えは, 以下 の議論 の基礎 であ る. 島弧 をよこぎる変化 火山の下で は, 火山地震(Minakami(1960)の い うA型 地震 をふ くむ)は お こるけれ ど も, 一般 に地震 の発生 はまれであ る(水 上(1951), p. 32〜33; Yokoyama(1957), p. 99; Wadati & Takahashi (1965)). この ことは地殻にお こる地震 もふ くめてい えることであ る が, マ ソトルにお こる地 震だけにか ぎるとその傾向は もつ とい ちじるしくな る. Fig.4は, 日本 の下 のマ ソ トルの うち最上部(39km以 浅)を の ぞいた部分で, 31年 間 に発生 した地震 の数 をかきいれ たものであ る. Fig. 5は, Fig. 4の デ ータよ りさ らに59km以 浅 をの ぞい た ものについ て コンターであらわ したものであ る. ついで に火山帯 の フロン トを太線で書 きい れた. これ よ りただちにわか るよ うに, フロン トを境 に して火山帯側 と無 火山地域側 とでい ち じるしくマ ン トルの地震 の頻度 にちがいが あ り, 無 火山地域 にマ ン トル地震が多い. こ とに, 関東 平野の下 と遠 州灘沖 とのマ ン トル地震 の密集 帯のあいだに富士火山列のマ ン トル地震 欠除 帯がは しることは, 注 目すべ きことであ る. す なわち, マ グマが発生す るところには地震 がお こ りにくい とい うことが, いえそ うであ る.
深 さによ る変化 上述の こ とを別の面か ら表現す るこ ともで きる. もし150〜250kmの 深 さで玄武岩質 マグ マがで きるとし, また火山帯の下で マン トル地震が少ない ことが これに関係があ るとす るな ら ば, 150〜250kmの 深 さの地震 が他 の深 さのに くらべ て少 ない はず である. そのこ とを しめ した のがFig. 6左 側 で, これは 日本 附近 の31年 間の地震数 の百分率 を60kmよ り深い方 へ積算 していつ たものであ る(60km附 近 だけで30%以 上 に達す るため0〜20%の 部分 を 省略). これをみ ると, 深 さ150〜250kmで 地震数 の増加がお とろえる, す なわ ちその深 さ にはあま り地震がお こつ ていない こ とがわか る.そ のため積算 曲線は簡単な曲線ではな くなつ てい る. したがつ て, 仮 に150〜250kmの 地 震数 を適当なだけふやす とす れば, 積算 曲線 はFig. 6右 側の ように深 さだ けの簡単な関数で表現で きそ うな もの とな る. 以上 をいいか える な らば, 日本 におけ るマン トルの地震 の深 さ一頻度 関係 は, 第1に 深 さに依存す るある単純 な 変化 で近 似で き, 第2に"と けやすい温度"層 におけ る頻 度の低下 を考慮す ることに よつ て説 明で きるで あろ う. 次 に, これ を ヒス トグラムで表現す るとFig. 7の ようにな る. これ と同様 の図は, 勝又 (1955)・ 玉城(1964)も えがい てい る. ヒス トグラムは, 人為的に データをまとめて しまうか ら折 角のこまかい変化 を ころす ことにな るので, は じめは積 算 曲線をつ くつ てみたのであ る が, ヒス トグラムの方 が, わか りは よい.斜 線部 は, その面 積が 日本 附近 の31年 間の地震 の 数に, 点線部は, その面積が世界全体の29年 間のM≧7.0の 地震 の数 に比例す るよ うにえ がかれ てい る. これ をみ る と, 地震数が100〜250kmの 深 さで世界平均 よ りいち じるしく少 ないこ とが わか る. 100〜250kmと い うのは, Honda&Masatsuka(1952)が やや深発地震 を定 義 してい る範囲にひ としく, Honda&Masatsukaの 図には, それ らのお こる地域がち よ うど活火山分布地 域に一 致 してい ることが しめされてい る. さて, 世界平均 といつて も, もしそれが 日本 とおな じよ うに火山帯のあ る地 域の地 震ばか り を合算 してい るとす ると, Fig. 7に しめ した差 は, 日本 の特性 であつて, マグマ発生のせい であ るか どうかわか らない とい う反論 がでて くる. そ こで, 世 界全体 のマン トルの地 震数 を, 島弧地 区(火 山帯の あるところ, 主 として環太平洋地震帯)と 非島弧地 区(火 山帯のない とこ. ろ, 主 として地 中海-パ ミール高原-ビ ルマにか けての アジア地震帯)と にわけて合算 し てみた. その結果につい て, 深 さ75〜125kmの 間にお こつた地震数に対す る比 を表示す る と, Table 1の よ うになる. 