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iPS細胞研究の第一人者・山中伸弥教授(C)日刊ゲンダイ
「iPS細胞」続々実用化で薬いらずに? 製薬業界が戦々恐々
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/158283
2015年3月23日 日刊ゲンダイ
iPS細胞をめぐる研究成果が相次いでいる。この週末、「日本再生医療学会」で発表された成果の一部を紹介すると、「糖尿病治療に応用へ」「世界で初めて人工神経で機能が回復」「血管網のある心筋組織作成」「腎不全治療の第一歩」「難病・筋ジストロフィー治療に道」……といった具合だ。
一般紙の科学面に躍った見出しを見ると、生活習慣病から難病まで、ありとあらゆる病気が治りそうな気がしてくる。抜粋した成果はマウス実験レベルがほとんどだが、すでに人での研究が進んでいるケースもある。
iPS細胞は、心臓や目などあらゆる細胞に変化できる万能細胞で、採取の負担が軽い皮膚の細胞から作られるのが一般的。臨床研究が進むのは目の網膜の再生治療だ。自分のiPS細胞が使われた1人目に続き、2人目は他人のiPS細胞が使われるという。
「iPS細胞研究の第一人者、山中伸弥教授率いる京大は、拒絶反応が起こりにくいタイプのiPS細胞を作って備蓄する『iPS細胞ストック事業』を始め、供給体制を整えています。この細胞を使えば、自分の細胞を使うより、費用も時間も節約できる。1人目の網膜治療は1億円かかったそうですが、ストック細胞なら1000万円で済み、治療期間は1年から半年に短縮できるとされているのです」(学会関係者)
自分の万能細胞を使って、病気を治すのがiPS細胞治療の第1段階だったが、今や他人の細胞を使うまで研究が進化している。日進月歩の研究成果に戦々恐々なのが製薬業界だ。
「あらゆる臓器の再生が可能になると、たとえばがん化した臓器をiPSで再生した臓器に置き換えたら、がんが治癒してしまうので、高額な抗がん剤が売れなくなります。もっと痛いのは、生活習慣病の薬への影響です。近い将来、膵臓の機能低下が原因のひとつの糖尿病が、iPS膵臓で治るようになることも考えられます。そうなると、死ぬまで服用するのが前提の血糖降下薬の売り上げが激減するかもしれません。“ドル箱”の生活習慣病の薬が不要になったら、製薬業界は死活問題。iPS細胞は、あらゆる病気の薬を不要にする可能性を秘めていて、大手でさえうかうかできないのです」(業界関係者)
研究者に近づいて共同研究を持ちかける企業もある。大手も必死だ。
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