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急増中!エラそうだけど、下手な医者「私、失敗しますので」 患者が次々と死亡する群馬大病院「ドクターX」はいなかった
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41270
2014年12月01日(月) 週刊現代 現代ビジネス
失敗しても開き直る。死亡した患者がいるのに同じ手術ミスを繰り返す。下手なのに態度だけはデカい—そんな医者はあなたの周りにもいる。被害に遭わないためには、いったいどうすればいいのか。
■難しい手術をやりたがる
「第2外科では、'10年12月から今年6月までに、92人の患者に対して肝臓の腹腔鏡手術を行っています。そのほとんどを、このA医師が執刀していました。問題になっている腹腔鏡による肝臓の区域切除は、非常に難易度が高く、この医師にしかできなかったようです。でも、患者が数名亡くなった時点で普通は『おかしい』と気づくはずですよね」(全国紙前橋支局記者)
群馬大学医学部附属病院で肝臓の腹腔鏡手術を受けた患者が、術後2週間から100日のうちに8名も死亡していた事件。執刀したのは、すべて同じ男性医師A—同病院第2外科に所属する40代の助教だった。
現在、同病院では関連するグループの手術を停止しているが、今月19日に消化器外科の外来を訪れると、待合には診療を待つ患者が溢れていた。壁に掲げられた外来担当表には、A医師の名前も貼り出されている。病院の広報担当者に聞くと、「(A医師は)いまも勤務はしています」という。
病院は、14日に会見を行い謝罪したが、手術と死亡の因果関係は「調査中」。だが、そもそもこのA医師が行った手術自体に無理があったのでは、と疑問を抱く専門医は多い。都内の大学病院消化器外科部長で肝臓の治療が専門の医師は、こう懸念を示す。
「今回騒動になっている『肝臓の区域切除』は、肝臓の4分の1から3分の1程度を、大きく切り取る手術です。切除しすぎると肝機能が維持できなくなり、肝不全を起こす危険もあり、どのくらい切除できるか事前に精密に検査し、慎重に手術しなければならない。
そもそも難しい手術なのに、これを腹腔鏡でやるには非常に高度な技術が必要です。お腹に小さな孔を開けてそこから内視鏡や治療器具を入れ、モニターを見ながら患部を切り取るのですから。肝臓外科医の中でも、腹腔鏡手術はやらないという医師は多いんです」
関係者によると、A医師は新しい治療法を積極的に行う人物だったが、それに技術が追い付いていなかった。今月20日には、肝臓の腹腔鏡手術の手法について学会で発表する予定だったが、さすがに「(A医師から)数日前に今回は辞退すると連絡がありました」(学会事務局)という。現在、厚労省が事故の因果関係について調査を始めており、病院側は遺族への聞き取りを進めている。
群馬大病院は、'06年にも生体肝移植を受けた患者9人のうち7人が死亡するという事故を起こしている。にもかかわらず、また今回の件が発覚した。手術のミスが原因だと明らかになれば、大学側がとるべき責任も大きいだろう。
平均視聴率20%超えが続いている人気ドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子』(テレビ朝日系)。米倉涼子演じる天才外科医が、困難な手術を次々とこなしていく。決めゼリフは「私、失敗しないので」—。
が、残念ながらこれはドラマの世界の話。実際の医療の現場には、ミスを繰り返しても「私、失敗しますので」と言わんばかりの「エラそうだけど、下手な医者」たちがはびこっている。
「群馬大学の例が手術ミスだとしたら、今回のように公になるケースは少なく、常習者はもっといるのが現状です。ミスを繰り返す医師は、医療関係者の間では『リピーター医師』と言われています。たとえ手術に失敗しても裁判となって刑事で有罪にならなければ医師免許を停止されることはないので、診療を続けられる。リピーターは、ことの重大さを自覚していない人が多いのです」
医療ジャーナリストの油井香代子氏はこう話す。報じられる医療事故は、じつは氷山の一角。気づいていないだけで、あなたもそんな医師に遭遇しているかもしれないのだ—。
■手術中に「あ、やっちゃった」
