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安倍政権・成長戦略の目玉 学会報告で「がん粒子線治療」の有効性に疑問符〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150921-00000003-sasahi-hlth
週刊朝日 2015年9月25日号より抜粋
がん粒子線治療は、日本が誇る最先端医療技術として世界に広がりつつあった。ところが、放射線治療の関係学会が8月、前立腺がんなどで既存の治療法と比較し、より優れていることを示すデータは得られなかったと発表したのだ。
がん粒子線治療には、陽子線と、重粒子線(炭素イオン線)をがん細胞に照射する治療がある。ピンポイントでがん病巣だけを攻撃できるので、従来のX線治療よりも治療効果が高く、副作用が少ないことなどがメリットとされている。
陽子線治療は2001年、重粒子線治療は03年に厚生労働省の「先進医療」に承認された。診察や検査費、投薬、入院費は健康保険が適用されるが、治療には自己負担で約300万円もの費用がかかる。高額医療だが、患者数は年々増加し、14年度の陽子線と重粒子線を合わせた治療実施件数は4555件、先進医療費用は合計127億円に上る。
ところが、ここにきて粒子線治療の有効性に疑問符が付けられた。日本放射線腫瘍学会は前立腺がんなど一部のがんで、既存のX線治療などと比較して優位性を示すデータが集められなかったとする報告書を作成。8月6日、厚労省の先進医療会議に提出した。会議の参加者の一人が言う。
「保険導入を検討するため先進医療会議は、粒子線治療の各医療機関に対して、X線治療などと比較できる医学的データを出すよう再三要請していました。ところが、医療機関ごとに、バラバラに都合のいい症例ばかり10件とか出してくるだけで科学的な証明に堪えうるデータはいっこうに提出されませんでした。やむなく、学会に依頼して各医療機関の治療成績を横断的に調査してもらったのです」
学会の西村恭昌理事長は8月、先進医療会議でこう発言している。
「普通のX線を使っている者にとって、前立腺がんに対して本当に粒子線治療が有意であるかというと、実は疑問に私自身も思っています。周りの人に怒られるかもしれませんけれども」
北海道がんセンター名誉院長の西尾正道氏は、粒子線治療の現状を批判する。
「先進医療に承認されて10年以上経つのに、まともなデータが出せなかったわけです。これまで粒子線治療に関しては線量分布が良好だと言われ設置が進められてきたが、近年のコンピューターによるX線治療の発達により、粒子線治療が有意に優れているといえる疾患は非常に少ないのが実情です。現在、最も多く扱っている前立腺がんなどでは、海外のデータではすでにX線治療と差が出ないことが明らかになっています」
先進医療は将来的な健康保険の適用を目指すことが前提で、AとBの2群に分けられている。Aは、「医療機器や治療技術の有効性や安全性が比較的高いもの」が対象だ。一方、Bは「有効性や安全性が不明確」なため、臨床試験を行って厳しい審査を受ける。粒子線治療は、これまでAに分類されてきた。
適応となる疾患は、頭頸部腫瘍、肺がん(非小細胞がん)、肝臓がん、前立腺がん、骨・軟部肉腫など。転移のない限局性固形がんのすべてがAとされていた。しかし、学会は有効性が不明確だった前立腺がんや肝細胞がんなど一部を、Bへ移す方向で厚労省と調整していくことになった。
一方で、一部の小児がん、頭頸部がんなどは有効性が認められたとして保険適用の検討を要請した。
今回、前立腺がんなどが先進医療AからBへ振り分けられれば、事実上の「降格」「格下げ」と言われても仕方がないだろう。
Bになれば、患者数や年齢層、がんのステージ、期間などを限定して臨床試験を行うことになる。適応患者が減ることになれば、粒子線治療施設は経営的に大きな打撃を受ける可能性がある。
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