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写真はイメージ/(C)日刊ゲンダイ
5人に1人の女性が悩む「骨盤臓器脱」に画期的な治療法
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/153190
2014年9月9日 日刊ゲンダイ
「骨盤臓器脱」は、子宮、膀胱、直腸など骨盤内の臓器が膣から下がり、出てくる女性の病気だ。かつては子宮脱、膀胱脱、直腸瘤などと呼ばれていた。
一般的には子宮脱がよく知られているが、出てくる臓器は膀胱が64%、直腸が22%、子宮が14%。
これら骨盤臓器脱の患者は想像以上に多く、アメリカの大規模な疫学調査では、80歳までに骨盤臓器脱または尿失禁の治療が必要な女性は5人に1人だった。
亀田メディカルセンター・ウロギネコロジーセンター長の野村昌良医師が言う。
「恥じらいから病院を受診できないでいる女性は非常に多い。ウロギネコロジーは婦人科と泌尿器科の中間に当たる科で、骨盤臓器脱や尿失禁などを診るのですが、日本ではまだ少なく、婦人科で<子宮脱は診るけど膀胱脱はここでは…>と言われたり、泌尿器科でその逆を言われたりするケースも珍しくありません」
症状は、「お腹の中が下がった感じで気持ち悪い」「ピンポン球のようなものが膣から出てきた」「股間に何か挟まっている感じがする」「イスに座ると陰部の辺りで何かが押し込まれるような感じがする」など。
「99・3%が経産婦です。出産で引き伸ばされた骨盤底は3カ月ほどで徐々に戻りますが、完全に戻らない場合もあり、それが閉経後、女性ホルモンの分泌低下で骨盤底の支えが弱くなるのが発症の原因です」
肥満や便秘、加齢も原因になる。大半は年を重ねた女性だが、中には30代という若さで発症する人もいる。
「進行することはあっても、自然に治ることはありません。膣の辺りに何かがあり、それを困る、気持ち悪いと思うなら、病院を受診した方がいいでしょう」
■再発率の低い「メッシュ手術」
骨盤臓器脱の治療は骨盤底筋体操か手術といわれている。しかし、体操は予防や軽症の人にはいいが、中等度以上の骨盤臓器脱にはあまり効果がない。だから、手術を検討することになる。
「以前の手術は子宮を取り、伸びきった膣粘膜を切って縫い縮める方法で、再発率が29〜58%と高く、体への負担が大きかった。今は、再発率が低く、子宮温存が可能で、開腹の必要がなくて体の負担が比較的軽いメッシュ手術があります。しかも、保険が適用される。過剰に手術を恐れなくていいようになったのです」
メッシュ手術は、メッシュで臓器が膣から下がったり出たりするのを防ぐ治療法だ。メッシュは体と一体化し、半永久的に骨盤内の臓器をサポートする。
膣から行う手術と腹腔鏡を用いて行う手術の2通りがある。
「膣からの場合は、膣の穴の奥の方を小さく切って、そこからメッシュを入れます。腹腔鏡の場合は、膀胱、子宮、直腸をつり上げている靭帯をメッシュを用いて再建させます」
腹腔鏡を用いる方法は後から登場したもので、より再発率が低く、痛みが少なく、術後の性交痛や違和感がないなど、メリットが多い。
しかし、年齢やこれまでの腹部手術の有無など患者の条件によって、膣から行う方法が向いていることもある。医師と相談して決めることになる。
いずれにしろ、骨盤臓器脱を一人で悩む時代では、もうない。
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