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公的助成、手が届く薬に:C型肝炎ほぼ完治、1錠6〜8万円 患者負担月2万円、がん防ぎ医療費抑制
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投稿者 あっしら 日時 2015 年 9 月 05 日 05:59:44: Mo7ApAlflbQ6s
 


公的助成、手が届く薬に
C型肝炎ほぼ完治、1錠6〜8万円 患者負担月2万円、がん防ぎ医療費抑制

 肝臓がんの原因のC型肝炎に“特効薬”が相次いで登場した。従来はインターフェロンという副作用の強い注射薬を使っていたが、飲むタイプの新薬は副作用が少なく、治療効果はほぼ100%という。助成を受けられるため患者の自己負担は小さいものの、国や自治体の医療費支出は膨らむ。こうした薬はどう扱うべきなのだろうか。

 C型肝炎は原因ウイルスを含む血液の輸血などで感染する。感染者は国内に約150万〜200万人いるとみられている。少しずつ肝臓の細胞が壊れていき、慢性化すると肝硬変や肝臓がんを発症しやすくなる。

 「いつから使えるようになるのか」。7月に厚生労働省が製造販売を承認した米ギリアド・サイエンシズの「ハーボニー」について、肝炎患者の団体には、こんな問い合わせが相次いでいる。ハーボニーは26日に保険適用が決まった。9月上旬に販売が始まる見通しだ。

 ハーボニーにつけられた薬剤価格は1錠8万171円。効き目の高さなどが評価され、薬価が高く設定された。1日に1錠を12週間続けて飲んで治療する。

 国や自治体から医療費助成が受けられることも併せて決まった。患者の自己負担は月に2万円以内に抑えられる見通しだ。ただ、過去に肝炎治療で医療費の助成を受けたことがあると断られることもあるので注意しよう。

 この薬が注目されているのはまず効き目の高さだ。C型肝炎患者の約7割を占める「1型」の患者にとって待ちに待った薬といわれる。国内の臨床試験(治験)では、157人の患者に12週間飲み続けてもらったところ、すべての人で原因ウイルスが消えた。「信じられないような結果だ。これまで難しかった高齢者の治療が進む」と、治験を担当した国立国際医療研究センターの溝上雅史医師は期待する。

 インターフェロンを中心とした従来の治療は全身の倦怠(けんたい)感や食欲不振、うつなどの副作用が表れる。副作用は半分を超す患者に表れるというデータもある。意識がもうろうとする状態が続いて退職し、医療費の支払いに苦しむ患者もいるという。医療機関で働く50代の女性は「副作用で仕事を休むことになるのが不安で治療を受けられなかった」と話す。

 今のところ、ハーボニーに強い副作用は確認されていない。服用する期間も12週間と、従来の治療の半分ですむ。
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 ハーボニーに先立つ5月、ギリアドが開発した別の治療薬「ソバルディ(一般名・ソホスブビル)」が製造販売を承認された。こちらは国内のC型肝炎患者の3割ほどを占める「2型」に効果が高い。国内の治験では、12週間の服用で96%の患者でウイルスが消え、副作用も軽かった。ハーボニーとソバルディを使えば、国内のC型肝炎のほとんどの患者が完治する可能性があるという。

 C型肝炎の“特効薬”はこのほかにも米国の製薬会社がいくつか開発しており、日本での販売を目指している。広島大学の田中純子教授はこうした画期的な新薬の登場によって、C型肝炎から肝臓がんを発症する患者が2030年までに半減すると試算している。

 効果が画期的な薬は価格も高額になりがちだ。ハーボニーは12週間で約673万円にもなる。ソバルディは少し安いものの、1錠6万1799円もする。いずれも費用は従来の治療法の2〜3倍に膨らむ。

 後続の薬もかなり高い薬価設定になると予想される。そのほとんどを国や自治体がまかなうことになる。医療財政への影響を心配する声も多い。
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 しかし、がんや肝硬変を発症して難しい治療と費用が必要になることを考えれば、法外な価格とはいえないと専門家はみる。医療経済が専門の東京大学の五十嵐中特任助教は「費用対効果を冷静に判断すべきだ」と話す。

 五十嵐特任助教によると、がん治療だと年間1000万円の費用がかかるものも珍しくない。新薬を使わなければ、C型肝炎からがんや肝硬変に進行し、多額の治療費用がかかることもあり得る。「年間500万〜600万円の薬代でも、健康に過ごせる期間の延びや将来の医療費削減を考えれば、十分に妥当な範囲だ」と説明する。「国の支援で早期治療に取り組めば、長期的に医療費抑制にもつながる」とみる。

 五十嵐特任助教によると、C型肝炎のほかにも分子標的薬と呼ばれる新しいタイプの抗がん剤、関節リウマチの治療薬などで、治療効果が高く薬価も高い薬が出てくる可能性があるという。むやみに医療財政の負担が増すのを避けるためにも、費用対効果をどう見極めるのかを評価する方法を確立する必要がありそうだ。

(八木悠介)
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ウイルス除去率、向上 薬価、高止まりは続く

 C型肝炎ウイルスを除去する治療として、1992年にインターフェロンが開発され長い間使われてきた。単独で使うと除去率は10%ほどだったが、2000年に入ると、抗ウイルス薬と併用する治療法が開発され、34〜56%に高まった。

 2011年に肝炎ウイルスの表面にあるたんぱく質に働きかけてウイルスの合成を抑える薬が開発され、除去率は70%を超えた。核酸を使ってウイルスがコピーを作る働きを抑える新薬が開発され、90%に達している。

 「ソバルディ」や「ハーボニー」に続く、新しい治療薬は今後も登場する見込みだ。米アッヴィは1型と2型の両方に効く治療薬について、国内で製造販売の承認を申請している。米メルクの日本法人のMSDは現在、1型に対する新薬の臨床試験(治験)を進めている。

 新薬が相次いで承認されたからといって、価格が急に下がることはなさそうだ。今後も新薬の高止まりは続く。ただ、同じような効果を示す薬が3つ以上承認され、1番古い薬が出てから3年が経過した場合には、次に出てくる新薬の価格が低くなる制度もある。

[日経新聞8月30日朝刊P.16]

 

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