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猪原匡史医師(撮影/山本朋史)
脳梗塞の薬が認知症治療に効果あり? 治験で実証へ〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150811-00000004-sasahi-hlth
週刊朝日 2015年8月14日号より抜粋
脳梗塞再発防止薬のシロスタゾールは、本当に認知症治療に有効なのか。このたび、国立循環器病研究センター(大阪)の猪原匡史(まさふみ)・脳神経内科医長が、認知症予備軍の軽度認知障害(MCI)の人に治験を始めるという。認知症早期治療実体験ルポ「ボケてたまるか!」の筆者・山本朋史記者が、猪原医師に話を聞いた。
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猪原医師らのグループは昨年2月、シロスタゾールが認知症の進行予防にも有効だと発表した。論文はアメリカの科学誌にも掲載された。
症例としては、淡路島の洲本伊月病院でアルツハイマー型認知症の進行抑制にドネペジル塩酸塩(アリセプト)を服用している患者さんがあげられている。その中でシロスタゾールを併用している人と飲んでいない人のミニメンタルステート検査(MMSE)を比較したところ、シロスタゾール併用組の認知機能低下が抑えられていることがわかったという。特に記憶の再生や自分が置かれている状況の把握能力(見当識)の低下にブロックがかかった。
併用患者69例、アリセプトのみの患者87例で調査した結果である。
猪原医師は言う。
「この調査はあくまでカルテの記録を基にした後付け的な解析です。今回の治験では、アリセプトとの併用ではなくシロスタゾール単体を使う。前向きの解析ができると期待しています」
研究は、アルツハイマー病のモデルマウスでシロスタゾールが脳に蓄積する老廃物の排泄を促進する作用があることまでを、すでにつきとめている。
MRI画像でわかった脳の微小出血が認知症と大きな関係があることは以前から知られていた。アミロイドβの増加によって血管に亀裂が起き、出血して認知症が発症するという見方だ。これがシロスタゾールによって回避できるのではないか、というのが猪原医師らの考えである。
シロスタゾールは脳梗塞再発防止の既存薬で副作用についても周知されている。猪原医師は言う。
「シロスタゾールの服用で頭痛などを起こす人もいますが、投薬を止めると治ります。安全性も確かめられていますし、使いやすいと思います」
厚生労働省の定義によると、MCIは疾患ではなく「状態」だという。したがってMCIの人に保険適用による認知症薬処方は現状では原則できない。今回の治験でMCIの人に対してシロスタゾールの有効性がわかったとして、保険適用の処方薬として認められる可能性はあるのか。ぼくはその点も知りたかった。
高齢者が急増し現在、認知症が大きな社会問題となっている。認知症になる前のMCIの段階で歯止めをかけることが急務だとぼくは思う。その際、処方薬ほかケアに関わる費用に保険が利くか利かないかは大問題だ。猪原医師は言う。
「高血圧と脳卒中の関係と一緒だと思います。高血圧の患者さんに血圧降下薬を処方しないといつかは脳卒中になってしまいます。製薬会社は近い将来、MCIは疾患として認められると判断、シロスタゾールが処方薬として活用されると予測していると思います」
出回っている既存薬が他の病気の薬にもなったケースでは、てんかんの薬であるゾニサミドがパーキンソン病に有効だとして使われるようになったことがある。この場合は薬1錠あたりの成分量を少なくしたため、成分は同じだが新薬扱いとなって、トレリーフという商品名に変わっている。
さらに注目すべき発言もあった。
「治験前の予測は控えなければなりませんが、これまでの調査からシロスタゾールは認知症の中でもレビー小体型に最も効果的で、次にアルツハイマー型、脳血管性認知症はその次というような報告もあります」
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