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囲碁AI「AlphaGO」の次世代版は、自己対局で「最強」を超えた──その進化の本質と、グーグルの野望(WIRED)
http://www.asyura2.com/14/it12/msg/252.html
投稿者 怪傑 日時 2017 年 10 月 23 日 18:56:17: QV2XFHL13RGcs ifaMhg
 

囲碁AI「AlphaGO」の次世代版は、自己対局で「最強」を超えた──その進化の本質と、グーグルの野望
http://gansokaiketu.sakura.ne.jp/newsindex5-3-naiyou-1.htm#2017-10-23-%E5%9B%B2%E7%A2%81%EF%BC%A1%EF%BC%A9%E3%80%8C%EF%BD%81%EF%BD%8C%EF%BD%90%EF%BD%88%EF%BD%81%EF%BC%A7%EF%BC%AF%E3%80%8D%E3%81%AE%E6%AC%A1%E4%B8%96%E4%BB%A3%E3%81%AF%E3%80%81%E8%87%AA%E5%B7%B1%E5%AF%BE%E5%B1%80%E3%81%A7%E3%80%8C%E6%9C%80%E5%BC%B7%E3%80%8D%E3%82%92%E8%B6%85%E3%81%88%E3%81%9F%E3%80%80%E3%81%9D%E3%81%AE%E9%80%B2%E5%8C%96%E3%81%A8%E6%9C%AC%E8%B3%AA%E3%80%82%E3%82%B0%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%81%AE%E9%87%8E%E6%9C%9B


囲碁AI「AlphaGO」の次世代版は、自己対局で「最強」を超えた──その進化の本質と、グーグルの野望
https://wired.jp/2017/10/19/more-powerful-version-of-alphago/

引退”したかと思われていた、世界最強の囲碁棋士が帰ってきた。囲碁の人工知能(AI)である「AlphaGO」が、人間いらずで自己学習する「AlphaGO Zero」に進化したのだ。強さで旧ヴァージョンを圧倒的に上回る技術には、AIをさまざまな分野で役立てていこうというグーグルの親会社アルファベットの狙いが見え隠れする。

TEXT BY TOM SIMONITE

囲碁の世界チャンピオンとして知られていたイ・セドルは、囲碁の人工知能(AI)ソフトである「AlphaGo」に負けるという2016年の歴史的な試合の最中に、そこから立ち去った。そのコンピューターは、すでに確立された理論とは違った動きで彼を惑わせたのだ。これこそが、AlphaGoの神秘性とレヴェルの高さを象徴している。

そして新しいヴァージョンになり、よりパワフルになった「AlphaGo Zero」が、2017年10月18日(米国時間)に発表された。AlphaGo Zeroは、これまで以上に人々を驚かせることだろう。テストでは、イ・セドルに勝ったヴァージョンを100回も完膚なきまでに打ち負かし、2000回を超える対局のなかで独自のアイデアを生成し始めている。

AlphaGo Zeroでは機械に囲碁の手を教え込むうえで、人間に依存しない新しいアプローチを提示した。これはAlphaGOの生みの親であるDeepMindが収益を得ていくうえで役に立つ。なぜなら、昨年のDeepMindは9600万ポンド(約143億円)の損失を出したからだ。同社はグーグルの親会社、アルファベットの傘下にある。

この月曜の記者会見で、DeepMindのCEOであるデミス・ハサビスは、次のように語った。「AlphaGoの心臓部は、新薬発見やタンパク質の立体構造の理解といった科学的な問題にも応用可能です。なぜなら、こうした問題も囲碁と同様に、基本的な要素の組み合わせでできた膨大な数の選択肢を使って、数学の大海を航海する必要があるからです」
自己対局だけで進化するAI

昨年、AlphaGOは機械にとって歴史的な勝利を収めたが、そのオリジナルヴァージョンは多くの無名の人々の経験値のうえに成り立っている。なぜなら、インターネット上の囲碁コミュニティから得られた16万人分ものデータを精査することで、AlphaGoは囲碁について学んだからだ。勝利を収めたあとも、AlphaGoは100万回を超える自身との対局を行い、超人的な自己研鑽を続けている。

