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医師に殺される!不必要に高難度の手術で失敗、誤診に基づく手術後死亡、遺族に虚偽説明
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150424-00010004-bjournal-soci
Business Journal 4月24日(金)6時1分配信
千葉県がんセンターで11人、群馬大学医学部附属病院で8人――。日本有数の大規模専門病院で、内視鏡の一種である腹腔鏡を使った手術による死亡事例が相次いでいたことが判明した。両院とも3月に報告書を公表し、検査体制の不備や執刀医の技量不足が指摘されている。内視鏡手術は、患者の負担が少ない手術法として増加傾向にあるが、医師の技量によっては、逆に極めて危険であることが明らかになった。
群大病院では、2010年12月から14年6月までに、8人が腹腔鏡での肝臓切除手術後に死亡している。被害者弁護団の依頼を受け、術中のビデオを検証した都内の内視鏡認定医は「血の海の中で手術をしているような状態だ。腹腔鏡の技量については、かなり悪いといえる」と厳しく指摘した。
この8例はすべて、同院第2外科に所属していた40代の男性助教(3月末に退職)によって執刀された。病院側は、手術前に必要な検査をしていなかったり、患者の家族に対する説明を怠っていたなどとして、8例すべてについて「過失があった」と認めている。
さらに、腹腔鏡手術での死亡例を検証する中で、開腹手術でも10人が死亡していることが明らかになった。そのうち1例では、「がんがある」として手術をしたにもかかわらず、術後の検査でがんではなかったことが判明、患者は術後3日目に死亡した。病院側はその後、遺族にがんではなかった事実を説明せず、死亡後の書類にも「がんだった」と虚偽の記載をしていた。
この医療事故について、一部週刊誌では『「殺しのライセンス」を持つ男』とセンセーショナルな見出しが躍ったが、それも決して過言ではないような所業が次々と明るみに出ているのだ。
千葉県がんセンターでも、08年6月から14年2月に行われた腹腔鏡手術で11人が死亡した。外部委員による検証委員会では、そのうち10例でなんらかの過失があったと認定されている。8例を担当した医師は、腹腔鏡手術の第一人者として、全国的に名の知られた存在だった。しかし、やはり「腹腔鏡を片手で操作するなど、危険性が危惧される手技がある」と指摘されている。1例を担当した医師については、「(技量が)安全に手術を実施できる水準に至っていない」と判断されており、遺族としてはたまったものではないだろう。
内視鏡を使用する外科手術は、1980年代後半から始まった。患者の体に数センチの穴を開け、そこから内視鏡や専用のレーザーメスなどを体内に入れ、検査や手術を行うのが一般的だ。手術とはいえ、切り開く部位が小さくて済むため、患者の負担は少なく、回復も早い。そのため近年、増加傾向にある。また、内視鏡は、日本の精密機器メーカー・オリンパスが世界シェアの約70%を占めていることでも知られている。
●手術の腕は実績ではわからない
「まるでテレビゲームのようだ」とも言われるように、内視鏡手術は、内視鏡に取り付けられたビデオカメラの映像を見ながら行われる。平面のディスプレイでは奥行きの感覚などをつかむのが難しく、血管や臓器を避けながら病巣を摘出する難易度は相当なものだ。そのため、開腹で行う手術以上に、執刀医の技量が問われる術式になる。
死亡事例が続いていたにもかかわらず、両院が長年の間、問題視されなかったのには理由がある。群大病院では、第1外科と第2外科が実績を争っており、千葉県がんセンターでは、腹腔鏡手術を同院の売りとしていたこともあり、本来ふさわしくない症例であっても、あえて腹腔鏡で手術を行おうとする風潮があったのだ。また、内視鏡全般について詳しい医師がまだ少なく、死亡事例が続いても周囲から指摘されづらいという環境もあった。
問題が明るみに出るまで、両院とも「腹腔鏡手術に強い病院」として、病院ガイドなどに紹介されていた。ある医師は、「腹腔鏡手術自体は、安全性の高い手術です」と前置きをした上で、「手術が本当にうまいかどうかは、件数などのデータではわかりません。それより、患者が疑問をぶつけたら、丁寧に説明してくれるかどうかなどで医師の技量を見極めるべきでしょう。最後は人間性で判断するしかないと思います」と語る。
自分や、大事な家族の体を預けるに値する医師かどうか、慎重に見極めなくてはならない時代になったようだ。
文=処哲也/フリーライター
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