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五十肩も効く(C)日刊ゲンダイ
しつこい関節痛消えた 「血管なくす」新治療法に驚きの効果
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/157741
2015年3月5日 日刊ゲンダイ
肩、ひざ、腰など関節周辺の痛みに3カ月以上苦しんでいる人に朗報だ。薬、注射、マッサージ、鍼灸、カイロプラクティック、ストレッチ……どれを試しても治らなかった、長引く痛みを解消する新たな治療法が登場した。この治療法のパイオニアで、「長引く痛みの原因は、血管が9割」(ワニブックス)の著者でもある「江戸川病院」(東京・江戸川区)整形外科運動器カテーテルセンター長の奥野祐次医師に聞いた。
昨年11月初旬、突然、左肩が上がらなくなった50代男性のAさん。左手を上げようとすると激痛が走り、着替えも一苦労。マッサージ店に通ったが症状は少しも改善しない。やむなく病院に行くと「五十肩でしょう」と診断され、痛み止めの薬と湿布薬をもらったが、症状は変わらなかった。それが、人づてに聞いた新しい治療法を受けたところ、痛みが嘘のように消えたという。
「四十肩、五十肩は専門的には『関節周囲炎』と呼ばれ、レントゲンなどでは異常がわからず、痛みの原因は不明とされてきました。ところが最近、痛みが長引く場所には新生血管といわれる細くてモヤモヤした病的な血管ができることがわかってきた。その血流を遮断させ、新生血管を減らすことで痛みをとるのが新しい治療法です」
■高カロリー食は要注意
注射やカテーテル治療などで新生血管を消滅・退縮させるのだが、その効果は抜群。10年近く苦しんでいた関節痛が完治した例もあるという。
なぜ、新生血管は痛みの原因になるのか?
「肩やひざ、腰などの関節に炎症が起きると、一時的に新生血管ができます。神経は血管と対になって増えますから、知覚神経が集まる関節付近ではその影響で痛みが強く出るのです。しかも、新生血管は炎症細胞を呼び込み、炎症自体を長引かせるため痛みが長引くのです」
むろん、炎症が消えると新生血管とその周囲の神経線維もなくなり、痛みも治まる。ところがまれに、毛細血管の手前で動脈から静脈に直接流れ込む血管ができることがある。すると、体はその先の組織は血管が少ないと判断。新生血管を作る指令を出すため不要な血管と神経がいつまでも居座って、痛みがさらに長引くことになるという。
「これに気づいたのはある乳がん患者さんとの出会いがキッカケです。当時私はがん治療専門医で、がんを増殖させる新生血管をカテーテル治療で消滅・退縮させる仕事をしていました。たまたま、その患者さんが“実は肩が痛くて手が上がらないの”とおっしゃっていたので、肩の関節に栄養を送る血管を調べたところ、やはり新生血管が見つかったのです」
その患者さんに十分説明した後、試しに新生血管の血流を遮断する薬を注入したところ、その場で痛みが消えたという。
「その後、痛みに悩む患者さんに同じ治療を行ったところ、驚くほどの効果が上がったのです。いまでは、太い神経線維の障害などを除き、長引く痛みの原因の9割は新生血管によるものと考えています」
奥野医師によると、40歳以降、あちこち体の痛みに悩まされるのは、新しい血管を作らないようにする物質の分泌量が減り、新生血管ができやすくなるためだという。
「40歳を越えたら、関節を繰り返し刺激するような前かがみの姿勢は極力控えることです。また、カロリーが高い食事は新生血管を作りやすいので要注意です」
ちなみに、この治療法はランニングひざ、テニス・ゴルフ肘など運動による痛みにも効くという。
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