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腰痛の「最終兵器」から片頭痛の特効薬まで 部位別「つらい痛み」がウソみたいに消えるクスリ 専門医は知っている
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44743
2015年08月22日(土) 週刊現代 :現代ビジネス
この痛みさえなくなってくれれば、人生はもっと楽しくなるのに。そう思いながら、毎日顔をしかめて耐えている人がどれだけいることか。あなたの症状に、本当に効く「パートナー」を見つけよう。
■片頭痛には「これ」
バファリン、ロキソニン、イブ、ナロンエース、ノーシン……。薬箱の中に、いろんな痛み止めの薬が入っているという読者は多いことだろう。そして「どれが効くのかよく分からないまま、なんとなく飲んでいる」「どれを飲んでも効かなくなってしまった」という悩みを抱える人も、また多い。
耐えがたい痛みで夜も眠れないとき、とりあえず何を飲めばいいのか。病気そのものを治さなければいけないのは分かっているけれど、とにかくこのつらい痛みを消すには、どうしたらいいのか——。本誌は今回、頭痛・腰痛・肩の痛み・ひざの痛み・そして歯の痛みの5つの部位別に、専門医への取材に基づいて「本当によく効く痛み止め」を徹底的に吟味した。
まずは、おそらく最もたくさんの人が苦しんでいる頭痛だ。日本頭痛協会の調べによれば、日本人の「頭痛持ち」は3人に1人、推定4000万人にものぼる。東京頭痛クリニック理事長の丹羽潔医師が解説する。
「最近は市販の痛み止めを飲み過ぎて、逆に頭痛になる『薬物乱用頭痛』を訴える人が増えています。慢性頭痛を持っていて、市販薬を月に10日以上飲んでいるという人は要注意です」
市販薬と処方薬には、実は大きな違いがある。
市販の鎮痛薬は「複合鎮痛薬」といわれ、いろいろな痛み止め成分が入っている。こうした複数の成分がぶつかり合ってしまい、新たな頭痛の原因となるのである。
一方、医師が処方するボルタレン錠剤などの処方薬は、有効成分の純度が高い。市販薬で頭痛が消えないという人は、本当に効く薬を処方してもらうためにも、まずはきちんと医師にかかり、自分に合った薬を処方してもらうのが先決だ。
「軽い頭痛であればまずロキソニンを使いますが、効かなければブルフェンというイブプロフェンが主成分の薬や、ナイキサンという薬を使います。
すでにたくさん頭痛薬を飲んでいる『薬物乱用状態』の方で、どうしても痛み止めが必要な場合にはセレコックスやモービックなどの『COX-2阻害薬』という薬を使うこともあります。これらの薬は胃に負担があまりかからないのですが、頭痛に関しては保険がききません」(前出・丹羽氏)
また、脈打つような痛みや吐き気が特徴の片頭痛の場合には、前述したような鎮痛薬は効果が薄い。亀戸佐藤のり子クリニックの佐藤院長が言う。
「まず、頭痛の種類をきちんと見極めることが重要です。診察の結果、片頭痛だと分かればゾーミッグという薬を出します。また、インスリン注射のように自分で注射するタイプのイミグランという薬もよく効きますね。イミグランには点鼻薬(鼻の中にスプレーするタイプ)もあります」
■効き目の速さが違う
ゾーミッグ、イミグランをはじめとする「トリプタン系」とよばれる薬は、片頭痛に対して最も効果が高い。頭痛だけでなく、吐き気がするなど症状が重い場合は、薬を飲むことが難しいので、点鼻薬と注射薬を併用することもあるという。
「注射薬は打ってからおよそ10分、点鼻薬なら20~30分程度で効いてきますから、痛みが激しくなる前に使います。痛みを感じ始めてから10分以内に使えば、痛みを抑えられます。
一般的な鎮痛剤が痛みを止めるだけなのに対して、トリプタン系は痛みの『火元』を止めてくれる。ですから、最近では、片頭痛にはまずトリプタン系を処方するのが常識です」(前出・丹羽氏)