非 島弧地域 に325km以 深 の地 震がほ とん どない こともいち じ るしい ことであ るが, ここでは, 島弧地域に175〜275kmの 深さの地震数 が相対的に明瞭に 少ない ことに注 目しよう. すなわち, Fig. 7に しめ した斜線部 と点線部 との差は単に 日本の 特性であ るわけでな く島弧一般の特性 であつて, これがマ グマ発生 と関連 してい る可能性 は否 定で きない 島弧 に平 行な変化 以上 にのべ た ような相補 的分布だけか らは, あたか も, 島弧 をよこぎつ て, 「フ ロン トの前面」: 地震 のみ, 「フ ロン トの背後の近 く」: 主 として火山, 「フ ロン トの背後 の遠 く」: 主 として地震, とい う簡単 なパ ターンにま とめて よい ような印象 をあたえ る.日 本 ではた しか にそれ に近い パ ターンになつてい る(Fig.5). しか し, 日本以外の島弧で は, む しろ島弧 に平行 なむ きに フ ロ ン トにそつて,「 背後 の近 く」 の地帯 に, マ ン トル地震 の多い地区 と火山の多い地区 とが交互 にあ らわれ ることが多い. た とえば南米太 平洋岸 には, つぎの ような地震 と火山 との逆相 関が あ る. Gutenberg & Richter (1954)の 地 図上 で, 南米太 平洋岸 の南緯10〜400の 地域を緯度2。 (約220km)毎 に15の 地区にわけ る. それ ぞれ の地区 にふ くまれ る, 深 さ70〜300kmの 地震数 と火山数 とをか ぞえる. 友 田(1954)の 簡便法 に よ り相 関係数 は-0.750を えた. これ は地震 と火山 との分 布が かな りの程度逆相関す るこ とを しめす.つ ぎに, まつた くおな じ地域 を緯 度5。(約550km)毎 の地区に わけて, おな じこ とをやつ てみ ると, 相関係数 は+0.495 とな り, 地 震の多い ところには火山が多い傾向を しめす.つ ま り, 地震 と火山 との存在 の排他 的傾向は, 200km程 度以下 の空間的ひろが りについてのみいえ ることで, それ以上 広 くなる と, む しろ共存す るとい うことがい える. 200km程 度のひ ろが りを単位 として, マン トルの地震の震央 と火山 とが フロン トの背後の 近 くの地帯 にそつ て交互 にあらわれ るこ とは, 南米 とか ぎらず他の地域で もみ られ る. 結 論 以上 の うちあ との3つ の節 にのべた ことをま とめ ると, つぎのよ うになる. 1. 日本 を例に とると, マン トルの地震 は火山前線 の前面 に多 く火山帯 の真下 に少 ない. 2. 島弧 と非島弧 とを くらべ てみ る と, 島弧では150〜250kmの 深 さに地震 のお こる割合 が小 さい. 3. 南米 を例に とると, 火山前線の背後で もマン トル地震の多い ところと火山の多い ところ とが交互に あらわれ る. そ して,「 火山の分布 とマン トルの地震 との関係」の節 の最後にのべた ような, 玄武岩質 マ グ マが震源面 にそ うあるプ ロセスに ともなつ て生成 され るとい うかんが え, に もとづけば, 上 の 3っ の関係は, 玄武岩質 マ グマが発生す るところは震源帯 の中にあるに もかかわ らず地震がおこ りに くい とい う風に要 約され る. この関係 を説 明す るには, マ ン トルの地震 と火山 とのエネルギー源 が おな じで, ただ物理条 件 のちが いで地震 になつ た り火山になつ た りす る, とい うメカニズ ムを想定すれ ばよい とお も われ る. その物理条件 として最 もあ りそ うなこ とはその場所 の温度 である. い うまでもな く, 高温で融点(厳 密 にいえば最初 の融点)に 近 けれ ばマグマが できるのであろ うし, 低温 な らば マグマはで きずに波動 を発生す る.た だこれ らに必要 なエ ネルギーが供給 されれ ばよい. それ は, 震源面 にそ うゾーンで供給 され るこ とはた しか であるが, それ以上 の ことは別 の機 会に論 ず る(Sugimura(1966 or 1967); 杉村 ・上 田(1966)).
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