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末期がんから自力で生還した人たちが実践している9つのこと
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141116-00013866-president-bus_all
11月16日(日)12時15分配信
治癒不能といわれたガンが自然治癒する現象が、実際の医療現場で話題になることはまずない。 しかし筆者が目を通した1000本以上の医学論文において、ガンが自然に治癒した事例を報告していた。医師は治すのが仕事なのでこうした事例を追跡研究することはなく、「たまたま」治ったという話は「偽りの希望」を与えるだけだとして積極的に口外することもなかったために、自然治癒事例は事実上放置されてきたのである。全く科学的にメスを入れられていないこのテーマを解明するために、「劇的な寛解」事例を報告した医学論文をくまなく分析し、日本を含む世界10カ国で寛解者と治療者のインタビューを行った結果、ガンの自然治癒を体験した人々には、「9つの共通する実践事項」があった。それらは、がんの治癒のみならず、予防としても役に立つものである。発売と同時に米アマゾン1位“がん部門”にランクイン、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーとなった話題の書『がんが自然に治る生き方』から抜粋してお届けする(全2回)。
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■「治った」人の1000件以上の医学論文
寛解症例の研究に着手してまず驚いたのは、1000件超の医学論文において、2種類の人々がほぼ黙殺されていたことでした。
一つは、劇的に寛解した患者本人の一群です。大多数の論文では、患者自身が劇的な寛解の原因をどう考えているかについて一切言及していませんでした。劇的な寛解を遂げた患者の身体の生化学的変化については、何本もの医学論文が詳細に記していました。しかし、患者に「あなたは自分がなぜ治癒したと思うか」と聞き、その答えを記したものは皆無だったのです。患者たちは、意識的だったかどうかはともかく、がんを治すため何かに取り組んでいたはずです。医師はなぜそれに興味を持たなかったのでしょうか。
そこでわたしは劇的な寛解を遂げた20人にインタビューし、「あなたはなぜ自分が治癒したと思うか」を聞くことにしました。
医学論文で黙殺されていたもう一群は、代替療法の治療者たちです。がんからの劇的な寛解は、当然のことながらほとんどの場合、現代医療では打つ手がなくなった患者に起きています。それなのに、西洋医学外の治療者や代替療法の治療者たちががん治療にどう取り組んできたのかを誰も調べてきませんでした。この事実にわたしは驚きました。
わたしが会った劇的寛解の経験者は、世界の隅々まで、それこそ血眼になって治療者を探し出していました。そこでわたしも世界中を旅して回り、非西洋医学の治療者、代替療法の治療者50人にインタビューをしました。10カ月かけて10カ国(アメリカ“ハワイ”、中国、日本、ニュージーランド、タイ、インド、英国、ザンビア、ジンバブエ、ブラジル)を回りました。ジャングルや山の中、そして都市を旅し、治療者と話をしました。各地のすばらしい治療者がわたしに話してくれた経験を、読者のみなさんにご紹介します。
■がん治癒を目指して実行していた9項目
劇的な寛解について記した医学論文は1000本以上分析しました。博士論文の研究を終えてからもさらにインタビューを続け、その対象者は100人を超えました。
わたしは、質的分析の手法で、これらの症例を何度も詳細に分析しました。その結果、劇的な寛解において重要な役割を果たしたと推測される要素(身体、感情、内面的な事柄)が75項目、浮かび上がりました。
しかし、全項目を表にして出現頻度を調べると、75のうちの上位9項目は、ほぼすべてのインタビューに登場していることに気づきました。
たとえば登場回数が73番目に多かった「サメ軟骨のサプリを摂取する」。これは調査対象中の、ごくわずかな人が話してくれただけでした。かたや語られる頻度のもっとも高かった9つの要素については、ほぼ全員が、「がん治癒を目指して実行した」と言及していたのです。
その9項目とは次のとおりです。
・抜本的に食事を変える
・治療法は自分で決める
・直感に従う
・ハーブとサプリメントの力を借りる
・抑圧された感情を解き放つ
・より前向きに生きる
・周囲の人の支えを受け入れる
・自分の魂と深くつながる
・「どうしても生きたい理由」を持つ
この9項目に順位はありません。人によって重点の置き方が異なるものの、インタビューで言及される頻度は、どれも同じ程度でした。わたしが話を聞いた劇的寛解の経験者はほぼ全員が、程度の差はあれ9項目ほぼすべてを実践していたのです。
そこで本書は9章に章立てし、1章で1項目ずつ説明していきます。
各章では、まずその章のテーマについての解説と、それを裏付ける最新の研究報告を紹介します。次に、劇的な寛解を遂げた人の実話を記します。章末には「実践のステップ」と題して、その章のテーマを実践しやすいかたちにして、いくつかの方法をご紹介します。
■偽りの希望と真の希望とは
9項目の詳細に入る前に、はっきりさせておきたいことがあります。
まず、わたしは手術、抗がん剤、放射線の「三大療法」を否定する者ではないということです。
たとえ話をしましょう。ふつう、フルマラソンを走るとき、人は靴を履いて走ります。けれどもごく稀に、自分なりのこだわりがあって裸足で走る人がいます。なかには裸足のまま元気に完走してしまう人もいます。
