http://www.asyura2.com/14/iryo4/msg/487.html
Tweet |
肺がんも長期延命が可能に タイプ別の個別化診療とは?〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150407-00000000-sasahi-hlth
週刊朝日 2015年4月10日号より抜粋
肺がんは近年、遺伝子に何らかの要因が加わって異常をきたすと発症することがわかっており、検査した腺がんのうち75%にがんの原因となる遺伝子異常が判明している。九州がんセンターの呼吸器腫瘍科で低分化腺がんと診断された福岡県在住の会社員、田村明宏さん(仮名・34歳)もその一人。
はっきりとした原因はまだ明らかになっていないが、たばこの副流煙や、たばこの煙が付着した毛髪や衣服などから影響を受けるサードハンドスモーク、大気汚染も理由のひとつと考えられている。
診療にあたる瀬戸貴司医師は遺伝子解析の手続きをし、がんのタイプをさらに細分化した。すると、ALK遺伝子という遺伝子に異常が起こり、がんの増殖力が非常に強くなった「ALK肺がん」であることがわかった。
同年5月、ALK肺がんに有効とされる「クリゾチニブ」という薬がすでに登場しており、保険も使えるようになっていた。これまでの抗がん剤と異なり、特定のがん細胞だけを攻撃する分子標的薬だ。
肺がんの薬物治療をしている人の平均生存期間が約1年であるのに対し、ALK肺がんをクリゾチニブで治療した人の約半数が2年以上生存している。田村さんも、クリゾチニブの治療を開始した。
「標準的な治療では、最初に抗がん剤を使います。ただ田村さんは、1日の半分以上をベッドで過ごさなくてはならないほど非常に体調が悪く、抗がん剤治療を受けられる体力がありませんでした」(瀬戸医師)
最初からクリゾチニブを使った田村さんだが、重い副作用は出ず、従来の抗がん剤治療ができるほど体力が回復。効果が出て良好な経過をたどり、1日数時間という規制はあるものの職場に出て、軽作業ができるまでに改善したという。
ところがその矢先に、またがんが悪化し始めた。薬物治療には、徐々に効果がなくなっていく「耐性」という現象があるからだ。
田村さんに耐性が現れた13年9月当時、分子標的薬で2番目のALK阻害薬「アレクチニブ」の臨床試験がおこなわれており、田村さんは瀬戸医師の勧めでこれに参加した。がんは肺の外側まで飛び出して痛みもあったのだが、治療を開始すると、薬の効果によりがんは縮小し、消えた。
田村さんは職場への完全復帰を果たし、その後18カ月経った今も再発しておらず、経過を見て生活している。
アレクチニブには、がんを悪化させないまま生存できる期間が平均27カ月という試験データもあり、瀬戸医師は「アレクチニブは、かなりの効果が期待できます」と言う。
ALK肺がんは、全肺がんのうちの3〜4%にすぎないが、肺がんだけで年間7万5千人が亡くなっていることを考えれば、該当する3千人以上の人々にとって大きな福音となる。
肺がんで最初に発見された遺伝子の異常は、EGFRという遺伝子だ。その異常がある肺がん患者に対しては、EGFR阻害薬「ゲフィチニブ」がよく効き、それまで難しかった延命を実現した。製品名「イレッサ」といえば、大きな裁判もあり聞き覚えがあるかもしれない。EGFR遺伝子の異常については、耐性が現れた後に使える薬も開発されている。
次に見つかったのが、ALK遺伝子の異常だ。これは間野博行東京大学大学院医学系研究科教授が発見したもので、医学界では大きな話題となった。
従来はがんの組織型に分けておこなわれてきた治療だが、遺伝子の異常が次々に解明され、タイプ別に治療をおこなう個別化医療(テーラーメイド医療)への道が開かれつつある。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。