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糖尿病治療薬よもやま話
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141027-00010000-sakae-life
月刊糖尿病ライフ さかえ 10月27日(月)14時20分配信
糖尿病治療薬の歴史
糖尿病治療薬にまつわるさまざまな話を、これから1年間にわたって連載させていただくことになりました。皮切りに、治療薬の歴史的な話をいたします。とはいえ、明らかに糖尿病治療薬といえるものはインスリンが最初であり、糖尿病全体の歴史の中では、とても短いものです
糖尿病の歴史自体はとても古く、紀元前1550年ごろのエジプトで記された世界で最も古い医学書といわれる「エーベルス・パピルス(Ebers Papyrus)」に、糖尿病の症状を思わせる記述が残されています。それは著しい多尿を呈する身体の異状を示すものでした。ちなみにエーベルス・パピルスとは、古代エジプト医学について記したパピルス(古代エジプト文字の筆記媒体として作られた紙を意味する)のことで、19世紀後半にエジプトのルクソールでこの書を購入したドイツ人ゲオルグ・エーベルスの名に由来しています。現在はドイツのライプチヒ大学図書館に収蔵されています。エジプト医学は、わたしたちが想像する以上に進んでいて、外科手術の具体的な記述すら見られます。治療薬についても、気管支ぜんそくにハーブミックスの煙を吸引させるなど、いくつかの病気や症状に対する治療薬、治療法の記載があるものの、多尿の治療薬については全く記述がありません。
紀元前400年ごろまでに体系化されたといわれる古代インドの伝統医学「アーユルベーダ(Ayurveda)」にも、糖尿病を意味する“甘い尿”の記載があります。糖尿病の英語名であるDiabetes Mellitus の語源となったのは、紀元150年ごろのトルコはカッパドキアの医師アレテウスによるdiabetes(ギリシャ語でサイホンの中を水が突き抜けるように流れ出るという意味)の記述です。ここから「甘い(ラテン語でmellitus)尿が流れ出る(diabetes)病気」を意味するDiabetes Mellitus(糖尿病)の病名が生まれたのです。
さて、治療薬については、その後も具体的な記載をした記録は見当たらず、20世紀まで下ることになります。1921年にカナダのトロント大学でインスリンが発見されました。翌年にはトロント総合病院で瀕死の状態にあったレナード・トンプソン少年にインスリンが投与され、奇跡的に回復した記録が残されています。
ここで重要なのは、糖尿病の本体がインスリンのはたらきが足りなくなることだと分かったのは20世紀に入ってからであり、それまでは、糖尿病治療の標的をどこに置くかすら定かではなかったという点です。高血糖を改善することに重要な意味があることが分かったのも、20世紀以降です。治療薬の歴史は全てこの100年以内にあるといえます。経口糖尿病治療薬が登場したのは、20世紀も後半になってからのことなのです。次号から順次、種々の糖尿病治療薬にまつわるよもやま話を紹介していきたいと思います。ご期待ください。
加来浩平(かく・こうへい)
川崎医科大学 特任教授
※『月刊糖尿病ライフさかえ 2014年11月号』より
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