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世の中には「健康診断を受けたことがないけど健康です」という人がいる。(写真はイメージ)
健康診断と人間ドックは受ける意味がないのか? あなたの命を救う医療リテラシー(1)
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20160128-00045880-biz_jbp_j-nb
JBpress 2016/1/28 11:50 大竹 真一郎
■自覚症状がなくても受けるのが人間ドック
「最近調子が悪い」とか「病院に行くほどではないが不調がある」といったとき、人間ドックに行けば詳しく調べてもらえるのでしょうか?
答えは「ノー」です。そもそも人間ドックや健康診断、がん検診というのは「自覚症状がない人の病気を見つける」ために行うものです。
具体的な病名でいうと、高血圧や脂質異常症、初期の糖尿病、肝機能障害、初期のがんなど、自覚症状がないのにすでに発症している病気を見つけるのが目的です。たとえ軽くても症状があるなら、人間ドックではなく病院(医院、クリニック、診療所も病院とします)に行くべきです。
また人間ドックや健康診断で行われている検査は、すべての病気に対応していません。症状から想定される病気を見つけるための検査が含まれていないこともあります。自覚症状があるのに、人間ドックで異常がなかったからといって、病気の疑いが晴れたということにはならないのです。
さらに、年齢や性別によって受ける検査は異なります。例えば、20〜30代の乳がん検診は、受ける意味がほとんどありません。20〜30代で乳がんを発症する可能性はゼロではありませんが、確率的にはきわめて低いですし、むしろマンモグラフィーによる放射線被曝のリスクがあります。放射線被曝も乳がん発症のリスクの1つであることを考慮すれば、40歳以下の乳がん検診は必要ありません。
■健康診断、人間ドックは受ける意味がない?
では健康診断、人間ドックは受ける意味がないのでしょうか?
世の中には医者嫌いの人がいます。こういう人は健康診断も受けません。それでも病気にならない人はなりませんし、なる人はなります。今流行(はや)っている「医療否定本」は、こうした人たちに自信を与えているようです。
愛煙家の中には「こんなにタバコを吸っているけど、がんになっていない」などといって、タバコとがんは関係ないと決めつける人がいますが、これを私は「赤信号理論」と呼んでいます。
赤信号を守っていても交通事故に遭う人がいます。守らなくても事故に遭わない人もいます。「だったら赤信号を守るのは無意味だ」という理論です。
しかし確率からいえば、赤信号を守ったほうが事故に遭わない確率は高くなります。
医師は個別の事例ではなく、エビデンス(医学的根拠)のあること、つまり確率的に安全性が高いことを患者さんにすすめます。タバコはがんのリスクを高めるという医学的根拠があるのですから、禁煙をすすめるのは当然のことなのです。
「健康診断を受けたことがないけど健康です」という人も、自覚症状がないだけで、生活習慣病がないとはいえません。
心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める糖尿病や脂質異常症などは、健康診断を受けないとわかりません。現在、たまたま何も症状がないからといって、本当に健康かどうかはわからないのです。
■結果は「異常なし」なのに本当は病気だった
健康診断や人間ドックの結果には、4つの可能性が考えられます。(1)陽性、(2)偽陽性、(3)陰性、(4)偽陰性です。
一つひとつ説明しましょう。
(1)陽性は異常があって病気が見つかった場合です。自覚症状がないうちに病気が見つかったのですから、受けるメリットがあったといえます。
(2)偽陽性は異常があったけれど病気ではなかったケース。確定診断が出るまで精神的ストレスに苦しむかもしれませんが、これもメリットのあるケースです。
(3)陰性は異常がなくて、病気もなかった場合です。いわゆる「異常なし」のケースです。病気が何もないことがわかったのですから、これも喜ばしいケースです。
(4)偽陰性は検査結果が「異常なし」だったのに、本当は病気だった場合です。残念ながら検査を受けたメリットがなかったケースです。
健康診断や人間ドックの検査は、異常があればできるだけ拾いあげるように精度を高めていますが、どんな検査も100%はありません。確率は低くても、病気を見つけられないケースがあるのです。
副作用があるからといって、薬を飲むのを嫌がる人がいます。しかし副作用のない薬は存在しません。もし副作用がまったくない薬があったとしたら、それは「まったく効かない薬」です。
どんな薬でも副作用があります。薬はメリットとデメリットを比較して、メリットのほうが大きいから処方しているのです。もちろん、医師が服用を管理しているので、強い副作用が出れば中止します。それでもごくまれに、重篤な副作用で患者が死亡するケースもゼロではありません。
だからといって、その薬を用いた治療がすべて誤りというわけではありません。99.99%の人に治療効果があるのに、0.01%のリスクを恐れて、その薬を使わないわけにはいかないのです。
健康診断や人間ドックも同じです。ごくまれなケースがあるからといって、受ける意味がないということにはならないのです。
■賢く受ければ早死にしなくてすむ
健康診断を受けても死亡率が下がらないというデータがいくつかありますが、それは統計的に見た話です。個人にとっては、生活習慣病があるのに何年も放置していれば、ある日突然、脳卒中を起こして死んでしまう可能性があります。
健康診断を否定する医師は、統計的なデータをもとに、個人が健康診断を受けることまで否定します。確かに生活習慣病を放置しても、すべての人が血管の病気で亡くなるわけではありません。
しかし運悪く脳卒中の発作を起こして亡くなった人はどうすればよいのでしょう。亡くなってからでは本人は判断のしようがありませんが、脳卒中の場合、死なないまでも、片側麻痺などの重い後遺症が残ることがあります。それも「運命だから受け入れろ」というのでしょうか。私にはどうにも納得がいきません。
それに突然の病気は本人だけの問題ではありません。家族がいれば、家族に大きな負担がかかります。一家の大黒柱が40代、50代で倒れて収入の道が断たれたら、人生設計がすべて狂ってしまいます。もちろん、亡くなってしまえば、残された家族の生活も困窮します。子どもが進学をあきらめることになるかもしれません。
医者嫌い、健康診断嫌いの人は、「どこも悪くないんだから検査なんて行く必要ない」などといいますが、「どこも悪くない」ではなく「自覚症状がない」だけかもしれません。生活習慣病は自覚症状がないからこそ、健康診断や人間ドックで見つける必要があるのです。
皆さんの体は自分だけのものではありません。守るべき家族のある人なら、40歳を過ぎたら健康診断や人間ドックで病気を早めに見つけるようにしてください。
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