AlphaGo Zeroという名称は、囲碁をするにあたって人間の知識を一切必要とせず、自己対局のメカニズムだけでつくられていることから付けられた。ソフトウェアは最初にランダムな動きを複数回行う。これはどんなときに試合に勝ち、どんなときに負けるかを知るため、そして勝ちやすい手を打てるように調整するためにプログラミングされたものである。発売されたばかりの『Nature』誌の記事では、AlphaGo Zeroが2900万回もの自己対局を通じて、いかに地球上で最も手強い囲碁プレーヤーになったかが描かれている。

このプロジェクトでリーダーを務める研究員のデヴィッド・シルヴァーは「私たちは人間の知識という制約を取り除きました」と語る。この発言は、人間が提供するデータなしに学べるAIへの関心が高まっていることを意識したものだ。

DeepMindを含む複数の優秀な研究グループは、試行錯誤から学んで競争や戦いを指示するソフトウェアの開発に取り組んでいる。こうしたソフトウェアは、ロボットの制御など、人間がデータをあまりもたない、もしくはデータが存在しないような分野の難しい問題解決に役立つとみられている。
「美しい」と評されたシンプルな設計

AlphaGo Zeroは前のヴァージョンよりもスマートであると同時に、シンプルでもある。元々は2つの学習モジュールをもち、人工ニューラルネットワークとして知られる技術によって設計されていた。1つは試合中の碁石の配置などを評価し、もう1つは次の手を考えることに特化している。そして3つ目の検索型モジュールで、別の手を選んだ場合どうなるかをシミュレーションしていた。

DeepMindによると、AlphaGo Zeroはより強力なニュートラルネットワークを駆使して、たった1つのモジュールで状況の評価と次の手の決定ができる。そしてシンプルな検索モジュールによって、次の手を選ぶという。

アルバータ大学の教授であるマーティン・ミュラーは、AlphaGo Zeroの新しくシンプルな設計を「美しい」と評価した。しかし彼が言うには、複数の起こりうる結果を検索して最善を選び続けることは、現存するAI技術の限界を示しているという。

「わたしには、ここに複雑な問題の本質があるように思えます」と、ミュラーは語る。「わたしたちは、すべての答えを知っている機能を実装することはできません。論理的思考をもち、未来のことを視野に入れて考える必要があります」

コンピューターにとって、固定されたルールで構成されるボードゲームの先読みをすることは比較的簡単だ。だがエンジニアは、日常のありふれた乱雑な工程をコンピューターに理解させるようなことは、ほとんどできていない。例えば、イケアのソファを組み立てたり、休暇の計画を立てたりと多面的な課題に取り組むとき、人間は論理的思考と抽象化を使ってゴールまでの道筋を立てる。いまのところAIは、こうした作業を認知・実行できないのだ。
応用の可能性が見えてきた

だからといって、DeepMindの技術が役に立たないということではない。グーグルは、すでにそのアルゴリズムを用いてデータセンターの冷房コストを削減している。最近の決算では同社の最初の収益として4000万ポンド(約59億円)を計上していたが、それらはアルファベット傘下のさまざまなサーヴィスに対するものだった。

ハサビスによると、AlphaGo Zeroに使われている概念は、天候の予測や体内のタンパク質の理解などにも応用できる。グーグルを含む多くの企業が機械学習に力を入れているが、これによってさらに多くの広告収入を得られる可能性を示している。

AlphaGo Zeroは、これまで貢献してもらっていた囲碁のコミュニティにも“恩返し”をしてもいる。対局でイ・セドルを驚かせた手のように、前のヴァージョンから得られた新しいアイデアが囲碁の試合を活気づけているのだ。

