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点鼻スプレー型のインフルエンザワクチン(写真はフルミストの製造会社MedImmune Inc.のHPより)
最新のインフルエンザワクチンは鼻にスプレーするだけ!
http://healthpress.jp/2015/10/post-2066.html
2015.10.23 ヘルスプレス
秋は来るべき冬に備える時期。冬期の健康を維持するために、インフルエンザ対策も怠ってはいけない。重篤化すると死亡することもあるインフルエンザは、通常の風邪とは違って、ウイルスが感染して生じる病気だ。
感染すると2〜3日の潜伏期間を経て、たいていの場合、突然の高熱で発症する。全身のだるさと筋肉関節があり、体力がない高齢者では肺炎になったり、子供ではひきつけや脱水症状を起こすこともある。
また、ウイルス感染なので、爆発的な流行をすることがある。1918年に全世界で流行したスペイン風邪では、数億人が感染し、数千万人が死亡したと言われる。人類滅亡や生物科学兵器を題材にした小説や映画のなかには、毒性の強いインフルエンザが大流行して人類のほとんどが死亡し、生き残った主人公がサバイバルするという表現が繰り返されるが、過去の人類が感染症と闘ってきた歴史を知れば、あながち大げさとは言えない。
■鼻に2回スプレーするだけ
対抗策のひとつは、ワクチンの接種だ。ワクチンは、毒性を弱くしたウィルスをもとに作られる。これを注射などで体内に入れると、免疫反応によって抗体ができる。この抗体が、体外からやってきたインフルエンザウィルスと闘い、たとえ感染しても重症化せずに済む。
弱毒化したウィルスを体内に入れるため、インフルエンザワクチンの接種にはリスクがある。そのための技術革新が続けられてきた。いま注目されているのが「点鼻スプレー型」のインフルエンザワクチン「フルミスト(4価経鼻インフルエンザ生ワクチン)」だ。
フルミストの接種方法は、注射ワクチンとは異なり、鼻に2回スプレーするだけ。接種方法が簡便なため、すでに欧米では主流のワクチンだ。また、その効果は、約1年も維持される。したがって、この冬に備えて、今の時期からの早期接種も可能だ。これはワクチン接種のブレークスルーだ。
ただし、次の項目に当てはまる人は接種の対象外となる。
●2歳未満、50歳以上の人
●いま喘鳴がある人
●ギラン・バレー症候群の経験がある人
●糖尿病の人
●妊娠中または2歳以下のお子さんに授乳中の女性
●タミフルなどインフルエンザの薬を服用中の人
●白血病またはその疾患と同居している人
また、ワクチンは人体の免疫機構を利用しているため、免疫機能ができあがっていない乳児や、免疫機能が低下している高齢者や病者は避ける必要がある。
このフロミストは、日本ではまだ保険適応外のため自費診療になる。1回のワクチン接種費用は1万円前後。接種方法は簡便だが、通常に比べると高額だ。
■ワクチンを接種するのは誰のため?
さて、そもそもワクチンは健康な状態のときに接種するもの。したがって、なかなか普段は、ワクチン接種の必要性を感じにくい。正直言って、面倒くさいと思っている人も多いだろう。過去にインフルエンザに感染して、つらい体験をした人でないかぎり、積極的にワクチン接種をしたいと思うことはないだろう。そのため、毎年、冬が近づくと「インフルエンザワクチンを受けましょう」というキャンペーンが繰り返されているわけだ(本稿もその一つ)。
ワクチンを接種したら、インフルエンザにまったくかからないのか? そんなことはない。感染しても発症しない、または重症化しない、それが接種の目的だ。そして、あなた自身だけでなく、あなたの身近な人たち、さらには、社会全体をインフルエンザウィルスから守るために、ワクチンは存在する。
インフルエンザワクチンを製造しているメーカの出荷自粛問題が何とか決着を見た。しかし、ワクチン供給は本当に大丈夫なのか?
接種するときに、個人的な観点でリスクとコストを天秤にかけることはもちろん、社会全体のリスクとコストについても考えてみてはいかがだろうか?
(文=編集部)
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