ただし、ロキソニンやボルタレン、ナイキサンには、胃が荒れたり腎機能が低下するなどの副作用が、トリプタン系の薬には吐き気などの副作用が出ることもある。
「効き目には個人差があり、どの薬が合っているかは人によって違います。また、複数のトリプタン系の薬を絶対に同時に使ってはいけません」(丹羽氏)
頭痛については、まず医師に症状を詳しく説明して、痛みのタイプを特定することが大切だ。心臓の脈拍やまわりの光、音に反応してズキズキ痛むようなら、普通の痛み止めが効きづらい片頭痛かもしれない。
それぞれの薬の詳しい解説と注意点は、次のページ以降に掲載した、部位別のクスリ一覧表も見てほしい。
■腰痛の「最終兵器」
頭痛に次ぐ悩みの種は、やはり腰痛ではないだろうか。腰が痛み出すと、多くの人は、とりあえず手近な鎮痛薬を飲むはずだ。しかし、身動きがとれないほどの激痛に襲われると、あれこれ姿勢を変えながらウンウン唸って過ごすはめになる。
※薬との相性は体質や健康状態によって変わります。医師の指示に従い、用法や用量を守って服用してください
次に手が伸びるのは、やはり貼り薬だろう。解熱鎮痛成分のインドメタシンを含むバンテリンや、市販薬ではないが、最近では貼るタイプのロキソニンテープも登場している。
飲み薬や湿布薬だけではどうしようもないという時、頼りになるのが坐薬である。同じボルタレンでも、錠剤と坐薬では効き目の速さが段違いだ。
「ボルタレン坐薬は即効性が高く、胃が弱い方でも問題なく使えます。また、胃が弱いけど坐薬はちょっと、という方には、腸にたどりついてから溶ける錠剤もあります」(前出・佐藤氏)
ただ、一時的な痛みならばこれで十分だが、効き目が切れるたびに痛み止めを服用し続けるのは、胃腸や腎臓・肝臓の負担が大きく、あまりお勧めできない。また、これらの薬は使い続ければ使い続けるほど副作用も起こりやすくなる。
つらい痛みがあまりに長期間続くとき、まさに「最終兵器」となるのが「オピオイド系鎮痛薬」である。松山市にある富永ペインクリニック院長の富永喜代医師が言う。
「これは脳や脊髄、末梢神経にある『オピオイド受容体』に作用する薬です。分かりやすく言えば、痛みの伝達そのものを止める薬というわけです。
オピオイド系鎮痛薬は、日常生活を脅かすほどの強い痛みが3ヵ月以上続く『慢性疼痛』と呼ばれるケースで初めて処方が考慮されますが、医師は自己判断で勝手に処方するのではなく、『神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン』という治療指針に基づいて処方しています」
怖いと感じる読者もいるかもしれないが、オピオイド系の薬にはいわゆる「麻薬」も含まれる。
麻薬密輸の疑いで今年6月18日に逮捕された、トヨタのジュリー・ハンプ元常務が持病のひざの痛みを和らげるために所持していた「オキシコドン」も、このオピオイド系の一種。日本では長らく中度・重度のがん患者にしか使われなかったが、最近になって少しずつ慢性的な痛みにも処方され始めた。モルヒネもオピオイド系だ。
腰痛などの慢性疼痛に処方されるオピオイド系鎮痛薬には、飲み薬のトラマールやワントラム、貼り薬のノルスパンやデュロテップ、坐薬のレペタンなどがあるが、これらの薬の多くは使用している間、医師によるモニタリングが必須となる。
近年では、一般的な鎮痛剤が効かない人や、胃腸・心臓・腎臓が弱い人のためにトラムセットと呼ばれる薬も登場している。このトラムセットは、オピオイド鎮痛薬と一般的な鎮痛薬を合わせた薬。神経痛にも効果があり、副作用が比較的少ないため、高齢者でも使いやすいという。
普通の鎮痛薬に比べてはるかに強力な効き目をもつオピオイドだが、吐き気や便秘、目まい、眠気といった副作用が出ることがある。長期間使用し続けると知らない間に依存症を引き起こすかもしれないので、医師の指導には十分に従おう。
