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「信濃川地震帯」が危ない 御嶽山噴火後も続く危機の連鎖
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42004
2014.10.23 JBprees
今後数カ月の間に、長野県から新潟県にわたって存在する『信濃川地震帯』でマグニチュード6〜7クラス(注)の地震の発生が予測される」
(注)「マグニチュード」とは地震が発するエネルギーの大きさを対数で表した指標値である。マグニチュード6は原爆1発分のエネルギーに相当するが、マグニチュード7はその32倍、マグニチュード8はその1000倍(32×32)である。一方、マグニチュード5はマグニチュード6の3分の1、マグニチュード4はその1000分の1である。
プレートテクトニクスに代わる「熱移送説」で地震や火山の発生メカニズムを解明する角田史雄 埼玉大学名誉教授(「2020年前後に首都圏南部を直撃? 直下型地震襲来への備えを急げ」参照http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40113)から10月10日にいただいた「警告メール」である。
9月27に発生した御嶽山噴火の犠牲者に対する警察・消防・自衛隊による大規模な捜索活動は10月16日まで続いた。その人的被害は戦後最悪であった。
日本列島の南に目を転じると、鹿児島県・桜島は2012年3月以来、御嶽山と同様の入山規制が敷かれている。
東北の蔵王山の動向も気がかりである。蔵王山で火山性微動が観測され、仙台管区気象台が「火山活動の高まりが見られる」との情報を出したことを受け、山形・宮城両県は10月11日、県境にまたがる火口の「お釜」周辺やレストハウスなど10カ所に注意を促す看板を設置した。蔵王山では1940年、お釜の北東約1キロメートルに位置する丸山沢で小規模な水蒸気噴火が起きている。
そのうえ、「地震の巣」とも言える「信濃川地震帯」で大規模な直下型地震が起きたら大変なことになる。
■噴火地点や地震が起こる場所は変わらない
「地震と火山はペアで起こる」とする角田氏の「熱移送説」を改めて説明したい。
熱移送説の中で主役を務めるのは熱エネルギーの伝達である。地球の地核(特に外核)からスーパープルーム(高温の熱の通り道)を通って地球表層に運ばれた熱エネルギーが、先々で火山・地震活動を起こすという仮説である。
火山の場合、熱エネルギーが伝わると熱のたまり場が高温化し、そこにある岩石が溶けてマグマと火山ガスが生まれると、そのガス圧で噴火が起こる(マグマとは約1000度に溶けた地下の岩石のことであり、この高温溶融物が地表へ噴出したのが溶岩である)。地震の場合は、硬いが脆い岩層の地下岩盤が熱エネルギーによる膨張で割れることにより発生する。
こうした一連の火山・地震過程を「VE過程」と角田氏は名付けている。そして角田氏は、熱の伝達先であるVE過程のあちこちで噴火や地震が起きると想定している。
地球の内部構造は、環太平洋火山・地震帯が約10億年も不変であることが示すとおり、高温化する場所や岩盤が割れやすい箇所はほとんど変わらない。そのため、火山の噴火地点や地震が起こる場所は不動であると言っても過言ではない。
つまり、噴火と地震の発生場所がほぼ変わらず、発生の周期だけ変わるのであり、「噴火や地震のエネルギーの増減に基づいて周期をきちんと算定すれば、噴火や地震はいつ、どの辺で発生しそうかという見当はつけられる」というわけだ。
また、これまでの研究によれば、火山のマグマ溜まりと浅い地震の発生源が、地下10数キロメートルから数10キロメートルあたりで「同居」している可能性があるため、「噴火など目に見える火山の動きを見て、地震の気配を知る方法が見つかるかもしれない」という。角田氏は、このような地域特性を角田氏は「地震や火山の癖」と呼んでいる。
■熱エネルギーは100キロ/年の速さで移動する
地震や火山の噴火を引き起こす大本の熱エネルギーを供給するのがスーパープルームだ。スーパープルームは南太平洋と東アフリカの2カ所で確認されている。日本の地震や火山の噴火に関係あるのは、南太平洋(ニュージーランドからソロモン諸島にかけての海域)の方である。
南太平洋の地下3000キロメートルで生まれたスーパープルームは、西側に移動しインドネシアに到達すると3つのルートに分かれて北上する(熱は通りやすい割れ目の面に沿って移送され帯状のゾーンから外れないため地震や火山噴火活動がゾーン内に限られる、と角田氏は推測する)。
3つのルートとは、(1)スマトラ島から中国につながるルート(雲南省では今年に入り地震が相次いでいる。2008年5月に発生した四川大地震もこれに該当する)、(2)マリアナ諸島から日本につながるルート、(3)フィリピンから日本につながるルートを指す。
御嶽山の噴火のケースは、このうちのフィリピンから日本につながるルートに関連する。
角田氏は、「熱エネルギーは1年に約100キロメートルの速さで移動するので、例えば、インドネシアやフィリピンで地震や火山の噴火が起きた場合、その何年後に日本で地震や火山の噴火が起きるかがある程度予測できる」という。
