http://www.asyura2.com/14/iryo4/msg/464.html
Tweet |
米の超高額新薬、重い負担
がん・肝炎 効果は大きく
米国で極めて高額な処方薬が増えている。円換算で1錠が10万円を超えるような新しい薬が承認され、治療のための薬代が1千万円に達する例も出始めた。C型肝炎で治癒率が9割を超えるなど効果の大きい薬が登場し、病に苦しむ患者には朗報だ。しかし、議員や医師、従業員向けに保険を提供する企業などからは「負担が重すぎる」と批判の声も出ている。
薬価1錠13万円
薬価の上限を政府が決める日本と異なり、米国では価格の決定が製薬企業に任されている。
昨年10月に米食品医薬品局(FDA)の承認を受けた米バイオ製薬ギリアド・サイエンシズのC型肝炎の新薬「ハーボニ」は、1錠が1125ドル(約13万円)もする。1日に1錠を12週間の標準的な期間、服用したとすると9万4500ドル(約1100万円)もの費用がかかる計算になる。
同社の既存のC型肝炎治療薬「ソバルディ」も1錠1000ドルと高価だったが、ハーボニはさらに高い値段だ。
昨年12月にFDAが承認した米アッヴィの競合薬「ヴィキラ・パック」は1錠あたり約250ドルと、単価はハーボニより安いが、1日当たり4錠の服用が必要で、12週間の費用は8万ドル(約930万円)を超える。
米メルクが昨年9月にFDAから承認を受けたのは、新しいがん治療薬「キートルーダ」。価格は1カ月の服用で1万2500ドル(約145万円)だ。
こうした新しい薬の治療効果が大きいことは確認されている。例えばC型肝炎で従来主流の治療法は複数の薬とインターフェロンと呼ばれる注射剤を併用し、6カ月から1年間治療を続ける必要があり、治癒率も7割程度とされた。
これに対し、ギリアドのソバルディやハーボニは錠剤で服用期間も短く、最も一般的なタイプのウイルスでは治癒率が9割を超えるという。C型肝炎は症状が進むと肝硬変やがんを発症する可能性があるため、ギリアドは価格についても「長期的な(治療費の)節約効果を踏まえれば適切」と説明する。
メルクの新薬は、免疫の仕組みを使ったがん治療薬として米国で初めて承認されたもの。悪性皮膚がんの一種で既存薬が効かなかった患者にも効果がみられたという。同社は価格について「他の革新的ながん治療薬とおおむね一致する水準」と説明する。
新薬は開発に巨額の費用がかかるが、実際に製品にできる確率は非常に低い。特許の期間が切れる前に開発費用を回収するためには、製品になった薬の価格をできるだけ高く設定せざるを得ない面がある。
製薬会社に批判
それでも「製薬会社は高額の薬で不当な利益を得ている」との批判は根深い。米国の大手製薬会社の営業利益率は2割程度と銀行並みの高水準だ。昨年3月には複数の米議員がギリアドに対し、ソバルディの価格設定の適正さについて説明を求める文書を送付したことが話題になった。
昨年12月に米ペンシルベニア州フィラデルフィアの公共交通事業局である南東ペンシルベニア交通局が、ソバルディの価格を巡り、ギリアドを相手取って集団訴訟に踏み切った。「従業員向け医療保険の支払いが高額で、打撃を受けた」との主張だ。
約13万人の内科医らが加盟する米国内科学会(ACP)は2月、高額化する処方薬に対応を求めるキャンペーンへの支持を表明した。「あまりに高額で患者や医師が負担を支えきれない新薬が増えている」(同学会プレジデントのデビッド・フレミング氏)と懸念を示した。
直近ではこうした高額薬に競合する薬の投入が進み、製薬各社が割引価格での提供を始める動きも出ている。新薬が超高額になる傾向に歯止めがかかるか、注目が集まっている。
(ニューヨーク=西邨紘子)
米の処方薬
米国では処方薬の価格水準は全体に上昇傾向にある。英調査会社のエバリュエート・ファーマによると、米国で患者1人あたりの1年間の服用に5万ドル(約600万円)以上かかる処方薬の数が、2010年の7種類から14年には19種類に増えた。ここ数年、がん治療などで新世代の医薬品が次々と実用化したことなどが背景。医薬品価格も自由競争の米国では、同じ薬の価格設定が他の先進国の数倍、途上国の数十倍という例も多い。
[日経新聞3月17日夕刊P.2]
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。