また、椎間板ヘルニアなどの場合、手術を受けてもなかなか腰痛が治らないという人もいる。原因がはっきりしていて、とにかく早く痛みを消したいという場合には、病院で神経ブロック注射を受けるのも有効だ。
■肩の痛み・ひざの痛み
慢性の肩の痛み、ひざの痛みはどうだろうか。これまでに名前の挙がった中では、炎症を和らげて痛みをおさえる消炎鎮痛剤のセレコックスがよく効くといわれている。同じ鎮痛剤でも、解熱鎮痛剤であるノーシンなどの「アセトアミノフェン」を主成分とする薬は、効きづらいので要注意。単に効き目の強弱だけでなく、痛みの種類や原因によっても薬を使い分ける必要があるのだ。
肩の痛みには、ストレスが原因のものもある。
「会社で仕事をしているときは痛いのに、休みにゴルフに行くと収まるという人がいます。こういうケースでは、痛み止めのほかに精神安定剤のデパスを出すことがあります」(前出・佐藤氏)
ひざ関節の痛みの多くは、老化によって軟骨がすり減り、骨が削れて炎症を起こすことで起きる。ステロイド薬をじかに関節へ注射して炎症を抑えたり、潤滑剤となるヒアルロン酸を同じく関節に注射するといった治療がポピュラーだが、一方でなかなか改善しないという人も多い。
佐藤医師によれば、ひざの痛みの本当の発生源は、実際には人によって千差万別なのだという。
「変形性膝関節症の治療を長年受け続け、ひざの関節にヒアルロン酸を注射して痛み止めも飲んでいるのに、痛みがひかない人がよくいます。
そういう患者さんは、実はひざではなく腰が痛みの原因であることが少なくありません。ひざのレントゲンを撮っても異常が見つからないのに、腰のレントゲンを撮ると、骨と骨の間が狭くなっている。こういう方は、硬膜外ブロック注射をすると歩けるようになることが多いですね。
あまりにも痛みがひどい場合には、関節の炎症ではなく神経障害性の痛みの場合があるので、『ビリビリする』『キリキリと痛む』ようなら神経痛に効く鎮痛薬のリリカを処方します」(前出・佐藤氏)
■意外に効くあのクスリ
リウマチや痛風も、関節痛の大きな原因だ。これらについても、解熱鎮痛薬ではなく消炎鎮痛薬のほうが効果が高い。箱に「アセトアミノフェン系」と書かれた痛み止めしか常備していないという人は、ロキソニンやセレコックスなど、炎症を抑える効果のある薬を使うようにするとよいだろう。もちろん、当座の痛みを抑えるだけでなく、病気の治療も大切なのは言うまでもない。
ある時突然ズキズキと襲ってきて、一度痛み始めると何も手につかなくなるのが歯の痛みだ。かといって、いつもすぐに歯医者へ駆け込めるとは限らないのがつらいところ。医療法人貴和会・歯周病インプラントセンターの佐々木猛院長が言う。
「鎮痛作用が高いのはボルタレン坐薬、ボルタレン、ロキソニンの順ですね。患者さんがかなり強い痛みを訴えているときは最初からボルタレンを処方することもありますが、実際はできるだけ早く治療を行うので、薬だけで鎮痛を図ることはあまりありません。
ロキソニンが飲めない人やお子さんの場合は、副作用の少ないカロナールやソランタールを処方します。この2つは喘息がある人でも使えます」
昔から歯痛の応急処置として馴染み深い「正露丸を直接歯に詰める」「新今治水を患部に塗る」といった鎮痛法も、長続きはしないものの即効性があり、意外に侮れない。
日々の暮らしの中で、どうしても避けて通ることのできない、つらい痛み。痛み止めの薬は無数に出回っているが、「自分の痛みに本当に効く薬は何か」「その薬はどうして効くのか」を知っておけば、いざというときにも安心というものだ。
「週刊現代」2015年8月15日・22日合併号より
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