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写真はイメージ/(C)日刊ゲンダイ
患者数は20年で10倍 「摂食障害」は死につながる重大病
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/155375
2014年12月2日 日刊ゲンダイ
頭の中は食べることでいっぱい。明日こそ普通に生活しようとしてもできない。だれにも本当のことが言えなくて苦しい。食べた後は自分が嫌になる――。摂食障害を患う10代女の子の告白だ。
全国の医療施設を対象にした疫学調査(1998年・厚労省)では、摂食障害の患者数は約2万3000人で、80年からの約20年間で10倍増加した。今も患者数は増え続けているが、専門的な知識を持って治療にあたる医師が少ない。
摂食障害はほとんどが10〜20代で発症する。男女比でみると、女性の割合が圧倒的だ。症状によって「神経性過食症(過食症)」「神経性無食欲症(拒食症)」「過食性障害」の3つに分類される。ただし、「それぞれをいったりきたりしている患者も多い」と話すのは、心療内科、精神科、神経内科の3つの専門医の資格を持つ自由が丘高木クリニック・高木洲一郎院長だ。
「発症のきっかけはダイエットで、背景には社会、文化、家族、個人といった要因が複雑に絡み合っています。いったんやせ始めるとホルモンの分泌、血糖、骨粗鬆症などさまざまな弊害が出て負のサーキットができてしまう」
米国では、拒食症の10%が10年以内に死亡しているというデータがある。重度の拒食症になると、脳の萎縮が見られることもあるのだ。
「うつ状態、親への依存、攻撃、認知の歪み、姉妹葛藤(姉妹の一方に強烈なライバル心を燃やす)など、精神状態も不安定になります」
単なる“ダイエット病”ではない。死に直結しかねない重大病なのだ。
大切なのは、第1に発症の予防、第2に早期の発見と適切な治療、第3に悪化・再発を予防し、社会復帰をはかること。自分の子供はどうなのか?
■3世代同居の仲良し家族にも多い
摂食障害の知識をきちんと身につけることが先決だろうが、どんな子供に多いのか?
「比較的、成績優秀で周囲への思いやりにあふれ、対人関係に敏感ないい子。両親が喧嘩するのを見たことがないという仲良し親子(特に3世代同居)によく見られる一方、夫婦不仲の子供にも多い。極端な人間関係は摂食障害の発症に影響します」
次に、どういう様子が見られたら、摂食障害が疑われるのか?
「冒頭の“だれにも言えない”“自分が嫌になる”は、摂食障害の典型的な特徴。拒食症は劇的にやせるので分かりやすいが、過食症は『吐いている』などと患者が言わないと分かりにくい」
過食症の“外から見える症状”としては、「唾液腺の腫脹」「吐きだこ」「歯科衛生の不良(歯が溶けている。虫歯や歯周病が悪化)」。歯科衛生が不良な原因としては「食生活が不規則」「糖分の過剰摂取」「脱水で口の中が乾燥」などが挙げられる。治療は必要に応じて薬を使うが、カウンセリングは重要。患者のほとんどが若く、家族関係が要因としてあるだけに、家族の治療への協力が不可欠だ。
高木院長は、患者への治療はもちろん、家族を対象にした家族療法を毎月4時間×3回、さらに家族だけでの1泊2日の研修旅行も、行っている。
「治療の最低限の目標は、低カリウム血症、低血糖、衝撃的な事故などで患者が命を落とさないこと。ことあるごとに“回復には年単位の時間がかかる。しかし、必ず治る”と患者と家族に伝えます」
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