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「記録的」がもたらす災害(2) 橋が流れる原因・・・正しく伝えることが防災の基本
http://takedanet.com/2014/08/post_0ebe.html
平成26年8月20日 武田邦彦(中部大学)
2014年8月18日、お盆明けの月曜日に岐阜県高山に大雨があった。1時間に57ミリ、2日にわたって合計310ミリの雨だった。1時間に50ミリを超えると豪雨になるが、それでも57ミリというのは日本列島では「雨の季節、特に7月」には毎日のように降る量だ。そして2日に310ミリというのは、少し前の台風11号の時の高知県に1000ミリを超える雨が降ったことや、諫早豪雨、長崎豪雨といった豪雨ではいずれも1日1000ミリ程度の雨が降るので、決して「異常な気象」ということではない。
さらに奇妙なことが起こった。普段、水深1メートル以下で穏やかに流れている高山市の川の水位が5メートルから8メートルになった。それでもまだ川は深く氾濫までには至らなかった。
その時である。川の橋が突然として崩壊し、流出した。さいわいその橋に人も車も通っていなかったので人的被害はなかったが、ぞっとする結果だ。というのは、大雨で川が増水するというのは普通にあることで、特に日本のように山地が多い地形の場合、雨と川の増水は「日常茶飯事」の中に入る。普通、川が増水しても、橋が水でかぶるまでは通行できる。
この写真は台風の時の四日市市の川の状態だが、すでに川の水は橋ぎりぎりまで増水しているが、それでも通行止めにもならずに車が走っている。つまり、「記録的」な大雨が降ったら「橋が流出し、人が流される」というのは「日本の常識」ではない。日本の常識は「川が増水しても、特別なことがない限り、橋を通行できる間は橋は破壊しない」ということだ。
もし、「増水したら橋が流される」ということなら、1)どのぐらいまで増水したら、橋は破壊されるのか? 2)橋が危険になったら通行止めになるのか? がわかっていなければ危なくて橋を渡ることができない。
さらに加えて流出した橋は「耐震工事」をしたばかりで、工事直後である。私は以上の説明をする時間がなく、テレビで「手抜き工事だったかもしれない」とコメントした。つまり工事直後の橋が、単に川の増水だけで流出するということになると、それは「設計上の一大事」だからであるし、日本の橋梁の信頼性全体にかかわるゆゆしき事態だからだ。
橋梁の設計は「増水では崩壊しない」となっていて、だから増水だけで橋が通行止めになることもなく、みんなが避難したりすることができる。橋桁は上流から特別に大きな流木などが流れ、それが考えられない程のものでない限り、倒壊しないのだ。そして高山の場合も流木はなかった。
ということはこの事件は、「自然災害」ではなく、「手抜き工事」か「設計ミス」であることは確かである。仮に工事が「耐震工事」であっても、その時にコンクリートの劣化や設計の問題をチェックされるので、強度が不十分だったのだから、その修復が行われているはずだ。
まずは「なにも検討しないでお金(税金)があるから、工事だけをした」ということだろう。
このブログでは、「記録的」、「これまでに経験したことがない」、「観測史上初めて」といういい加減な言葉を気象庁が使うことの危険性(国民が犠牲になる)を指摘してきたが、この事件もいい加減な治水対策をそのまま示したものだが、マスコミは「異常」を繰り返している。
このままではまた犠牲者を出すだろう。正しい原因の追及とその対策がなければ災害を減らすことはできない。
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