関東近郊にある国立大学の付属病院。難易度の高い手術実績が多く、評判の高い病院だ。だが、病院自体の評判が高くとも、中には「リピーター医師」が生息している。同病院の看護師が明かす。
「眼科にとても腕の立つ教授がいて、海外からも目の難病を抱えた患者が手術を受けに来るほどです。でも、先生は忙しいので、コネがある患者やVIPの手術しか受け持ちません。彼を頼って来た患者でも、その部下が手術することが多いのですが、その中の一人の女医が驚くほど不器用なんです。手術中に『あ、やっちゃった!』と慌てて、他の医師に手助けしてもらうこともしょっちゅう。横で器械出しをしていても、ハラハラします。
それでも、この女医は教授のお気に入り。彼女の居場所がなくなってはいけないからと、教授は定期的に彼女に手術をさせています。じつは、この女医はこれまでに何人もの患者さんを『潰して』しまっているんです」
「潰す」とは、つまり、手術に失敗して失明させてしまうということ。そんな失敗を起こしても、この女医は悪びれる様子は一切ない。むしろ、「何が悪いのか」と開き直りの態度まで見せるのだという。
「うちの病院に来るのは、他では手に負えなかった重症の患者さんが多いので、治療に成功したとしても、いずれ失明してしまうリスクを抱えているんです。なので、術後に教授から『厳しい状況でしたが、手は尽くしました。経過を診ていきましょう』と言われれば、患者さんは納得するしかない。この病院でもダメだったんだから仕方ない、と諦めて泣き寝入りしてしまうのが現状です」(前出の看護師)
■言い訳だけは上手い
失敗されても、医者にうまく言い逃れされれば、患者は反論のしようがない。「リピーター医師」の手術によって、夫を亡くした笹原和江さん(仮名・70歳)は、医師の言葉を思い返し、悔しさをにじませる。
「夫は都内の大学病院で直腸がんの手術を受けました。術後、先生から『成功しましたよ』と言われたので、ほっとしていたんです。けれど、2日目にお腹が痛いと苦しみ始めた。徐々に悪化し、3日目にはベッドの上でのた打ち回るほどでした。痛み止めなど処置はしてもらったのですが症状は収まらず、結局、4日目の早朝に亡くなったんです」
手術は成功したはず。夫は元気だったのに、なぜ急に亡くなったのか。笹原さんはパニックになった。
「医療事故ではないんですか!」
興奮した状態で執刀医に怒りをぶつけると、冷静な面持ちで、こう告げられた。
「ベストを尽くしました。ですが、ご主人の生きる力がなかった。残念です」
「その言葉が胸に突き刺さりました。夫は生きたかったはず。私にそれを支える想いが足りなかったのでしょうか……。反論したかったけれど、何も言葉が出てきませんでした。死後、遺族の私にカルテすら見せてくれませんでした。不審に思って弁護士に相談したところ、本来は使ってはいけない薬が術後に過剰投与されていたことがカルテに記載されていたんです。追及すると、『カルテの書き間違いだった』などと言って、非を認めなかった。あとから知ったことですが、この医師は、以前も同様のミスをしていたようなのです」
結局、笹原さんは病院に対して裁判を起こすことになる。最高裁まで争い、最終的に勝訴までたどり着いたが、それに至るまでには8年もの歳月を費やした。
「もう、心身ともに疲れ果てました……」
裁判には勝っても、死んだ夫の命が戻るわけではない。だが、患者側が声を上げなければ医者の失敗はそのまま闇に葬られてしまう。
医者がミスをしても、全身麻酔をして手術台に横たわっている患者は、自分の身体に何が起こっているか知ることはできない。さらに、手術前に患者は同意書にサインをしている。そのため医者は、たとえ術後の経過が悪くても仕方のなかったことなのだと患者や家族を説得することができれば、責任を負う必要はなくなる。この「ブラックボックス化」こそ、「医者が失敗を繰り返す理由」の一つだ。
「治療がうまくいかなかった場合でも、医者は何とでも言い訳ができてしまいます。そもそも手術をするということ自体、重症だということですから。患者もはじめから『この医師なら結果がどうあっても納得できる』という人を探して手術を受けるべきです」
東京ハートセンター・センター長の南淵明宏医師はこう話す。冒頭で紹介した群馬大病院でも、医師は患者の異変を正当化していたようだ。群馬大病院の広報担当者が明かす。
