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(回答先: [医 出づる国]揺らぐ信頼(4)能力どう評価 患者も目磨く 「名医」を疑え 投稿者 あっしら 日時 2015 年 7 月 19 日 06:21:29)
[医 出づる国]揺らぐ信頼
(5)最先端なら治るのか 進歩する技術、安全が死角に
「(医師は)未確立な治療の危険性をわかりやすく説明していない」
5月半ば、東京地裁は兵庫県の女性(71)が都内のクリニックを相手取って起こした訴訟で、損害賠償請求の一部を認める判決を言い渡した。
原因不明の手足のしびれに長年苦しんでいた女性が受けた治療は、新たな技術として期待が高まる「再生医療」の一種。3年前、様々な細胞の元になる幹細胞を第三者の脂肪から取り出して培養、それを点滴で投与された。費用は100万円超。ところが、その後、症状は悪化してしまった。
効果ばかり強調
治療前、女性は車いすを使っていた男性が歩けるようになったビデオを見せられた。特別な危険はないとも聞いた。
iPS細胞の登場でがぜん注目を集める再生医療だが、「これからつくりあげていく技術」(厚生労働省研究開発振興課)でもある。にもかかわらず、健康保険が利かない自由診療として患者に実施するクリニックなどが珍しくない。女性の代理人を務めた田口明弁護士は「どんな治療にもリスクがあるのに、光が当たる面ばかり強調する医療機関がある」と指摘する。
国は再生医療振興に旗を振る一方、患者を守るために昨秋、再生医療等安全性確保法を施行。再生医療を実施するには、専門家による審査と国への届け出が必要とした。ただ、国には自由診療を把握する手立てがなく、法がどこまで有効かは不透明だ。
大きな病院で受ける新たな治療法や、国の制度にのっとる先進技術なら安心かというと、必ずしもそうとは言い切れない。
金沢大学病院で2010年3月、骨肉腫を治療していた当時16歳の少女が急性心不全のため死亡した。国の先進医療制度で認められた「カフェイン併用化学療法」の実施中だった。
カフェインを併せて投与することで抗がん剤の効果が高まるという同療法も安全性・有効性を調べる臨床試験の段階。正確な試験結果を得るためには一定条件を満たした患者にしか実施できないはずだったが、これが守られていない中で事故が起きた。
看板と中身ズレ
厚生労働省は昨秋、同療法を先進医療制度から外した。安全性や有効性はわからないままだ。
少女の死亡を知り、13年に厚労省に告発した金沢大の小川和宏准教授は「『先進』と看板を掲げた治療法だったが、病院や医師がまったく逆の古い体質だった」と批判する。
未承認の技術などを伴う臨床試験・研究は「すべて国に届け出る仕組みにすべきだ」(日本医科大の勝俣範之教授)との声もある。病院任せは危険との考えだ。
既存の治療法で効果が出ない患者が先端技術にかける思いは強い。だからこそ、「医師は既存の医療行為よりも丁寧に説明する義務がある」(田口弁護士)。患者も納得したうえで合意することが欠かせない。医師と患者の信頼関係なくしては医療の発展もあり得ないはずだ。
=この項おわり
(関連記事を社会面に)
[日経新聞7月16日朝刊P.2]
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[医 出づる国 Q&A]
(5)混合診療で選択肢増やす がん陽子線治療やロボ手術…
日本の公的医療保険制度では原則として、安全性と有効性が確立した治療法しか使えない。しかし患者の中には、まだそれらが確立していない新たな治療法を試したいという要望もある。そこで治療の選択肢を広げようと、例外的、暫定的に新技術の使用を認める「先進医療」制度が用意されている。
Q 先進医療とはどういう仕組みか。
A 一連の治療の中で新たな医療技術(先進医療)部分は公的保険が利かず全額患者負担になるが、検査や入院など通常の医療と共通する部分は保険が使える仕組み。保険が利く診療と利かない診療を組み合わせる「混合診療」の一種だ。
新技術は専門家でつくる厚生労働省の先進医療会議が一定の審査をしたうえで使用を認める。7月時点で109種類の技術が対象となっている。有効性・安全性が確立したと認められれば、これらの新技術も保険が利く治療に移る。
Q 実際にどんなものがあるのか。
A 陽子線や重粒子線によるがん治療、支援ロボット「ダビンチ」を使った手術、口の粘膜を培養し角膜として移植する技術などがある。2014年度の実施医療機関は571施設。利用した患者数は2万3925人で、10年度と比べて倍増した。
Q 16年度から新たな混合診療の制度も始まる。
A 患者の希望によって未承認の薬などが使える「患者申し出療養制度」だ。現在の先進医療制度よりも迅速に身近な医療機関で公的保険では認められていない治療法を試すことができるという。ただ安全性などを懸念する声も出ている。
木村彰、山口聡、高田哲生、江口博文、山崎大作、平野慎太郎、辻征弥、新井重徳、新田裕一、山崎純、小川知世、吉田三輪、大西康平、井上みなみが担当しました。
[日経新聞7月16日朝刊P.34]
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