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ビジネスモデルの破壊者たち
【第346回】 2015年5月28日 瀧口範子 [ジャーナリスト]
グーグルの「BUYボタン」は
ネットショップの敵?味方?
グーグルの検索結果に表示させる予定の「BUY」ボタンについて、波紋が広がる(画像はイメージで、本物のBUYボタンではありません) (c)Fotolia
グーグルが、モバイルの検索結果ページに「BUY(購入する)ボタン」を付け加えるという。
この「BUYボタン」は検索結果ページとは言え、すべての結果に加えられるのではなく、「スポンサーリンク」に伴うもの。スポンサーリンクというのは、検索結果ページの上部に表示される、検索キーワードに関連したネットショップなどの広告だ。だが、この計画が明らかになってから、評価は分かれている。
グーグルがオンラインショップを
始めるわけではない
「BUYボタン」のしくみはこうだ。
モバイルユーザーが「BUYボタン」をクリックすると、商品がさらに詳しくわかるようなページに誘導され、色やサイズなどを選択。最後に購入確認ボタンを押してショッピングを終える。
実際の商品はグーグルではなく、ネットショップから送付される。つまり、グーグルが特別にオンラインショップを運営したりするのではなく、グーグルはクリックスルーを提供するだけだ。ショップとの契約も、売上の一定率をマージンとして受け取るわけではなく、あくまでもクリックスルー料金の課金という。
スポンサーリンクが充実して、簡単に買物もできるようになるわけだから、ショップにとっても悪い話ではないはずだが、問題はこれが従来のようなクリックスルーにはなっていない点である。実は、ユーザーは買物を終えるまでグーグルのサイト上に留まる可能性があり、支払いもグーグルに登録されたクレジットカードで行う。つまり、クレジットカードのデータ、客のデータ、買物履歴などのデータはすべてグーグルが握ったままということだ。
ショップからの抵抗をかわすために、グーグルではユーザーが望めば、ショップのマーケティングに役立つよう、メールアドレス等を提供できるようにするという。グーグルが、ショップとユーザーとの間に立ちはだかっているような印象を和らげるためだ。
このしくみは、マーケットプレースの看板をグーグルが担い、その下にショップが連なっているというイメージだ。グーグルは、モバイル検索という従来のリソースを再利用することでそれを実現し、ひょっとするとモバイルショッピングで大きなシェアを獲得する可能性も出てきたと言っていいだろう。
グーグルはモバイルで
ショッピング事業に再挑戦する狙い
グーグルは、これまでも幾度となくオンラインショッピング関連のサービスを手がけてきたのだが、大きく成功したことがない。現在も、さまざまな商品を分類して、ショップ関連のサイトから商品を表示させる「グーグル・ショッピング」のしくみがあるものの、オンラインショップの雄アマゾンの足元にも及ばない状態だ。だがここへ来てグーグルは、モバイルショッピングに目を付けた気配が感じられる。
現在、グーグルの検索件数はアメリカと日本を含む10ヵ国で、モバイルによるものがデスクトップを超えたという。つまり、人々はモバイルを検索の道具として使うようになっているのだ。その一方で、ショッピングサイトへやってくるのはモバイル経由が41%であるにも関わらず、実際のオンラインコマースの売上の中でモバイルが占めるのは26%に過ぎない(マーケティング・ランド調べ)。
何が起こっているかと言うと、モバイルで買物をしようとしても、ショッピングサイトがモバイル対応になっておらず、使いにくいなどの理由で、ユーザーはデスクトップへ戻っているのだ。あるいは、使いにくいモバイルサイトは避けて、アマゾンなどすでにクレジットカードを登録してアカウントを持つショッピングサイトへ行ってしまう。
今回のグーグルのモバイル、スポンサーリンクの「BUYボタン」は、そうして取り逃がしていた客を拾い上げるためのものでもあるだろう。
ただし、グーグルはユーチューブのビデオ広告中にも「BUYボタン」を組み込む計画。ひょっとするとこれは、同社のリソースのいたるところに「BUYボタン」を埋め込もうとする手始めなのかもしれない。
http://diamond.jp/articles/-/72295
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