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【完全リスト】「ガンにかかるお金」種類別、治療法別に教えます いざという時のために知っておきたい
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46913
2015年12月20日(日) 週刊現代 :現代ビジネス
●大腸ガンや胃ガンはステージによって全然違う
●肺ガンの重粒子線治療は300万円超え
●前立腺ガン、長くつきあうのと手術するのはどっちがいいか
●意外と安い肝臓ガン
もしかしたら明日にでも、あなたや家族に襲いかかるかもしれないがんという病。いざというとき、実際のところどれくらいの治療費がかかるのか? 元気なうちから知っておきたいがんとカネの関係。
■借金をして抗がん剤治療
「その患者さんは末期の大腸がんを患っていました。再発でもう手術が難しくなって複数の抗がん剤を使用していたのですが、その費用が自己負担額で月20万円超に上っていました。
経済的に治療を続ける余裕はなかったのですが、親戚から借金をしてなんとか抗がん剤治療を続けていた。しかし、治療を始めて半年を過ぎた頃、『副作用もひどいし、資金が底をついたので』と、その患者さんは治療をあきらめてしまいました」
こう語るのは、都内のがん専門病院で働く内科医である。
がんは、色んな顔つきをしている—専門家たちのあいだでよく交わされる言葉だ。毎日がんと向き合っている医師の目には、攻撃的で転移しやすいがん、おとなしく何年もじっとしているがんなど、その表情が見えるのだ。
日進月歩の現代医療では、それらのがんに対応した多様な治療法が日々生まれては消えていく。当然、かかってくる費用もピンキリだ。
「医療の進歩によってがんの医療費は高額化し、治療期間は長期化する傾向があります」と語るのは、自身も乳がんを経験したファイナンシャル・プランナー黒田尚子氏だ。
「とりわけ分子標的薬や免疫療法、重粒子線治療など、先端的な医療は高額になります」
実際、技術を要する腹腔鏡手術や抗がん剤の投与を受けると、治療費の総額が数百万円に上ることは珍しくない。
だが、必ずしも身構える必要はない。治療費の多くは公的医療保険でカバーできるし、さらに高額療養費制度という仕組みがあり、実際の自己負担額は10分の1以下に抑えられる場合が一般的だからだ。
例えば、早期の胃がん(ステージT)が見つかった場合をみてみよう(上右表Aを参照)。
早期胃がんの場合、内視鏡治療と5日間の入院費用で26万円かかるが、公的保険が適用されるため、実質的な自己負担はわずか8万円程度だ。
■医者は高い薬を使いたがる
一方、技術を要する難易度の高い腹腔鏡手術を受けた場合、手術の技術料が加算されるため、治療費は約120万円に上る。
しかし、その場合でも公的保険に加えて、高額療養費制度が利用でき、実質負担額はなんと9万円程度。患者の収入にもよるが、標準治療での患者負担は、最大で8万円ほどに抑えられる場合が多い。
早期の胃がんの場合は、他部位への転移の心配が少ないので、化学療法や放射線治療を受ける必要もなく、手術後の定期検査を受けるだけで済む。1年目の自己負担額は、せいぜい10万円強といったところである。
早期発見で手術してしまえばそれで終わりというケースが、いちばん安くつく。それは大腸がんや肺がんなどでも同じことだ。その一方で、治療費がかさみがちなのは、手術に加えて化学療法、つまり抗がん剤による治療が加わった場合だ。
医療コンサルタントの吉川佳秀氏が解説する。
「がんのステージが末期になればなるほど、使われる抗がん剤の数が増えます。また、医者は海外で効果が出ていると喧伝される薬や、新しくて注目を浴びている高い薬を薦めるので、使用する薬剤によっては治療費が単なる外科手術の10倍以上にはね上がることもありうるのです」
先ほどと同じく、胃がんの例で見てみよう(前ページ、右表Bを参照)。ステージUで定型手術(胃の3分の2以上を切り取る手術)を受けた後、がんが再発することを予防するために抗がん剤を使ったとする。
1年かけて抗がん剤を投与する治療費の合計は92万円と高額になる。しかも長期間の治療になるため高額療養費制度の恩恵を受けることができず、結局、28万円もの自己負担になる。手術費、検査費を加えて1年目の自己負担額は43万円だ。
化学療法には分子標的薬、抗体医薬など、開発に費用がかかった薬が使われることが多い。昨年2月に、ステージUの肺がんが見つかった団体職員の川路喜久雄氏(56歳)が語る。
