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話題の女性版バイアグラ、ムラムラ&濡れやすくさせる?副作用で死の危険も
http://biz-journal.jp/2015/08/post_11266.html
2015.08.26 文=へるどくたークラレ Business Journal
バイアグラとは、ご存じの通り男性器を勃起させる薬(厳密には勃起状態を維持しやすくする薬)です。勃起不全に悩む男性たちの救世主として、なぜか国会では全会一致によって国内での販売が極めて迅速に認可された薬として有名です。
バイアグラを服用すると、男性は単純なものですから、その効果から勢いで「その気」になってしまうことが多く、いわば「男性用の媚薬」ともいえます。
一方、“女性用バイアグラ”として「Womera(ウーメラ)」という薬がインターネット上で売られていますが、バイアグラの製造元であるファイザーの商品ではなく、効果はそれほど期待できないと思われます。作用機構的に考えると、陰核が充血して感度が良くなるかもしれないという程度で、女性が「その気」になることはまずないでしょう。
また、“女性用媚薬”を掲げる「Difulcan(ダイフルカン)」という膣分泌液を増やす(濡れやすくする)薬も売られています。これは真菌症の治療薬として実際に処方される薬なので、それなりの効果はありますが、膣の分泌液が増える(=濡れる)というだけで「その気」にはならないのが女性と男性の違うところです。
しかし、ここにきてまったく別のメカニズムで女性の性欲自体を亢進するという薬が登場しました。商品名は「Addyi(アディー)」で、成分はフリバンセリンです。
市場の期待値は非常に高く、もともと従業員25人のベンチャー企業が開発していましたが、それをカナダのバリアント・ファーマシューティカルズが10億ドル(1000億円以上)で買収したことからも、市場規模の大きさがうかがい知れます。
■アディーは女性用媚薬?
ただ、薬によって女性を「その気」にさせる効果が期待できるという噂が先走っていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
説明書によるとアディーは、バイアグラのように性交前に服用するものではなく、「その気」を高めていく薬剤であり、長期の服用が前提となっています。
したがってアディーを1錠飲んだからといって、すぐにムラムラし始めるというものではないようです。ちなみに、女性にムラムラする気分を起こさせる即効性のある薬として研究されていた「PT-141」は、アメリカ食品医薬品局(FDA)の安全性テストで落ちたため市場には出回っていません。
アディーが開発されたきっかけは、抗うつ剤としての治験中に性欲改善が見られたことから、副作用転じて主作用となったものです。ただし、抗うつ剤のように即効性はなく、しかも個人差が大きいという特徴があります。
肝臓で解毒を司る酵素の中にシトクロムP450というものがあり、そのなかの分子種のひとつであるCYP3A4の阻害剤(アゾール系抗真菌剤、マクロライド系抗生剤)とアディーの相性は悪いらしく、危険な低血圧、さらには卒倒(気絶・失神)を起こす危険性があるとされています。
同様にアルコールとの相性も最悪で、低血圧などから失神を引き起こすリスクが高いとされています。この場合の失神は、放置していると死に至る可能性もあります。実験では24人中6人が飲酒との併用で起立性低血圧を起こしています。また服用者の1%前後にふらつき、吐き気、だるさ、不眠などが起こるとされており、その副作用から服用をやめてしまう可能性もあります。
FDAのテストでも副作用が懸念されており、なんとか認可にこぎ着けたものの、しばらくはごく一部の薬局でしか取り扱えないようになっています。
このように、女性用バイアグラといっても、そもそもの処方適応は閉経前の没交渉状態の中高年女性がターゲットであり、長期服用によって性欲を取り戻させるのが目的の薬であり、若い女性を「その気」にさせる目的の薬ではないという点が重要です。
現時点では、国内で試しようがなく入手も困難で、日本人に対してどの程度の効果を持つかも不明という状況です。
(文=へるどくたークラレ)
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