初めてAlphaGoに負けたプロ棋士であるファン・フイは、現在はDeepMindで働いている。彼はAlphaGo Zeroが、世界で最も古いボードゲームのひとつである囲碁に、さらなるクリエイティヴィティを与えてくれるだろうと述べている。「AlphaGo Zeroの対局はとても人間らしいですが、一方で人間よりも自由にプレイしているように感じます。これは、わたしたち人間の知識という制約がないからだと思います」

彼はAlphaGo Zeroの序盤での強さを特に印象的であると感じ、その戦法に「zero move」という名前をつけている。「わたしたちはAlphaGoと試合をしていたときでさえ、こんな動きは見たことがないのです」

 

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コメント
 
1. 2017年10月24日 22:19:15 : rkJU4oOov6 : NsyCTgkVO_g[337]
AIのお話。  

これは判り安くて今の問題を提起して下さっている、面白いですよ。


武田鉄矢 今朝の三枚おろし『AI(人工知能)』1週間まとめ


https://www.youtube.com/watch?v=ZDhRMCHUKUU


この人の話本当に面白い。


2. 2018年8月07日 21:58:47 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1166]

#とは言え深層学習が無敵なわけでもない


 

AIは人間の脳を模倣すべきか?「深層学習」の限界をいかに克服するかを巡り、白熱する議論

AIは現在の開発手法で動物や人間並みの本当の「知能」を持つようになるのか? ILLUSTRATION:BRIAN STAUFFER
By
Christopher Mims
2018 年 8 月 7 日 15:30 JST
――筆者のクリストファー・ミムズはWSJハイテク担当コラムニスト
***
 自動運転車やロボット医療診断、10億人を超える中国市民の社会信用スコアなど、さまざまなものに人工知能(AI)が組み込まれつつある。いずれの完成も、現在はAIにできないことをいかにして可能にするかという議論にかかっている。かつては単に学界の懸案にすぎなかったものだが、今では数十億ドル相当の人材やインフラ、そして人類の未来に影響を及ぼす可能性を秘めている。

https://jp.wsj.com/articles/SB10604864507425704319504582465583140464936?mod=article_inline