「片肺の摘出後、もう一方にも転移が見つかったので、放射線治療と分子標的薬のイレッサで治療することになりました。放射線治療は4週間で110万円、抗がん剤は50週間で320万円もかかりました。3割負担ですから自己負担は130万、手術代と合わせると合計180万円以上支払いました」
■血液のガンは高くつく
肺がんの場合は、高齢者で体力が十分でなく、手術が難しいと、重粒子線や陽子線を使った治療を提案されることもある。ただし、こちらは保険適用外のため、300万円超の費用がほぼ自己負担になる。生きながらえるための「命の値段」とはいえ、おいそれと出せる金額でないことは言うまでもない。
一方、肝臓がんは再発・転移が多いことで知られている。がんにかかるおカネに関する情報を集めたインターネットサイト「がん治療費ドットコム」を運営するメディネットの笠井篤氏が解説する。
「肝臓がんは局所再発が非常に多いことで知られ、5年以内に約8割が再発すると言われています。再発するともぐら叩きのように治療が長引くことになり、そのたびに入院と手術をくり返す必要があります」
ただし、肝臓がんでは抗がん剤を多用しないので、手術がたび重なったとしても、治療費は1回10万円程度で済む。再発は怖いが、考え方によってはカネのかかりにくいがんだともいえよう。
一方、血液腫瘍は治療費用が高額になりがちだ。
「血液腫瘍は手術のしようがなく、抗がん剤に頼るしかありません。しかも原発巣(最初にがんができた病巣)が同定できず、転移をくり返すため検査を頻繁にすることになり、その費用もかさむのです」(がん研有明病院放射線技師でファイナンシャルプランナーの内田茂樹氏)
乳がんも経済的負担が大きいがんだ。腫瘍を切除する外科手術に加えて、再発予防のための放射線治療や化学療法、ホルモン療法など集学的な治療が行われるためだ。費用が高くなる理由は他にもある。治療期間が長いのだ。前出の黒田氏が語る。
「一般的にがんは再発のピークが手術から2~3年後で、無事5年を過ぎれば完治したとみなされます。しかし、進行の遅い乳がんは、5年以降も再発等の可能性があり、ホルモン治療や定期検査等が10年続きます」
ホルモン療法の費用は月に1万~2万円程度だが、それが10年続けば、出費は安くても120万円前後になる。
同じく前立腺がんも、長く付き合うことになる病だ。前立腺がんは、高齢の男性がなることが多いが、転移する恐れがない場合は、治療をほどこさず経過観察になる場合も多い。
だが、転移の恐れがあり、手術も不可能となった場合、ホルモン療法、化学療法、放射線治療などを受けることになる。手術が可能であれば1回10万円程度の負担で済むところが、ホルモン療法や抗がん剤治療を行うと年間15万~30万円以上かかることもある。
現在ではロボット手術の技術も発展しているので(ただし自己負担額が40万円程度)、可能であれば手術をしておいたほうが、長い目でみると経済的かもしれない。
もっとも、費用がかさんだとしても、治療できるがんはまだましだともいえる。治療の施しようのない難しいがんもあるからだ。
それは、膵臓がんである。膵臓は「沈黙の臓器」と言われ、症状が現れにくい。知らず知らずのうちにがんが進行しており、外科手術は非常に高度な技術が要求される。5年生存率は10%台で、他のがんと比べても低く、治療費がかさむ前に亡くなってしまう場合が多い。
■カネのせいでがん治療をあきらめた
これまで挙げた治療費の他にも、がんになるとかかるカネはある。例えば病院の差額ベッド代だ。厚労省の資料によると一人部屋に入ったときの平均ベッド代は一日あたり7812円。都市部だとより高額になり、東京だと一日3万円というところも珍しくない。
日本医療政策機構の調査によれば、カネが続かないので治療をあきらめざるをえなかったがん患者は、全体の6%もいるという。再発時には、治療をギブアップする人の割合が大幅に増えるという調査もある。
前出の吉川氏が語る。
「乳がんの手術を受けたまだ30代の主婦の話です。術後1年で再発してしまい、医療カウンセラーに相談したところ、免疫治療や遺伝子治療などの選択肢を紹介された。
ところが、夫とその両親から『いつまでも高額な治療費を払う余裕はない』と言われ治療を躊躇しているうち、骨にまで転移してしまった。結局彼女は安い民間療法に頼りながら余命1年を生きています」
高いだけで効果があるかどうかわからない治療法であれば、あきらめもつく。しかし、備えがないばかりにいたずらに命を縮めてしまうのではあまりに悲しい。
がんとの戦いは体力や気力の戦いでもあるが、同時に経済力の勝負でもあるのだ。
「週刊現代」2015年12月19日より
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