02. 2014年10月28日 13:04:01
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うつも多様http://jp.wsj.com/news/articles/SB12072851737206304029704580241471513720694?mod=wsj_nview_latest 「夏嫌い」は日が短く寒くなるとハッピーに By SUE SHELLENBARGER 2014 年 10 月 28 日 12:53 JST 多くの人は冬になると憂鬱(ゆううつ)になる。夏時間が終わって時計の針を戻し、暗いうちに通勤するのも気分がへこむ。 しかし、ワシントンDCのマーケティング・PR会社の共同社長トラビス・ヘアさん(34)にとってはそれほどでもない。ヘアさんは「私は気温が低く昼間が短い方が好きだ」と話している。彼は雪の中でハイキングをし、アイスランドで休暇を過ごし、ビーチは暑いし汗をかく上、退屈だと考えている。彼は「ホットでもいいと思うのはコーヒーを飲む時だけだ。それもできれば外は寒い方がいい」とし、「雪に文句をつける人がいるが、私は雪が降るなら猛吹雪になればいいと思う」と語った。 少数の静かな人たちは長く暗い冬の日々を喜び、ここからエネルギーを吸収している。これらの夏嫌い―ある研究ではこう呼ばれている―の人たちは、他の人たちが外に出て大喜びしている5月から9月の間、惨めで落ち着かない。ヘアさんは「私のような人たちにとっては孤独を感じる世界だ」と言う。この夏嫌いの原因と思われること、それにその対処方法に光を当てた研究が最近、発表された。 416人のメリーランド州住民を対象に1989年に行われた、非常によく引用される米国の調査によると、10人中9人は気分や行動の季節的変化にある程度気付いている。少数だが、暑い夏の日々に居心地が良くないという以上の感情の落ち込みを感じ、動きたがらなくなる人々もいる。精神分析学者や心理学者は、毎年一定の期間に抑うつ状態になったり、気分、エネルギー、睡眠パターン、食欲、食べ物の嗜好、人とのつきあいが変化する人を季節的気分変調症候群と呼び、他の人たちと区別している。 季節的な気分の揺れがこのスペクトラムの一番外れにある人たちは、季節性情動障害(SAD)と診断される。ジョージタウン大学医学部精神科の教授で、同研究の共同筆者であるノーマン・ローゼンタール博士は、国民の約5%は11月から3月までの間、SADの冬版に悩まさるという。その特徴は再発性のうつ病だ。また国民の15%は冬SADの軽い状態にあるという。同博士は「季節性うつ病(原題:Winter Blues)」の著者でもある。 国民の0.7%程度に見られる夏SADの人たちは5月から9月の間にうつ状態となり、興奮、不眠、食欲減退、体重減少などの症状を経験するという。 ローゼンタール博士は、冬SADの患者がのちには夏SADにも悩まされ、両方の季節にうつ病になるケースもあるとしている。ただ、非常に太陽光線が豊富な環境に移らない限り、冬うつ病が消えることはあまりないという。夏SADに関する研究はほとんどなく、軽度の夏SADの数に関する信頼できるデータもない。 研究者たちは、冬SADは24時間周期を司るホルモンであるメラトニン、あるいは気分を変動させる脳内化学物質であるセロトニンが急減することで引き起こされると見ている。しかし、ローゼンタール博士は、夏SADは「これに比べて知られていることがはるかに少なく、より不可思議な状態だ」と語った。 夏嫌いの人は暑さと湿気が苦手な可能性がある。インド人508人とイタリア人862人を対象にした2012年の調査によると、インドでは冬より夏の方がうつの症例が多い。「Comprehensive Psychiatry」に掲載された論文は、インドの晩夏が非常に多湿で不快なことが理由かもしれないと指摘する。イタリア人で冬SADの兆候を示す人は、インド人より多かった。その理由はイタリアの冬の方がインドより寒く、日没がずっと早くなるためである可能性が大きい。 花粉アレルギーも要因の一つになり得る。メリーランド大学ボルティモア校の研究チームが07年と12年に行った研究によると、花粉アレルギーの人は夏SADを示す確率が高い傾向にある。 オランダ・ティルブルフ大学のヤープ・デニッセン教授(発達心理学)によると、中には発汗への嫌悪感など生理学的な要因を持つ人もいるようだ。同教授は人間の気分が昼の長さの変化に顕著に反応することを示した08年の大規模な研究論文の主執筆者だ。 季節による気分の変動は、十代の若者に最も顕著に出るようだ。驚くべきことに、ティルブルフ大学のテオ・クリムストラ助教(発達心理学)が中心となって497人の十代の若者とその母親を対象に行った11年の研究によると、4人に1人の若者が温かい晴れの日に不安や怒りを感じることが多い「夏嫌い」に分類された。 クリムストラ博士は、若者の気分には不安定な傾向がある上、一部の若者は、学校がまだ休みに入らない6月に調査を受けたため、気持ちの良い夏の日に教室にいなくてはならず、不満を感じた可能性もあるという。 ニューヨーク市在住の俳優兼コメディアンのジム・ダイラキスさんは自身の夏嫌いの理由としていくつかの要因を挙げる。暑さや湿気が苦手で、花粉で鼻がむずむずして惨めになるほか、「汗にぬれた服が体に貼り付く」のが嫌いなのだ。夏にニューヨークの地下鉄の駅に下りていくと、「悪魔の地下室のようだ」と思うという。 ダイラキスさんの体重は毎年夏に2キロほど落ちる。シャワーを浴びて、水をしたたらせながら、扉を開いた冷蔵庫の前に立たないと、食事ができない時があるからだ。彼は無理をしてジムに通って夏の倦怠(けんたい)感を拭い去るほか、年に2回のオーストラリア・パースへの里帰りを現地の秋から冬に計画する。彼は「皆は私のことをクレイジーだと言う」とし、「なぜ逆にしないのか、そうすれば一年中夏を楽しめるのに」と言われると語った。 |