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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ
開腹手術経験者は要注意 「腹壁瘢痕ヘルニア」を医師が解説
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/168969
2015年11月10日 日刊ゲンダイ
臓器や組織が本来あるべきところから脱出するのがヘルニアだ。腹部ヘルニアでは鼠径ヘルニア(脱腸)の認知度が高いが、増えているのが「腹壁瘢痕ヘルニア」。詳しい医師に聞いた。
まずは、次の項目をチェックしてもらいたい。(1)開腹手術を受けたことがある(2)手術後の傷口がふくらみ、触ると柔らかい(3)徐々にふくらみが大きくなっているC特に強い痛みがある。
もし(1)〜(3)に該当するなら、腹壁瘢痕ヘルニアを疑った方がいい。さらに(4)に該当するなら消化器外科などを受診すべき。強い痛みが継続する場合は、急いで病院に行かなければ命にかかわるかもしれない。
腹壁瘢痕ヘルニアは、主に手術を受けたところからお腹がふくらみ、徐々に出っ張ってきてしまう。
「飛び出たふくらみが赤ちゃんの頭の大きさほどある患者さんもいます」(国立病院機構千葉医療センター・山本海介外科医師)
ふくらみが大きい場合、患者が「食事で満腹感が得られない」「排便がしにくい」といった不調を訴えることもある。
原因は、手術の傷口の感染、肥満や慢性呼吸器疾患による腹圧の上昇、喫煙などによる手術の傷口の治癒の障害など。開腹手術を受けた人の10〜20%で発症するといわれ、年間罹患者数は5万人程度という調査報告もある。結構な数だが、実情を知らない人が大半だ。
「良性疾患なので、“手術後に起こる可能性がある”と医師が伝えていても、患者さんの記憶に残っていないのではないか。きちんと伝えていないケースも少なくない」(刈谷豊田総合病院・早川哲史副院長)
厄介なのは、手術後すぐに起こるとは限らないことだ。数年後や高齢になってから起こるケースもある。
「症状が悪化することはあっても、自然治癒はない。治すには手術しかありません」(国立病院機構別府医療センター・川中博文臨床研究部長)
開腹手術か腹腔鏡下手術になるが、手術の傷口の感染がほとんどない腹腔鏡下手術に注目が集まっている。では、どういう時に手術が必要か。それが、冒頭のCだ。
「ヘルニアが元に戻らず腸の血流が悪くなる嵌頓や、腸閉塞が疑われたら、命にかかわる場合もあるのですぐに手術です。強い痛みがあります。また、痛みがなくても、不快感があったり、だんだん大きくなる、見た目が悪いなどの症状で困っている場合も手術を検討します」(川中部長)
手術は、疾患の内容に個人差が大きく、しかも先の手術で腸が腹壁と癒着していることもあり、難易度が高い。良性疾患なのに手術で新たな症状が生じ、手術前より生活の質が下がっては意味がないため、症状がひどくなければ様子見となることもある。
「私は、患者さんにはまず肥満解消をしてもらい、その後に手術を再検討します。肥満の人は腹部に圧がかかり、腹壁瘢痕ヘルニアを起こしやすい。かつ、大きくなった腹壁瘢痕ヘルニアを手術で体内に戻そうとしても、脂肪が多いと、そのスペースが十分にないからです」(早川副院長)
腹壁瘢痕ヘルニアを回避するには、肥満にならないようにするしかない。気になる場合は、早い段階でこの疾患治療の経験数が多い医師にチェックしてもらう。治療を受ける時も、経験数の確認は必須だ。
「腹腔鏡下手術は、長い鉗子を操作してモニターを見ながら手術するので、開腹手術より訓練が必要です。日本内視鏡外科学会の技術認定医の資格を持ち、腹壁瘢痕ヘルニアの手術を多数行っているところを選んだ方がいい」(山本医師)
ちなみに、この資格取得は、限られた医師しか通らない非常に狭き門だという。
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