 この議論を突きつめて行くと、現在のAIを開発する手法で十分なのかという疑問に行き着く。多少とも手を加え、強力なコンピューターの能力を活用すれば、現在われわれが持つテクノロジーは動物や人間並みの本当の「知能」を持つようになるのだろうか?
 この議論の一方の側にいるのが、「深層学習」の提唱者たちだ。この手法は、カナダ・トロント大学の研究者3人が2012年に画期的な論文を発表して以来、爆発的な勢いで普及してきた。深層学習だけがAIに対するアプローチではないものの、深層学習はこれまでのAIテクノロジーをはるかにしのぐ能力を発揮しているようだ。
 「深層学習」の「深層」とは、人工の神経回路網(ニューラルネットワーク)の神経細胞層の深さを指す。生物学的な神経と同じく、人工神経システムも神経細胞層が厚ければ厚いほど、より高度な学習が可能だ。
‘自然からインスピレーションを得る必要がある’
—ニューヨーク大学のゲーリー・マーカス教授
 人工ニューラルネットワークを理解するには、脳の神経細胞のように空間上の多数の点が互いに接続されている様子を想像してみるといいだろう。これら点同士の接続の強さを調整するには、脳の学習プロセスを大まかに模倣する。そうすることで神経配線図が作られ、望み通りの結果(画像を正確に判別するなど)につながる好ましい経路が形成される。
 今日の深層学習システムは、われわれの脳にはほど遠い。良くてもせいぜい網膜の最外部といったところだ。網膜の最外部では、わずか2〜3層の神経細胞によって最初の画像処理が行われる。
深層学習には限界
 そのような神経回路が、われわれの脳がこなす全てのタスクを実行できるようになる可能性はあまりなさそうだ。なぜなら、そうした神経回路は、本当の知性を持つ生物のように実世界のことを理解していないため、不安定で混乱しやすいからだ。研究者がたった1つの画素を変更しただけで、人気の画像認証アルゴリズムがだまされたケースもあった。
 深層学習は限界があるものの、画像や音声認識、機械翻訳の代表的なソフトウエアに活用され、囲碁で人間を打ち負かしている。またグーグルのカスタムAIチップやそうしたチップで稼働するAIクラウドサービス、エヌビディアの自動運転技術の開発もけん引している。
 AI分野の権威の1人で、グーグルや 百度(バイドゥ) のAI部門の責任者を務めていたアンドリュー・ング氏は、深層学習によってコンピューターは、平均的な人間が1秒以下で行う知的作業をできるようになるはずだと指摘する。当然ながら、コンピューターは人間よりも速くタスクをこなせるはずだ。
 だが一方で、これまでわれわれが約束されてきたようなことを達成するには深層学習では全く不十分だと主張する研究者たちもいる。AIには、例えば全てのホワイトカラー職を奪い、「完全に自動化されたぜいたくな共産主義」が支配する輝かしい未来へと導くことはできないかもしれないという。その1人が、米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズの元AI部門トップで現在はニューヨーク大学の教授を務めるゲーリー・マーカス氏だ。
 同氏は、「汎用(はんよう)知能」――論理的に考え、自ら学習し、実世界のメンタルモデルを構築できる能力を必要とする――を実現するには、今日のAIができる以上のことが必要になると指摘する。
 「(深層学習を)大いに活用できても、それが心の理論や抽象的な論理に適したツールだということにはならない」とマーカス氏は話す。
「本能的な」知識で補完
 AIをさらに進化させるには、「自然からインスピレーションを得る必要がある」という。つまり、別の種類の人工ニューラルネットワークを開発し、場合によっては、それに生物が生まれ持つ本能のような、あらかじめプログラムされた先天性の知識を加えるのだ。
 トロント大学のデービッド・デュベノー助教(機械学習)は、多くの研究者がこれに賛成し、深層学習システムの限界を克服するために、それを補完する取り組みを進めていると話す。精力的に研究が行われている分野の1つが、わずか数事例の現象からいかにして学習できるようにするかについてだ。深層学習システムでは通常、数百万件の事例が必要になる。
 研究者がもう1つ取り組んでいるのが、AIに実世界のメンタルモデルを構築する能力をいかにして持たせるかについてだ。人間の赤ん坊なら、1歳になるころにはそれができるようになっているものだ。例えば、深層学習システムに100万枚のスクールバスの画像を見せても、最初に逆さまの画像を見せられたときにはそれがスクールバスであることを認識できないかもしれない。しかし、バスが車輪や黄色いシャシーなどで構成されるというメンタルモデルを持ったAIであれば、逆さまの画像でもさほど問題なく認識できるはずだ。
 米人工知能学会(AAAI)の元会長であるトーマス・ディーターリッチ氏は、深層学習を別の種類のAIで補完するのは構わないが、深層学習や機械学習全般の魅力を見失わないことが重要だと話す。
 「機械学習に関する研究では、データと経験だけでコンピューターシステムにどれだけ学習させることができるかを見極めることが目標であり、それを手作業で構築することではない」とディーターリッチ氏は指摘する。問題は、AIの先天的な知識がお粗末なことではなく、人間がそもそもどのような先天的知識をAIにプログラムすればいいのかを分かっていないことにあるという。
 「原則としては、(未来のAIをどのように構築するかを理解するために)生物学に目を向ける必要はない」とデュベノー氏は指摘する。しかし、深層学習を軸にしたテクノロジーを引き継ぐ、より高度なシステムはまだ完成していないという。
 ニューヨーク大学のマーカス氏は、AIをより知的で堅固なものにする方法を見いだすまでは、AIに対して既存の人間の知識を大量に手作業でプログラムしていく必要があると話す。これはつまり、自動運転ソフトなどの人工知能システムに組み込まれた「知能」は、人工では全くないということだ。自動運転車は、実際の道路でできる限り長い距離を走らせてトレーニングする必要がある。それと同じように、AIを本当に有能なシステムにするには、当面は大量の理論をインプットする必要があり、その理論にはシステムを構築・テストするエンジニアの判断力が反映されているということだ。
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