「うちの病院には、医療安全管理部という部署があり、些細なことでも何か起こったら報告しなさいというルールになっています。病院のスタッフは誰でも届け出できるのですが、正直、手術中のことは医者でないとわからない。執刀医が『おかしい』と思わないと報告が出てこないんです。今回のケースも、報告しなくていい、と医師が甘い認識をしていた」
医者がおかしいと思わなければ報告されないどころか、この仕組みなら、現場の医者が異変に気づいていても、報告しなければ事故が明るみに出ることはない。
このように、医者が責任を逃れやすいことも「医者が失敗を繰り返す理由」の一つだが、さらに、こんな医者の心理も関係している。
「より難しいことをやってみたいという医師は多いと思います。誰もやってない手術を成功させて手柄を上げたいというのが本音なのです」(前出・南淵医師)
外科の場合、お腹を大きく切る開腹手術は古くから行われてきたが、最近は、腹腔鏡手術のように「低侵襲」と言われる「小さい傷で身体に優しい手術」が新たな治療法として広まりつつある。開腹手術ではベテラン医師に勝てないと思い、若い医師たちが新たな治療法をやりたがる傾向にあるのだが、ここに大きな落とし穴がある。南淵医師が続ける。
「開腹手術を経験していない医者が、小さい孔から器具を入れる腹腔鏡手術をすることには、以前から批判があります。開腹したら2時間でできるものを、傷の小さい手術で7~8時間かけてやるなんて、本末転倒。どこが低侵襲?と首をかしげてしまいます。腹腔鏡でも全身麻酔をしますし、お腹をガスで膨らまして手術するので、時間がかかれば身体への負担は大きくなります。とくに心臓への負担は大きいですね」
身体に優しくても、安全で確実に治療できなければ意味がない。前例のない治療をやってみたいという思いが先に立って、訓練もそこそこに最新の手術を行う。これも、失敗する医者が急増している一因だ。
■下手医者の見分け方
ちなみに今回群馬大でミスが次々と発覚したのは、今年4月、千葉県がんセンターで腹腔鏡手術を受けた患者が3名死亡したと報じられたことが発端だという。
「その報道を受け、うちは大丈夫か、と医療安全管理部が調べ始めたら明らかになったんです」(同広報担当者)
千葉県がんセンターでも、当時、経験の浅い医師らが新しい手法の手術を繰り返していた。同センターに勤務していた医師が話す。
「何年も前から、消化器外科では経験が少ない医者たちが腹腔鏡手術で事故を繰り返していただけでなく、安全性が確立されていない保険外の外科手術もかなり行っていました。術後、とたんに症状が悪化、翌日に再手術、ということがしょっちゅうあったんです」
医師たちにとって、もはや手術は「治療」ではなく「実験」の感覚だった。
「本来は開腹手術でやったほうがいい症例でも、症例を積み重ねたいからリスクがあっても腹腔鏡手術に踏みきるケースは少なくありません」(前出・油井氏)
失敗を繰り返した結果、同じ病院に居続けることができなくなったとしても、そのような医師たちは、病院を移って患者を診察し、手術を続けている。私たち患者が、こんな医者から身を守るためにできることはないのか。前出の南淵医師は、こうアドバイスする。
「手術の際に、他の選択肢も説明せずに『小さい傷でできるから』と低侵襲の手術だけを勧めてくる医者は信用してはいけない。傷が大きかろうが小さかろうが、手術の結果は腕次第。医者から言わせれば、どんな方法でもちゃんと治す医者、トラブルばかり起こす医者の差は歴然なんです。
それから、手術前に執刀医がきちんと挨拶に来てくれるか。HPなどでも、顔や名前、経歴などをきちんと出しているかどうかも見たほうがいい。名前と顔を出している医者は、患者の命を預かっているという覚悟がある。何があっても逃げない医者だと言えます」
上手い、下手があるのは仕方ない。一度も失敗しないという医者は存在しないだろう。だが、失敗したとき、現実と向き合い、その経験から学んで次の治療に活かせるか。その姿勢こそが、医者の「腕」の差につながる。
「ドクターX」にはめったにお目にかかれないのなら、せめて「私、失敗しますので」と開き直る医者の被害にだけは遭わないように、気をつけたい。
「週刊現代」2014年12月6日号より
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