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内視鏡検査で「大腸がん」を早期発見、病巣摘出
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150125-00014290-president-bus_all
プレジデント 1月25日(日)10時15分配信
日本対がん協会 会長 垣添忠生氏
私は40年以上にわたって、がんの医療や行政、啓発活動に携わってきました。実は私自身も、がんを2度も体験しています。一度目は大腸がんで、いまから12年ほど前のことでした。
当時勤めていた国立がんセンター(現在の国立がん研究センター)では毎年、定期検診がありました。私は前年の便潜血検査に引っかかっていたのですが、多忙を理由に精密検査を受けませんでした。ところが、次の検査でも異常が出た。「これは何かある」と感じて、がんセンターで大腸の内視鏡検査を受けたところ、S状結腸にポリープができていました。
ポリープの多くは良性腫瘍ですが、大きくなってがん化するものもあります。そこで、その場でポリープを3つ摘出し、生検に回しました。そして内視鏡検査から2週間ほどして、「最も大きい1センチメートル超のポリープのなかに、5ミリメートル大のがんがありました」と報告がありました。それが私にとっての「がん告知」でした。幸いなことにがんは検査と同時に取ってしまい、治療もそれで終わりだったのです。
大腸がんは、がんの深達度、まわりのリンパ節や離れた臓器への転移の有無によって、進行度の低い順に0〜4期の病期に分類されます。深達度は、がんが腸壁のどこまで達しているかを示したもの。大腸の腸壁は、内側から粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜という5層構造になっており、深達度が粘膜までなら0期、固有筋層までなら1期、固有筋層を越えていれば2期です。がんが大きくなってリンパ節に転移していれば3期。さらに進行して、肝臓や腹膜、肺などにも遠隔転移を起こすと、末期の4期と診断されます。私の大腸がんは0期でした。
深達度が粘膜下層の浅い部分までで、2センチメートル未満の早期がんは、転移の心配がほとんどなく、内視鏡手術で治療可能です。内視鏡と一緒に小さな手術器具を腸内に入れ、病巣を切り取るのです。私のケースのように、内視鏡検査を兼ねて、病巣を摘出することも少なくありません。ただし術後の検査で、病巣が広がっていたり、悪性度の高い未分化がんだったりすれば、再手術を行う場合もあります。
■分子標的薬は高額なのが問題点
内視鏡手術に適さないがんは、外科手術で病巣のある部位ごと切除します。がんが進んでいれば、まわりのリンパ節も広範囲に切除します。開腹手術が主流ですが、進行がんでなければ、腹腔鏡手術も選べます。腹腔鏡手術は、腹部に小さな穴を数カ所開けて腹腔鏡と手術器具を入れ、腹腔鏡を見ながら、患部を切除して穴から取り出すという治療法。開腹手術に比べて体への負担が少なく、いまでは治療成績でも遜色ないといわれます。
進行がんでは、外科手術だけでなく、抗がん剤を使った化学療法も行われます。複数の抗がん剤を組み合わせたFOLFOX療法、FOLFIRI療法、XELOX療法に加え、最近では「ベバシズマブ」や「セツキシマブ」といった、がん細胞の特定の分子を狙い撃つ分子標的薬も使われ、約6カ月だった生存期間が約24カ月に延びました。しかし「延命」ができるだけで、分子標的薬が大変高額なのも問題です。
ですから進行がんの場合、治療にどんな効果があるのか、体への負担や副作用はどうなのか、医療費はどのくらいかかるのかといったことも、主治医に確認しましょう。そのうえで家族や主治医とよく相談して、自分のニーズに合わせた治療計画を立てたほうがいいでしょう。たとえば、「延命効果が限られているなら、化学療法による副作用や経済的負担は避けたい」と考えた場合、化学療法は受けずに、緩和ケアを受けながら充実した余命を全うするのも一つの選択肢です。
そして2度目のがんが見つかったのは2005年、がんセンター総長のとき。研究的ながん検診に参加したのですが、担当医と一緒に腹部超音波検査の画像を見ていると、左の腎臓に影がある。私は泌尿器がんが専門なので、すぐにがんだと気づきました。まだ1センチメートル大で転移もなく、がんセンターに1週間入院、開腹手術による腎臓の部分切除で済みました。術後の経過観察もしていません。
■いまから準備を進め、最期は自宅で迎える
意外と知らない大腸がんの治療費
がんは早期発見、早期治療ができれば、いまや治る時代です。それは2つのがんを早期のうちに治療した私が、身をもって知っています。そして、早期がんの段階で発見するのに何より重要なのが、がん検診を受けることです。がんは自覚症状が出てきたときには進行しており、手遅れというケースも少なくありません。
私ががんセンター中央病院院長だったとき、1年間に院内で亡くなった約400人のがん患者さんのうち、8割の人は発見時の病期が3〜4期で、がん検診を受けていませんでした。がん検診の受診率は現在、20%程度に低迷していますが、50%に引き上げると、がん死亡率(年齢調整後)が約4%低下するという国の試算もあります。
早期がんであれば、体にやさしい内視鏡手術や腹腔鏡手術で治療でき、化学療法も受けなくて済みます。治療に伴う合併症や後遺症が少なく、医療費もあまりかかりません。大腸がんの場合、便潜血検査を年1回は行い、陽性だった場合は必ず精密検査も受けましょう。そうすれば、きわめて高い確率で早期がんを発見できます。私はいまでも定期的にがん検診を受けています。大腸がん治療後にも一度、5ミリメートル大の大腸のポリープを2つほど摘出しましたが、良性腫瘍でした。
ところで、私は07年の暮れに、妻をがんで亡くしました。肺がんのなかでも、最も悪性の小細胞がんでした。全身にがんが転移してしまい、最期は妻の強い希望で自宅に一緒に帰り、そこで妻を看取りました。あらゆる治療を試みたあとだったので、妻が家にいたのは4日間。家でゆっくり過ごさせてあげられなかったのが心残りです。
私自身、もし難治のがんで余命いくばくもなくなったら、治療を早めに切り上げ、家に帰ってひっそりと死にたいと願っています。ですから、自分の在宅ケアの準備、遺産や遺品の整理もいまから行っています。
患者さんの6割は自宅で亡くなることを希望しているのですが、実際には8割の人が病院で亡くなっています。在宅医療を行う医療機関は増えていて、そうした医療機関は地域の自治体などに聞けば教えてもらえます。医療機関同士の協力も進んでいて、地域がん診療連携拠点病院などでもわかります。終末期の在宅医療を普及させ、多くの人がわが家で最期を迎えられるようにしたいですね。
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日本対がん協会 会長 垣添忠生
1941年生まれ。67年東京大学医学部卒業。同大医学部附属病院、都立豊島病院などを経て、75年から国立がんセンター泌尿器科に勤務。病院長を経て2002年に総長に就任。現在、日本対がん協会会長として、がん検診の受診率アップなどに積極的に取り組んでいる。
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野澤正毅=構成 加々美義人=撮影
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