同じように、がんにかかった人は、普通は現代医療に頼るものです。けれどもときおり、ほかの方法を試そうとする人が存在します。わたしは後者に関心を持ちました。何を実践して、彼らは医師の予想を覆す偉業を達成したのか。それを突き止めることがわたしの仕事です。
二つ目に、わたしは本書によって、患者の方々に偽りの希望を与えるつもりは一切ありません。
劇的な寛解をした患者のほとんどが、医師から「ほかの患者には黙っていてほしい」と言われたと告白しています。ひどい話ではありますが、その医師の立場になって考えれば、わからなくもありません。来る日も来る日も、生存の見込みの乏しい患者を診察するのは、想像するだにつらい仕事です。
けれども劇的に寛解する人が現にいるという事実を黙殺するのは、偽りの希望を患者に抱かせるよりも、ずっと罪深いことではないでしょうか。
カリフォルニア大学で、研究方法についての授業の初回に、教授はこう言いました。
仮説から逸脱した事例に遭遇したとき、研究者にはそれを吟味する科学的責務がある。そしてその逸脱事例を吟味してから、研究者がとるべき道は2つ。
一つ目は、なぜ仮説に合わない事例が生じたのかを公に説明すること。二つ目は、その事例を説明できる新しい仮説を考え出すこと。
要するに、仮説に合わない事例は無視してよい、という選択肢は存在しないのです。
がんの克服は人類共通の目標です。現代医療なしで治癒した症例を黙殺することは、科学的に無責任な態度なのです。
次に、「偽りの希望」について検討します。「偽りの希望を人に与える」とは、事実かどうかわからないことや、明らかな虚偽を人に伝えて、希望を抱かせるということです。がんからの劇的な寛解が起きる理由は、いまのところ説明不能ですが、それを体験した人が存在するのは事実です。現代の医学では説明のつかない方法で、彼らは自分のがんを治したのです。
■9つの仮説から私たちは何を学べるか
この違いを理解したうえで、わたしたちは、「偽りの希望を抱くことになりそうで怖い」と考えるのではなく、がん治癒の鍵となるかもしれない症例を、科学的に検証していこうではありませんか。
9つの要素は、がんからの劇的寛解が起きた理由についての仮説であり、まだ科学的に十分裏付けされた理論ではありません。この九項目によってがん患者の生存率が上がると断定するには、データの量的分析や無作為な臨床試験が必要で、残念ながらあと何十年もかかるでしょう。
それでもわたしはこの仮説は重要だと考えています。これを読者と共有するのに、あと何十年も待とうとは思いません。それよりも、質的分析を使ったわたしの研究結果を公表し、がんからの劇的寛解を遂げた症例はなぜ黙殺されてきたのか、わたしたちはこの症例から何を学べるのかという、より重要な議論へとつなげていきたいのです。
もしもわたしが、「この9項目を実践したらあなたのがんは確実に治ります」と言ったなら、それは人に偽りの希望を抱かせる行為です。わたしはそうは言いません。わたしに言えるのは、「がんの劇的寛解の起因になったと考えられる9つの仮説を検出しました」ということだけです。
次に、わたしが本書の執筆によって何を期待しているかをお話しします。
まず、研究者たちの手で、がんからの劇的な寛解についてのわたしの仮説が、少しでも早く検証されること。それからがん患者本人、そして大切な人ががんを患ってしまった人々が、治癒を遂げた人々の真実の体験談から勇気を得てほしいと思います。
わたし自身、初めてがんの劇的寛解の症例に出合ったとき、その事実の持つ力に大いに勇気づけられました。医学的常識に反してがんを克服する人が、本当に存在するのですから。
がんの予防や健康全般に関心のある人にも、本書は役立つはずです。そして現在病院で治療中の方々、そして打つ手がなく別の方法を探している患者のみなさんにとって、本書が励みになることを願っています。さらに本書がきっかけとなって劇的な寛解をめぐる議論がはじまり、人々が黙殺をやめてこれらの症例から学ぼうとすることを心から願っています。
症例を見ていて不思議に思うことがあります。なぜ、ある人に効く方法がほかの人には効かないことがあるのか。いまのわたしたちには、その理由はわかりません。けれども説明不能を理由に劇的寛解の現象から目を背けるのではなく、真摯に研究していけば、少なくとも人間の自然治癒力について何らかの知見を得ることができるでしょう。うまくいけば、がん根治の治療法の発見につながるかもしれません。いずれにせよ、黙殺からはどんな知見も得ることはできません。
もしアレクサンダー・フレミングがカビの生えた培養皿を捨ててしまっていたら、社会はいま、どうなっていたでしょう。彼の逸脱事例の研究が時間の無駄ではなかったことは、歴史が証明しています。
あまたの歴史的発見は、逸脱事例の研究からはじまりました。逸脱した事例には、真の希望が宿っている可能性があるのです。
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Dr. Kelly A. Turner ケリー・ターナー博士
腫瘍内科学領域の研究者。学士号を取得したハーバード大学時代に統合医療に関心を持ち、カリフォルニア大学バークレー校にて博士号取得。博士論文研究では奇跡的な回復を遂げた1000件以上の症例報告論文を分析し、1年間かけて世界10カ国へ出かけ、奇跡的な生還を遂げたガン患者と代替治療者を対象に、治癒に至る過程についてのインタビューを行った。本書はそこから得られた知見を患者や家族、そして健やかに生きたいすべての人のためにわかりやすくまとめた著者初の書籍。
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ケリー・ターナー=文 長田美穂=訳
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