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政府はジェネリック医薬品の使用を推奨しているが、ジェネリックの問題点はきちんと説明していない(写真はイメージ)
先発品と「同じ」?誤解されているジェネリック 政府は有効性、安全性の違いをきちんと説明せよ
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44202
2015.7.6 多田 智裕 JBpress
6月22日、政府の経済財政諮問会議は「ジェネリック(後発品)」の使用割合を2年後に70%以上、最終的には80%以上とする方針を決定しました。
現在、ジェネリックを使用するかどうかは患者の選択にまかせており、使用割合は50%程度です。自己負担が少ない安い薬を希望する“権利“を行使するかどうかは患者次第、というわけです。
しかし、今後、ジェネリック使用割合80%以上を達成するために診療報酬上の措置など「必要な追加的な措置」を講じるとなると、ジェネリック医薬品使用が「ほぼ義務化される」ことになるといっても良いでしょう。
ジェネリック使用割合を80%以上にするために必要な追加措置とは何でしょうか。
これまでの経緯からすると、「医薬品の参照価格制度」(ジェネリックと先発品の価格差を患者の自己負担とする制度)と「薬価の毎年の改訂」を意味していると言って良いでしょう。
これらは、いずれも議論が必要な措置とは思います。しかし、「ジェネリック医薬品は安定供給や信頼性、情報提供の充実などに先発品との差が存在し、また添加物の差により効果に差が出ることもある」ことが広く国民に理解されているでしょうか? 政府はまずきちんとそのことについて情報提供するよう方針を転換するべきだと思います。
■ジェネリックの使用を促す「参照価格制度」
2014年度、先発品から変更可能な薬剤のうちジェネリックが処方された割合は50%まで達しています。ジェネリックが、「先発品と同じではないにせよ同等の効果がある」ならば価格の安い薬剤の方を希望する人がそれだけいたということです。
となると、保険制度上、価格の安いジェネリックを選択して、医療費を下げるのに協力してくれる人と、先発品を希望してそちらを使用している人との間に不公平が生じているという見方もできます。
その不公平を解消する方式が「参照価格制度」と言われている施策です。これは各疾患の薬剤の平均値を算定し、その価格以上は保険からは支払わないという制度です。
現実的には「ジェネリックの薬価を基準として、ジェネリックと先発品の価格差を患者の自己負担とする制度」となります。つまり、ジェネリックを選択した人は現状の3割負担で済むものの、先発品を希望した場合には、ジェネリックと先発品の価格差が全額自己負担となるということです。
ジェネリックが、先発品と本当に「有効性と安全性において同等」であるならば、ジェネリック利用率が50%まで来た現状は、参照価格制度の導入を受け入れる土壌が整ってきていると言えるのかもしれません。
■潰瘍性大腸炎に効果のなかったジェネリック
しかし問題は、ジェネリックは先発品と決して同じではないことです。
安倍首相も罹患していることで有名になった潰瘍性大腸炎という、大腸に小さな潰瘍が多発して、下痢と腹痛や粘血便などをきたす腸の病気があります。この病医に対しては、腸の粘膜に作用する「メサラジン」(商品名は「ペンタサ」ないしは「アサコール」)という薬剤を多くの場合まず内服してもらい治療を開始します
この、潰瘍性大腸炎の治療に使用するペンタサという薬剤の先発品は錠剤ですが、あるジェネリックメーカーが“飲みやすい味の顆粒剤”を発売したので、説明の上、希望された数人の患者さんに処方したところ、全員に「効かなくて症状が悪化した」と言われました。
おそらく、剤形を変えたために、有効成分が胃で放出されてしまい、大腸までしっかり届かなかったためと思われます。
ペンタサは時間依存性徐放剤で、胃や十二指腸で薬剤が放出されず小腸から大腸にかけてメサラジンを放出するように、コーティングに工夫が施されています。ジェネリックも同様の工夫をしたとは思いますが、製造方法に高度な技術を要するため、簡単に先発薬の真似ができなかったということなのでしょう。
ジェネリック認可の基準は血中濃度のみで、大腸における薬剤の成分測定が行われていません。そのため、このような事例を防ぐことはできないのです。
つまり、届けたい場所に有効成分を届けるドラッグ・デリバリーの技術が重要な薬剤のジェネリックは「先発医薬品と同等の安全性と有効性が担保されている」とは言えないのです。
■毎年の薬価改定が安定供給に影響を及ぼす理由
もう1つ議論されているのが、薬価の毎年の改定です。
毎年、薬剤の販売状況と取引価格に併せて薬価を改定すれば、多くの場合、薬剤の価格が下がります。取引量の多い薬剤は、他のメーカーも発売し、競争のため値引きが行われていることが多いからです。
薬剤価格が安くなるのであれば毎年改定すれば良さそうなものなのです。ところが、薬剤の安定供給という観点からすると、これには問題があるのです。
薬剤は原料の準備のために半年先くらいの需要を予測して、在庫を確保する必要があります。もしも毎年、薬剤価格が変わると、製薬会社は、価格の下がった在庫を抱えざるを得なくなります。かといって在庫を持たないと、安定供給できない場合が発生することになるというわけです。
■「有効性、安全性は先発品と同じ」という説明はもうやめよ
これまで政府は、一貫して「ジェネリックは有効性と安全性において先発品と同じである」と説明してきました。もし本当にそうなのであれば、ジェネリック数値目標を“数年後に80%“とするのではなく、今すぐ「保険給付は『ジェネリック医薬品処方』のみを対象とし、先発品を希望される方には差額を支払ってもらう」と制度を変えても何の問題もないはずです。
しかし、これまで述べたように、(ごく一部かもしれませんが)現場の医師は、ジェネリックにより健康被害を引き起こす事例が存在することが分かっています。また、製薬関係者も、ジェネリックは安定供給において不安があることを否定できないでしょう。
ジェネリックの有用性は確かに分かります。しかし、ジェネリックをほぼ義務化する前に、まず政府は「ジェネリック医薬品は安定供給や信頼性、情報提供の充実などに先発品との差が存在し、また添加物の差により効果に差が出ることもある」ときちんと説明してほしいと切に願います。
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