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ガン治療の名医100人【部位別完全リスト】 〜この人でダメなら仕方ない
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46769
2015年12月12日(土) 週刊現代 :現代ビジネス
たとえどんなに手術の技量が優れていても、患者を人間として診られない医師は半人前だ。死への恐怖におびえる患者にそっと寄り添ってくれる「ホンモノの名医たち」の保存版リストを公開する。
■この人でダメなら仕方ない
「彼は『神様』と戦っているんです。神様が患者に『もう亡くなりなさい』と言っているのに、それに抗って手術をする。もし私が患者だったら、先生に手術してもらってダメだとしても本望です」
こう語るのは、自らも医師で、抗がん剤などの化学療法を行う内科医として名高い友愛記念病院の平岩正樹氏。平岩氏が挙げる「人間として信頼できる医師」の筆頭が、日本大学医学部附属板橋病院の高山忠利教授だ。世界トップレベルの肝がん手術の専門家である。
「あれほどの技術を持ちながら他の手術には手を出さず、肝がん治療に専念している。極めて謙虚なのです。
そして、どんなに難しい手術でも果敢にチャレンジする。肝臓にできたがんのうち、まず半分を切り取った後、1週間様子を見てから再手術をするという、他に聞いたこともないような方法に挑戦したこともあります。患者が『病気と戦いたい』と思うなら、ぎりぎりまで並走したいと考える人なのです」(平岩氏)
がん治療に命をかけている。だから厳格な面があり、部下にきついことを言う場面もある。それでもほとんど休みを取らず、毎日、患者の様子を自分の目で診ないと気が済まないのだから、彼のことを悪く言う人はいないという。
「本当に細心の注意を払って患者の様子を診ます。世界トップクラスだというのに、ある意味でとても臆病なのです。臆病だから休みも取れない」(平岩氏)
自分のために「神」に抗ってくれる男—患者にしてみれば、これ以上信頼できる医師はいない。患者が頼るのは彼の「メス」だけではなく、ひたむきに医と向き合う、その「為人」なのだ。
「医は仁術なり。仁愛の心を本とし、人を救うを以て志とすべし」
江戸時代の本草学者・儒学者である貝原益軒は『養生訓』にこう記した。同書が著されて300年余りを経て、医療技術の進歩は目覚ましいものがあるが、仁術としての医の本質は変わらない。
大河ドラマ『宮本武蔵』などに出演した俳優の中康次氏は、'12年、直腸と肝臓のがんで余命半年と宣言された。だが当時かかっていた医師の説明が十分だとは思えず、他の医師を探さざるをえなかった。そんな状況で知り合いに紹介されたのが、北里大学東病院(当時)の佐藤武郎氏だった。
「まずなにより説明が明確でした。何を聞いても、嘘やおべんちゃらはなく、なるほどと思う答えが返ってくる。人柄も陽気で、接していて信頼できたので、『佐藤先生でダメだったらあきらめよう』とまで思いました」
中氏は佐藤氏の指示のもと抗がん剤治療を続け、「余命半年」の宣告を受けてから4年目の冬を迎えようとしている。
信頼できる医師の条件で最も大切なこと。それは患者と「対話する力」だ。複雑な病状と難しい治療法を患者に納得のいく形で説明できるか。それが「この医師となら、難しい病気とも戦える」という患者の信頼感を得る第一歩だ。
がん研有明病院の消化器外科部長、比企直樹氏は最新技術で手術を行う凄腕の医師だが、患者との対話にはとりわけ気を配るという。
「患者さんはどなたも大きな不安を抱えておられます。最初に来たときに、私はまず結論からお話しすることにしています。
いい結論なら、なるべく早く。悪い結論であれば、心を開いてくれるまで話してから告げる。いずれにしても、できるだけ患者さんが大きな望みをもって治療にあたれるようにします。生きる望みを失った瞬間に人は元気を失う。科学的にも『病は気から』が基本なのです」(比企氏)
比企氏による手術で胃の3分の2を摘出した元ユニクロ副社長の澤田貴司氏が語る。
「先生の説明は簡潔明瞭なもので、その言葉に安心して手術を受けることができました。術後の経過も先生の説明通りになり、今ではお酒も飲めますし、トライアスロンだってできます。先生には、信頼と感謝の気持ちしかありません」
■自分の利益は考えない
自身も中咽頭がんを患った医師の中原英臣氏は、「医者であっても、がんになってしまえば、まな板の鯉と同じだ」という。
「私の場合も不安で一杯でした。しかし、診てもらった浅井昌大先生(鎌ケ谷総合病院)や松本文彦先生(がん研究センター中央病院)は、こちらの不安な心を和ませながら懇切丁寧な説明をしてくれました。大橋巨泉さんを診ていらっしゃる伊藤芳紀先生(がん研究センター中央病院)とはいつもプロ野球の話題で盛り上がりますが、先生がご自身の治療の腕に確たる自信を持たれているので、安心してお任せできます」
もっとも「親切」でありさえすればいい医者になれるかといえば、当然ながらそうはいかない。自分の腕に自信がなく、ただ親切に対応することでしか患者の機嫌を取ることができない医師も多いからだ。中原氏が続ける。
「特に外科は手術に長けて、自分の腕に自信がなければ患者にきちんと向き合うことはできません。医者から称賛される医者は技術力もあり、信頼できる人が多い。
