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「高血圧」のまやかし…低すぎる基準はデタラメ?降圧剤は脳梗塞や認知症のリスクも
http://biz-journal.jp/2016/02/post_13908.html
2016.02.22 文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士 Business Journal
高血圧症は、全国で約4000万人の患者がいると推定されており、日本最多の病気です。
その高血圧症患者に処方される降圧剤(血圧降下剤)は、血圧を下降させる目的で使われます。降圧剤を服用している方は日本中で3000万人を超え、降圧剤ビジネスの市場は1兆円規模になりました。今や50歳以上の日本人の4割近くが、血圧を下げるために毎日せっせと降圧剤を飲んでいます。
これほど服用者が増えたのは、ひと昔前まで「年齢+90」または160とされていた最高血圧の上限目安が140に引き下げられ、さらに130台でも「異常に近い」という扱いをされるようになったことが原因です。
降圧剤の服用者は、年々増え続けています。薬は飲みたくないと思っていても、医師から「脳卒中や心臓病のリスクが高くなる」と言われると、つい飲んでしまうという方も多いようです。それほど私たち日本人は、「高血圧=脳卒中や心臓病のリスク」というイメージが刷りこまれています。
厚生労働省の調査によると、1980年までは脳卒中が死亡原因のトップでした。そのようななかで、「高血圧=脳卒中予備軍」「正常血圧=脳卒中の心配なし」と色分けされると、血圧を下げてくれる降圧剤は唯一の救世主のように思い込んでしまうのも仕方がないことです。
しかも、多くの日本人は血圧の基準値を道路の制限速度のようにとらえがちです。つまり基準値を超えると違反であるかのように思い込んでいるのです。
しかし、至適血圧(理想的な血圧)は人それぞれ違い、最高血圧150くらいがもっとも快適という人もいれば、100くらいがベストという人もいるのが当たり前ではないでしょうか。血圧は本来かなり個人差があるものです。正常血圧や基準値とされる数字は参考程度に考えてみてはいかがでしょうか。
■降圧剤でかえって脳梗塞になる?
突然ですが、キリンの血圧をご存じでしょうか。キリンは、あの長い首を通って血液を頭まで運ばなければならないので、最高血圧が270、最低血圧も170あるそうです。この「キリンの法則」を考えてみれば、身長190cmの人と150cmの人の血圧の基準値が同じであるほうが不自然に感じるのではないでしょうか。
最高血圧150ぐらいが最適の人が降圧剤を飲んで130にまで下がれば、血の巡りが悪くなって活動的でなくなるだけでなく、圧力足りないために脳まで血液が届かずに脳梗塞や認知症を引き起こすことになりかねません。
脳出血を恐れて降圧剤を飲んでいるのに、なぜ、脳出血のひとつである脳梗塞が起きることがあるのでしょうか。
脳梗塞は、脳の血管に血栓が詰まって、その先の組織に酸素や栄養が行かなくなり、さまざまな障害が生じる病気です。酸素や栄養が届かずに壊死した組織が軟らかくなるため、ひと昔前は「脳軟化症」と呼ばれていました。
脳梗塞の発生割合は、1960年代には脳卒中全体の13%程度でしたが、食生活の欧米化などの影響を受けて増え続け、現在は脳卒中全体の84%を占めています。
脳の血管に血栓ができること自体はよくあることで、これが即、脳梗塞につながるわけではありません。血栓ができても、人の体は血を送り出す圧力を高めて血栓を押し流すことができるからです。血栓ができると血圧が高くなるのは、そのためです。
しかし、降圧剤で無理に血圧を下げてしまうと、血栓を押し流せなくなってしまいます。そうなると血栓が居座って肥大し、血管を完全に詰まらせてしまいます。その結果、脳梗塞が起こりやすくなるのです。
降圧剤を常用している高齢者は、脳の血の巡りが悪くなるため脳内に酸素や栄養が行き渡らず、その結果、脳血管性の認知症になる可能性があります。
降圧剤の服用者でお酒をよく飲む人は、意識障害のリスクもあります。アルコールが入ると血圧が低くなりますが、降圧剤を服用していると相乗効果となって、さらに血圧が下がりすぎることがあるからです。家の中でなら、ふらついてもさほど問題は起きませんが、冬場に交通量の多い路上などで意識をなくしてしまったら大きな事故につながりかねません。
降圧剤の服用者は、入浴時の溺死にも注意が必要です。湯船に入ると一気に血圧が上がりますが、そのあとはどんどん下がってきます。血圧が下がると居眠りをしやすくなりますが、特に降圧剤を服用している人は下がりすぎて意識障害が起きる可能性が高くなります。あまり知られていませんが、日本で入浴中に死亡する人は約2万人もいるのです。これは、全国の交通事故死者の約5倍に当たり、浴室での意識障害を甘く見ることはできません。
このように、降圧剤は血圧が下がりすぎるリスクもあることを知ってください。医師に勧められたからといって、深く考えずに飲み始めるのは考えものです。要注意なのは、「ちょっと血圧が高めなので、降圧剤を飲んだほうがいいでしょう。弱いお薬なので、安心して服用できます」という医師のセリフです。
最高血圧が「年齢+90」程度で降圧剤を飲む必要があるかどうか、ご自分の体の声をよく聴いて、ご自身でどうするかを考えてください。もしかしたら、降圧剤を飲むという行為が、認知症を招くことになるかもしれません。
(文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士)
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