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「異常気象」から身を守るために(6) 富士山は噴火するのか?
http://takedanet.com/2014/10/post_f6d1.html
平成26年10月10日 武田邦彦(中部大学)
火山が噴火するには地下からマグマが上がってきて、それが少しずつ山の地下に溜まり、その圧力が高くなって、上の土を一気に吹き飛ばすぐらいの状態になるか、それとも、マグマの中に水が入って水蒸気になり、急激に圧力が上がった場合だ。
だから、火山の噴火は太平洋の真ん中(たとえばハワイ)のようにいつも地下からマグマが吹き出して、太平洋の底を動かしているようなところと、日本のようにプレートが潜り込むことで歪が起こり、それがもとでマグマの蓄積がおこる場合がある。
その一つが富士山で、歴史的にはっきりしているのは西暦781年に噴火があり、800年に延暦噴火があり、合計8回の噴火は1083年まで約300年続いた。それから永正噴火が1511年に起こるまで約400年休み、この時には計5回の噴火で1707年に終わっている。この間は200年だが、最後の宝永噴火が大規模だったので、それ以後の噴火は見られない。
このことから、大雑把に言えば、富士山は400年休んで、300年噴火するという周期なので、1700年から400年というと2100年だからそろそろとも言えるし、もともと宝永大噴火のあと、1854年の安政の地震まで地殻変動が続いたとすると、それから400年だから2250年ぐらいになる。つまり富士山の次の地震は2100年から2250年の間におこるとも言える。
しかし、100年ぐらいはどうにでもなるし、東北大地震と東海地震のこともあるので、21世紀のはじめに噴火してもおかしくない。
つまり、400年休止して、300年噴火が続くといっても、それは1回か2回のことで、かならずその周期で噴火するというにはデータが少なすぎる。すでに宝永大噴火から300年経っているので、爆発しても不思議ではなく、その爆発規模は宝永大噴火より小さいか、大きいかもわからない。小さければ小さいで理屈がつけられるし、大きければ大噴火の説明がされるだろう。
東北大震災を予知できなかったのは、三陸沖の地盤の固着状態から言って、大きなエネルギーが貯まる前に崩壊する(地震が起きる)と思われていたのに、現実には地盤の固着はかなり大きく、そのためにエネルギーが蓄積して、マグニチュード9になったと解釈されている。地震学も噴火学もその程度であることは御嶽山の噴火でよくわかっている。
ところで、なぜ「富士山が噴火する」と考えるのだろうか? それは「火山が噴火する」と決めてかかっていること、「大きな火山は大きな噴火をする」と思っていることによる。もちろん、火山の場合、地下の岩盤の構造やマグマの道がついているので、火山の方が噴火の確率が高いが、たとえば昭和新山のように昭和になって(1944年)畑の湧水の温度が上がり、続いて噴火が始まった。
畑が噴火して山になり、今では標高400メートルにもなっている。だから、火山だけが噴火するわけでもなく、また大きい山が大きな噴火をするということでもない。さらには「破局噴火」と言われるカルデラ噴火の場合には、かつて地下に大きなマグマだまりができて、それが大噴火を起こす。たとえば鹿児島湾(錦江湾)が有名でこのような大規模な噴火が起こると南九州一体が全滅する(大分でも噴煙が50センチも積もる)例がある。
世界で次に破局噴火が起こるとされているのはイエローストーン国立公園(アメリカ)で200万年前、120万年前、そして60万年前に噴火を起こし、そろそろではないかと言われている。ただ、地球の動きなので、「そろそろ」といっても1万年から10万年ぐらいはずれるから、警戒するといってもかなりむつかしく、「噴火したら運が悪いと思う」というぐらいだろう。
いずれにしても、日本は火山列島で地震の巣の上にある。だから、古来から、台風、豪雨、火山、地震、津波などは「日常的な災害」であり、特別なものではない。しかし、今から100年前の関東大震災が起きてから、本当は大規模な地震もあったのだが、その記憶が薄れて、「東海地震の予知」以来、災害は予知できると錯覚したところに現在の私たちの不安があると思う。
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