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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ
“生物学的製剤”続々登場で「喘息治療」はガラリと変わる
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/177948
2016年3月25日 日刊ゲンダイ
季節の変わり目に増える「気管支喘息」(以下、喘息)の発作による死亡者は減少しているが、「適切な治療が徹底されればもっと減る」と専門家は指摘する。また、今後は喘息の治療がより大きく変わるだろうという指摘もある。昭和大学病院呼吸器・アレルギー内科・相良博典教授に聞いた。
喘息は、喉がゼーゼーヒューヒューする喘鳴や咳、痰、息苦しさなどの症状をきたす病気だ。アレルギーで発症する「アトピー型」と、アレルギーが関与しない「非アトピー型」がある。
喘息治療は、まず1990年代に大きく変化した。従来の考えは「喘息の気道は敏感で狭くなっているので、その気道を拡張させる気管支拡張薬が中心の治療」だった。それが「狭くなる気道は慢性的に炎症が起こって過敏性が増す。だから、原因となる炎症を抑える治療を中心に行い、放置されていた結果で起こっていた気道の過敏性を抑える」と変わったのだ。
「喘息患者は症状がなくても炎症があり、気道を傷つけています。そこで、炎症を抑える『吸入ステロイド』をはじめとする長期管理薬を日頃から使用し、炎症を緩和して発作を起こらなくする。発作が起こった時には、『短時間作用型β2刺激薬』を使います。長期管理薬と発作治療薬を使い分けるようになり、喘息発作による死亡者が激減しました」
次の大きな変化は、2009年。日本で初めての生物学的製剤「オマリズマブ」が登場した。
「アレルギー反応を引き起こす体内のIgE抗体の働きを抑えます。アトピー型喘息で、吸入ステロイドなどを使用しても状態が悪い重症患者に使用されます」
この生物学的製剤は、約6割の患者に効く。「6割」というと高くない確率に思えるかもしれないが、対象となるのが「どの薬を使っても効果がなかった患者」だ。それで6割であれば、「よく効く」と考えられる。
■重症患者向けの新薬研究も
さらに、これから数年で生物学的製剤が続々と登場する予定だ。オマリズマブはIgE抗体に作用するが、今夏に認可されるだろうといわれる薬は「IL−5」というサイトカイン(炎症を起こすタンパク)に作用する抗体だ。「IL−4」や「IL−13」という別のサイトカインに作用する薬の研究も進んでいる。
いずれも「長期管理薬をきちんと使っていても喘息の発作をうまくコントロールできない重症患者」が対象とみなされているが、今後の期待として、相良教授は「個別化治療」を挙げる。
「喘息は、患者さんによって関与している炎症物質(サイトカインなど)が違い、機序が違う。それらを抑制する生物学的製剤(各抗体製剤)が登場することで、個々の患者さんに最適の薬を選んで治療を行える時代が来るでしょう」
「気道の炎症→発作」を繰り返すと気道の壁が厚くなり、過敏性が増し、より発作を起こしやすくなる。そしてこの状態は「不可逆性」といって、元には戻らない。
「吸入ステロイドなどは炎症を抑えられますが、厚くなった気道の壁を元に戻す作用は弱いと考えられます。したがって、その人にとって明らかな炎症の原因物質が分かっているなら、そのものに対しての生物学的製剤を用い、早い段階から治療を開始する。そうすれば重症化を防ぐことができる可能性もあり、不可逆性の状態に至る前に手を打つことができるかもしれない」
ただし、現段階で徹底しなくてはならないのは、「長期管理薬を適切に使用する」ということで、基本中の基本になる。これができていない患者はいまだに多く、それが喘息発作を繰り返すことにつながっている。
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