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心不全治療のペースメーカー 最近は遠隔操作も〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141124-00000001-sasahi-hlth
週刊朝日 2014年11月28日号より抜粋
薬物治療で改善しない末期重症心不全には、ペースメーカー治療が検討される。その対象となる条件が今年9月に拡大され、より軽症の患者も治療を受けられるようになった。また、人工心臓の装置の高性能化により、社会復帰できるケースも増えている。
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埼玉県在住の会社員、佐川幸成さん(仮名・60歳)は2012年12月、息切れの症状がひどくなり、近くの診療所を受診。X線検査で心臓の肥大が見つかり、全身にむくみもみられたため心不全と診断され、埼玉医科大学国際医療センターを紹介された。
心不全とは、何らかの原因で心臓の働きが低下し、血液をうまく送り出せない状態のこと。心筋症や心筋梗塞、狭心症など、心臓の病気によって起こるほか、高血圧や糖尿病なども原因となり、複数の要因が重なっていることもある。
全身に必要な血液を送れなくなるため、息切れや疲労感などの症状が起こり、肺で血液の停滞(うっ血)が起こることで呼吸困難やむくみもあらわれる。
心不全と診断された場合、まずは薬物治療がおこなわれる。体内の余分な水分を排出するための利尿薬、心臓の機能を正常に戻すためのβ遮断薬やACE阻害薬、血液の流れをよくするための血管拡張薬などを使用することで改善されるケースが多くある。
佐川さんを診察した同センター心臓内科教授の松本万夫医師(現在は東松山医師会病院院長)は、心臓の筋肉に異常が起こり左心室が広がる「拡張型心筋症」と診断した。
「利尿薬とβ遮断薬、ACE阻害薬による治療をおこないましたが、改善は見られませんでした。心エコーで検査した結果、心臓を収縮するための信号が左心室にうまく伝わらない障害(左脚ブロック)があり、左右の心室の収縮のタイミングが合わないことでポンプ機能が低下していることがわかりました」(松本医師)
また、心室頻拍という不整脈の一種も合併していたため、「CRT−D」を植え込む治療が選択された。
CRT(Cardiac Resynchronization Therapy)は、日本語で「心臓再同期療法」といい、心臓の左心室と右心室の収縮のタイミングのズレを補正するペースメーカー。CRT−Dとは、それに、発作時に電気ショックを与える除細動機能(Defibrillator)を加えた植え込み装置で、国内では06年に保険適用となっている。手術によって、体内に装置を植え込むものだ。
松本医師は、CRTにより心臓のポンプ機能が改善し、呼吸困難などの改善が期待できると話す。
「とくに、佐川さんのように左脚ブロックがあり、不整脈を合併しているケースには、CRT−Dは有効な治療法です」(同)
心不全の重症度は、ニューヨーク心臓協会によるNYHA分類により、I(無症状)〜IV(難治性)度に分けられる。CRT−Dの治療は、これまではIII〜IV度の末期重症心不全患者が適応とされていた。しかし、臨床試験などで、早期から治療したほうが改善率が良く、入院回数が減るなど患者のQOL(生活の質)向上のためにも良いことがわかり、14年9月からII度の軽症心不全にも適応が拡大された。
現在、CRT−Dの治療は405の認定施設で受けることができ、年間治療件数は約3千例である。
佐川さんは、13年10月に植え込み治療を実施し、10日後に退院となった。
このように、術後は経過が安定すれば退院し、仕事復帰も可能となるが、松本医師は「心不全の経過観察や、感染症への注意は必要」と話す。加えて、4カ月に一度程度受診し、電池寿命や、リードの断線、作動の異常がないかなどもチェックする必要がある。
最近では、1日1回装置からデータが送信される遠隔モニタリングが可能になり、自宅にいながら医療機関を受診したときと同様のチェックができるようになった。そのため、患者の負担軽減や万が一トラブルが起こった場合の早期発見につながっている。通常のペースメーカーと同様、携帯電話など電磁波の影響には注意が必要だが、経過がよければふつうの生活を送り、運動や旅行なども可能になる。
佐川さんもCRT−Dの植え込みにより心機能が回復し、不整脈もほとんどみられなくなった。つらかった息切れの症状もなくなり、今では夫婦で旅行を楽しめるまでに回復した。
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