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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ
「グルタチオン点滴療法」はパーキンソン病患者の希望の星か
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/157902
2015年3月11日 日刊ゲンダイ
パーキンソン病は、脳の神経伝達物質「ドーパミン」が減少する進行性の病気だ。典型的な症状は、手足の震え、動作が遅くなる、筋肉のこわばり、姿勢の異常など。薬物治療が中心だが、進行を止める根本治療はなく、仕事や日常生活が困難になるほど副作用も強い。そこで今、パーキンソン病の画期的な治療として、アミノ酸が結合してできた物質「グルタチオン」を点滴するグルタチオン点滴療法(以下、点滴療法)が注目を集めている。
病院では“打つ手がなくなった”とされる患者でも、点滴療法は高い治療結果を出している。
九州在住の70代の女性は、パーキンソン病歴15年で寝たきり。胃ろうをつけていて、能面のように表情がない。舌の出し入れもできず、手足の震えがひどかった。
ところが点滴療法を受けて6週間後、表情が豊かになり、舌の出し入れができ、自分で食事ができるように。手足の震えは減少し、自分で歩けるようになった。その後、パーキンソン病の薬は必要なくなったという。
「点滴療法を行う全国の医療機関から寄せられた784症例中、有効例は385症例と約5割。“やや有効”も入れれば6〜7割はいくでしょう」
こう言うのは、2004年に日本で初めてこの点滴療法を行った「スピックサロン・メディカルクリニック」(神奈川県鎌倉市)の柳澤厚生院長。最初の患者は、NHKの番組でレギュラー司会者も務めていた法政大学名誉教授の力石定一氏だ。
■医療機関は全国で500カ所以上
グルタチオンは、肝炎治療などで広く使用されてきた昔からある薬。04年当時、米国などでは当たり前にパーキンソン病の治療に使われていたが、柳澤院長は「肝炎治療にはよく効く印象がなく、『副作用がないのでとりあえず』という使い方をしていました。そのため、正直、眉唾ものではないかと疑った」という。しかし、その効果は想像以上だった。
「まず患者さん自身が“何かが違う”と感じ、目に見えて効果が表れる。力石さんの場合、20年以上さまざまな治療を受けても改善は見られなかったのに、点滴療法を始めて2カ月で震えが改善し、箸を持ち自分で食事ができるようになりました。そして、自立した生活を送れるまでに改善したのです」
グルタチオンは、パーキンソン病発症の原因になるドーパミン減少と深い関係にある。
ドーパミンがつくられる脳の黒質を調べると、パーキンソン病の患者は、グルタチオンの量が非常に少ない。グルタチオンが少ないと、ドーパミンがつくられるのと同時に発生する活性酸素がたまり、黒質の細胞が障害され、ドーパミンをつくることができなくなる。
「結果、ドーパミン不足でパーキンソン病を発症するのです。点滴療法は、少ないグルタチオンを補給して活性酸素を消去し、黒質から再びドーパミンをつくり出すようにしようというもの。グルタチオンはもともと脳にある物質なので、副作用のリスクが0.1%未満と低いのも大きな利点です」
グルタチオンを最低800ミリ、多ければ3000ミリ点滴する。最初の3カ月は週2〜3回、その後1〜2週間に1回が目安。自由診療なので、医療機関によるが、費用は1回1万〜1万5000円。全国500カ所以上で行われている。重症でも劇的に改善した例があるというので、試してみる価値はある。
ちなみに、パーキンソン病以外では、レビー小体型認知症、閉塞性動脈硬化症、慢性疲労、抗がん剤シスプラチンの末梢神経障害、子宮頚がんワクチンの副作用などにも効果を発揮している。
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