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【がん治療 最前線】「脳腫瘍」「頭頸部がん」「皮膚がん」「肺がん」 「ホウ素中性子捕捉療法」はピンポイントでがん細胞を破壊〈週刊新潮〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141117-00010000-shincho-soci
「週刊新潮」2014年11月13日号
放射線治療は陽子線治療、重粒子線治療と進化してきたが、いずれも患部に放射線を照射するとき、多かれ少なかれ、正常な細胞もダメージを受けた。だが、BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)なら、がん細胞だけをピンポイントで攻撃。まさに“最終兵器”になりうるというが……。
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これまでの放射線治療は“領域的治療法”だったが、BNCTは“細胞選択的治療法”なのだという。そのココロは――。
たしかに、従来の放射線治療はCTを撮影し、放射線を当てる“領域”を決め、そこに照射している。一方のBNCTは、
「まず、点滴で細胞の中にホウ素化合物を送り込みます。がん細胞にはホウ素を“選択的”に取り込む性質があるため、がん細胞中のホウ素化合物の濃度は正常の細胞の10倍以上。そこに中性子を照射すると、ホウ素化合物と中性子が核分裂反応を起こし、α粒子を発生させます。α粒子の飛散距離は10ミクロン程度。つまり細胞1個分ほどの距離ですから、ちょうどがん細胞だけを破壊できます。細胞の内部から核分裂によってDNAを破壊し、それ以外の細胞には影響を与えないのです」(東大医学部附属病院放射線科の中川恵一准教授)
どんながんに有効か、国立がん研究センター中央病院の井垣浩医師に聞くと、
「中性子は体の表面から6センチ程度までしか、十分なビームが届きません。ですから脳腫瘍や頭頸部がん、皮膚がんのような、浅い場所にあるがんに有効です」
そもそも、BNCTは1930年代にアメリカで提唱された治療法だが、かの国では研究がいったん中止され、その後は日本がリードしてきた。ところが、ここへきて日本でも“逆境”に立たされているようだ。
「臨床実験は、大阪府熊取町にある京都大学の原子炉実験所で行なわれていますが、原子炉自体は今、安全確認のために止まっている。茨城県東海村の原子炉実験所でも行なわれていましたが、こちらも東日本大震災の影響で稼働がストップし、再稼働のメドも立たず、廃炉になるのではないかと言われています」(同)
原子炉を使っての臨床実験は、フェーズIでよい結果が出たため、フェーズIIまで進んでいた。
■必要以上に怖がる愚
だが、そもそも、
「研究用原子炉を、医療機器として医療の現場で使うのは、現実的に難しい」
そう語る京大原子炉実験所の古林徹准教授によれば、近年は原子炉の代わりに加速器を用いるという。これは、陽子を加速させ、それをベリリウムやリチウムなどの金属に当てて、中性子を発生させる仕組みで、
「最近は性能も向上し、BNCTに必要な強度を持つ中性子線を発生させられるようになった。2012年から薬事承認をめざした治験が行なわれており、承認されれば医療機器として認められるのです」(同)
ただし、薬事申請は一時的な“後退”にもつながるのだそうで、
「これまで研究用の原子炉を使ったBNCTは、臨床研究として認められてきました。加速器を使った臨床研究も可能でしたが、薬事申請して治験に入ると、結果が出るまでは、その装置を使った臨床研究はできないのです」
と、古林准教授。原子炉も稼働していないので、
「医師や患者さんからも原子炉を早く動かしてほしいという希望は出ています」
その一方で、「原子炉」とか「中性子」という言葉にアレルギー反応を示す方もいるようだが、
「外科手術や従来の放射線治療では、正常組織を残してがん細胞だけを切除するのは難しかったが、正常組織への影響を最小限に抑えてがん細胞だけを死滅させることができる」(同)
というBNCTの利点も、無視はできないだろう。
「福島の事故の影響もあり、一部の人は抵抗感を示すかもしれませんが、効果的な治療法であれば標準治療として普及してほしいし、そのためにも来年からセンターとしても、加速器を導入する準備をしています」
と井垣医師。加速器は1台数十億円だとか。ともあれ、中性子を必要以上に怖がるあまり命を落とす、という愚は犯してはなるまい。
「特集 常識が変わり始めた「がん治療」最前線」より
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