その予測の根拠を詳しく見てみよう。
南太平洋のスーパープルームからインドネシアに達した熱エネルギーにより、2005年10月にスラウエシ島北部のソプタン火山で巨大噴火が発生した。その後、熱エネルギーは北上し、2012年2月にフィリピン中部のネグロス島東の沖合でマグニチュード6.9の地震、2013年3月に台湾中部でマグニチュード6.1の地震を次々と発生させた。
2013年後半に入ると熱エネルギーは日本に到達し、10月に鹿児島・宮崎県境の霧島火山帯(注)南縁の諏訪瀬火山で小規模噴火が発生、今年に入ると3月に西日本(伊予灘)でマグニチュード6.2の地震、5月に伊豆大島近海でマグニチュード6.0の地震がそれぞれ発生した。そして9月に御嶽山の火山噴火が起こった。
(注)2011年1月に新燃岳が噴火、今年の夏に火山性微動が観測されたことから10月に入り気象庁は火山の状況に関する情報を発表している。
■「信濃川地震帯」の危険性
この熱エネルギーが100キロメートル/年の速さでこのまま北上すれば、今後数カ月の間に信濃川地震帯に到達することになる。
信濃川地震帯の長さは約60キロメートル。明治時代の地震学者である大森房吉氏が、長野県から新潟県に流れる信濃川沿いで地震が多いことに注目し、「信濃川地震帯」と命名した。
直近では2011年3月12日(東日本大震災の翌日)に長野県北部地震が発生した(震源地は長野県北部と新潟県との県境付近。マグニチュード6.7の最大震に続いて、マグニチュード5以上の2回の余震が相次いで起きた)。角田氏は「東北地方から関東地方にかけて大地が大揺れしたため、本州の真ん中にある『フォッサマグナ』という地塊同士がくっつき合っているこの地帯で地震が発生した」と見る。
その他、新潟県中越沖地震(2007年7月、マグニチュード6.8)、新潟県中越地震(2004年10月、マグニチュード6.8)、日本海中部地震(1983年5月、マグニチュード7.7)、新潟地震(1964年6月、マグニチュード7.5)、善光寺地震(1847年5月、マグニチュード7.4)、三条地震(1828年12月、マグニチュード6.9)など大規模地震が頻発している。1965年に発生した松代群発地震も世界的に有名である(5年半の間に6万回以上の地震が起こった)。
他方、マリアナ諸島が日本につながるルートも心配である。
角田氏は「2017年または2021年に、伊豆・相模地域でかなり大規模な直下型地震が発生する」と既に予測しているが、このルートの線上にある小笠原諸島の西之島(東京の南約1000キロメートルに位置する)の海底火山の活動が相変わらず活発である。海底火山の噴火は2013年11月に始まったが、噴火から11カ月が経った現在でも溶岩が流出する勢いは衰えていない。10月16日に八丈島(東京の南約287キロメートルに位置する)東方沖でマグニチュード5.9の地震が発生した。
「北上する熱エネルギーが多ければ多いほど、懸念される直下型地震の規模が大きくなる」ことを角田氏は憂慮している。
■日本は縦揺れの対策が遅れている
角田氏によれば、現在火山と地震とのペア活動が最も活発な時期にあり、2017年前後に再び火山と地震のペアの活動が強まるという。
10月に入り2週続けて台風が日本列島を直撃するなど大規模自然災害が多発している。目を海外に転じると、西アフリカで感染拡大を続けている「エボラ出血熱」の日本襲来のリスクが日に日に高まっている。
あらゆる災害に取り囲まれつつある観が強い日本だが、やはり直下型地震への対応が最優先事項ではないだろうか。
角田氏が恐れているのは、阪神・淡路大震災の二の舞である。日本の地震防災は横揺れには強いものの、縦揺れの対策が遅れているからだ。
阪神高速道路は砂などが埋まった化石谷の上に建てられていたために直下型地震特有の「ドスン揺れ」でもろくも倒壊してしまった。首都圏南部も阪神・淡路地域と似た地盤でできており、地震の震源が浅いという共通点がある。相模地域を通る東名高速道路や東海道新幹線の備えは大丈夫だろうか。
2004年と2007年に「信濃川地震帯」地域(新潟県)で発生したマグニチュード6クラスの地震は「ドスン揺れ」の強さでは大地震クラスであったため、横揺れには大丈夫と言われた原子力発電所や新幹線などが被害を受けている。
国内外で次々に発生する事象に受動的に対応するだけではなく、地震や火山の発生メカニズム(癖)を見極めた上で、骨太の対策を取ることが焦眉の急である。
【角田教授の「熱移送説」についてはこちらも併せてお読みください】
・「直下型地震襲来への備えを急げ プレートテクトニクス理論に代わる地震発生メカニズムの最新理論とは」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40113
(2014.03.11、藤 和彦)
・「太陽活動の低下がもたらす地球の異変 大災害時代を「共助力」で乗り切れ」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41356
(2014.08.01、藤 和彦)
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