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「後発薬、医療費抑える?:明確なデータいまだ乏しく 普及へ丁寧な開示必要 」
http://www.asyura2.com/13/hihyo14/msg/699.html
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[そこが知りたい]後発薬台頭 製薬各社にどう影響 日本製薬工業協会会長 多田 正世氏
新薬に比べて割安な後発医薬品の普及が加速している。厚生労働省は医療費を抑制するため、2020年度までに医薬品に占める後発薬の数量シェアを現在の50%強から80%以上に高める方針を打ち出した。製薬企業の経営にどう影響するか。新薬メーカーが加盟する日本製薬工業協会の多田正世会長に話を聞いた。
――後発薬の普及目標が引き上げられます。
「政府の使用促進策が効き、後発薬は急速に普及している。今の勢いが続くと、厚生労働省が打ち出した20年度、シェア80%との後発薬の新しい普及目標は達成できるのではないか」
「ただ後発薬が普及すると、新薬メーカーの収益を支える特許切れ新薬(長期収載品)の販売は減る。実際に製薬協に加盟する22社の国内医療用医薬品の総売上高は昨年度、4兆900億円と約4%減った。減収はデータを比較できる11年度以降で初めてだ」
――新目標の達成時期を3年早め17年度にすべきだとの考えもあります。
「事業環境が2年で激変すれば、我々は手の打ちようがない。フェアではない。新薬開発は10〜15年かかり、開発を急いでも間に合わない。売上高が減るなかで利益を確保するには、大幅なコスト削減を断行するしかない。5年あれば研究開発費や人件費などを計画的に減らせる。環境変化にある程度は対応できるだろう」
――後発薬メーカーに比べて新薬メーカーは高コスト体質です。
「新薬を開発するための研究開発部門や、新薬発売後の副作用情報などを収集する専門組織を抱えているからだ。社長を務めている大日本住友製薬の場合、連結売上高の2割強にあたる年間870億円を研究開発に投じている」
「副作用などの情報収集は新薬の特許が切れた後も続け、当社で100人強が従事している。新薬の供給責任を全うするため、薬価や処方数量が想定を大きく下回った場合でも、生産を簡単には中止できない」
――新薬メーカーの経営はどう変わりますか。
「海外売上高の比率が低い中堅メーカーほど厳しくなるだろう。こうした企業では売上高や利益の4〜7割を特許切れ新薬が稼ぐ。割安な後発薬に処方がシフトすると、中堅メーカーは研究開発費や人件費を減らし利益を確保するだろう」
「だが研究開発費が減ると、肝心の新薬開発にも支障が出てしまう。新薬を出せない製薬企業の経営は、やがて行き詰まる。今後は新薬メーカーから後発薬メーカーに転換し、生き残ろうとする製薬企業が出てくるかもしれない」
ただ・まさよ 1968年(昭43年)東大経卒、住友化学工業(現住友化学)に入社。2008年から大日本住友製薬社長。14年から日本製薬工業協会会長。大阪府出身。70歳。
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聞き手から一言
日本にとって社会保障費の膨張をどう抑えるかは喫緊の課題で、割安な後発薬の普及促進は政策の大きな柱となっている。後発薬に取って代わられそうな特許切れ新薬への依存度が高い製薬会社の経営にとっては大きな打撃だ。
だからこそ新薬メーカーには、今まで以上に画期的な新薬を開発することが求められる。現時点では治療法のない病気向けの薬や、より副作用が少ない薬を世の中に出すことができるのか。研究開発費を捻出し続ける知恵に加えて、新薬メーカーとしての存在意義そのものが問われている。
(北沢宏之)
[日経新聞6月14日朝刊P.5]
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