ただし腕がいいと評判でもそれを鼻にかけていては進歩がない。サッカーですごいフォワードがいても、周りから嫌われていたらパスが来ません。それと同じで人間性を疑われたら、助手や看護師との連携が取れないし、手術を頼まれることもなくなり、症例を積むことができません」
自らも乳がんを患った経験のある医療ジャーナリストの増田美加氏は、心ある医師、信頼できる医師の条件として「仕事以外の時間を使って、患者会を支える活動やがん治療に関する啓もう活動を行っていること」を挙げる。
「例えば、乳腺外科の第一人者である中村清吾先生です。もともとは聖路加国際病院でブレストセンターを立ち上げて、一通りの体制が整ったので後進に道を譲り、自らはそれまで乳腺外科が充実していなかった昭和大学医学部に移られました。
日本乳癌学会の理事長も務めていて超多忙なのですが、患者会から声がかかれば暇を見つけてセミナーや講演会に出かけていく。忌憚なく思ったことを伝えるタイプで、患者さんたちから慕われています」
一人でも多くのがん患者を救いたいという理想に突き動かされている医師は他にもいる。NTT東日本関東病院の堀夏樹氏もその一人だ。もともと泌尿器科だった堀氏は、もはや手術や完治するための治療法もないような患者を自宅に帰してあげたいという思いから、30年以上にわたって、在宅医療などの緩和ケアを進めてきた。医療ジャーナリストの安達純子氏が語る。
「以前は病院の仕事が終わってから在宅訪問を続けていました。自分の利益や時間を度外視して、患者のそばに寄り添ってきた類いまれな人材です」
元国立がんセンター中央病院長で自らも大腸がんを患った土屋了介・神奈川県立病院機構理事長も、術後ケアの大切さを強調する。
「研究者としては優れていても、手術をした後、患者さんをほったらかしにして、その後の治療に誠意のない医者が多いんです。患者さんのアフターケアをしっかりできる医師は信頼できますね。
がんの手術は心臓手術と違い、切って終わりではなく、手術後からの予後治療が長い。
だから私はあまり『神の手』をもてはやしすぎるのは問題だと思います。きちっとした手術でも再発するのが、がんという病。今後ロボットを使った手術が増えれば、患者さんを助けるのは技術による勝負ではなくなる。再発したときに、きちんと患者の面倒を看られる人が、手術の名手よりも重要になるのです。
その意味で、中山治彦氏(神奈川県立がんセンター)、鈴木健司氏(順天堂医院)や横井香平氏(名古屋大学病院)は手術の技術も優れているが、アフターケアをしっかりとしています。また、鈴木聡氏(荘内病院)や的場元弘氏(日赤医療センター)など、緩和ケアを専門にしている医師は正面から患者の不安に向き合ってくれるはずです」
がん患者の悩みに、もっと直接的に関わる医師もいる。順天堂医院で「がん哲学外来」を担当する樋野興夫氏だ。
「私はアスベスト・中皮腫を研究しています。治療法もほとんどない難病で、患者さんたちと向き合ううちに対話の大切さに気付き、がん哲学外来を開きました」
■患者たちに「地元の宝」と愛されて
普通の医者は技術面で秀でていても、「対話者」としての教育を受けていない場合が多い。だから誰かが患者の胸中をケアしてあげないと「医療の隙間」が生じてしまう。
「私は患者さんと対話をしながらその悩みを理解し、『言葉の処方箋』を出すことにしています。新渡戸稲造や内村鑑三といったキリスト者の言葉から選んで、3つか5つくらいを紹介するんです。そのうち1つくらいは患者さんの心に届き、悩みを軽減できる」(樋野氏)
治療がもはや難しいとなったとき、それでも戦おうとする医師もいる。茨城県立中央病院で消化器全般を担当する外科医、吉見富洋氏だ。吉見氏はがんセンターや大学病院で「手術不可能」と言われた患者を積極的に引き受けることで有名だ。
「人柄としては、陽気でとても快活、まっすぐな方です。他の病院で手術を断られた患者に対しても、ぎりぎりの可能性を探っている」(国立大学のがん専門医)
ただ、あまりに率直で歯に衣着せぬものの言い方のせいで、上司と衝突したこともあった。そのせいで、一時期、病院内で干され、診療に関われない部署に飛ばされたこともあったという。
「ところが、かつて吉見先生に手術をしてもらって完治した患者さんたちが、地方新聞に意見広告を出したのです。『私たちは吉見先生のおかげで命を永らえました。先生は地元の宝です』というような内容でした。この広告のおかげで、吉見先生は現場に戻ることができました」(前出のがん専門医)
良い医者は「病を診るのではなく、人を診る」と言われるが、逆もまたしかりだ。良い医者に出会った時、患者は「メスやクスリを信じるのではなく、人を信じる」のだ。吉見氏は、その典型的な例だと言える。
今回、紹介した100人の医師たちは、手術の技量、最新の薬や治療法に関して申し分のない知識を備えている上に、人格者として患者や医療関係者の尊敬を集めている人たちばかり。もし不幸にしてあなた自身や家族が病に臥すことになったら、「一緒に戦ってくれる仲間」を探すための一助にしてほしい。
「週刊現代」2015年12月12日より
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