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写真はイメージ/(C)日刊ゲンダイ
脳卒中マヒに新リハビリ 「ニューロフィードバック」の効果
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/152865
2014年8月27日 日刊ゲンダイ
脳卒中によるマヒの新たなリハビリとして注目を集めているのが「ニューロフィードバック」だ。開発者の大阪大学神経内科学・三原雅史特任助教が昨年、国際的な医学雑誌「Stroke」に発表した。どういうものなのか?
脳卒中で脳細胞がダメージを受けてマヒが残ると、指や手、足が思うように動かせなくなる。これに対してリハビリが行われるが、一般的な方法は、マヒした指、手、足を、できる限り動かし、ダメージを受けた脳細胞の周辺を刺激して、活性化させるというものだ。
「ところが重症のマヒでは、手や足を動かしたくても動かせない。作業療法士の助けを借りても、なかなかうまくいかない。脳細胞は使わなければ、どんどん機能が衰えていきます。『マヒで動かない→脳細胞の機能が衰える→より動かない』といった負のスパイラルが生まれるのです。これを断ち切るのが、ニューロフィードバックです」
スポーツ選手はイメージトレーニングとして、理想的なフォームを頭の中で繰り返し描く。ニューロフィードバックもそれと似ている。
「マヒした指、手、足を動かすことを繰り返しイメージしてもらいます。それによって、手足の動きと連動している脳の運動野の脳細胞が活性化されるのです」
■脳の動きを“見える化”
ただ、「イメージ」なので、脳の必要な部分が本当に活性化されているかがはた目には分からない。さらに、実際はできないことをイメージすることは、それ自体が難しいという。
「指を動かしている“映像”を思い浮かべるのは比較的容易にできますが、それは指を動かすことをイメージするのとは違います。活性化させたい部分の脳を使えているか、きちんとイメージできているかを客観的にチェックするために、近赤外分光法(NIRS)を用いました」
患者は近赤外分光という光線を発するヘルメットのようなものをかぶり、モニターの前に座る。近赤外分光は皮膚や頭蓋骨などを透過し、ヘモグロビンなどの生体内色素に吸収される性質がある。脳は活性化すると、その部分の血液量が増える。適切に脳が活性化されていると、モニター上で棒グラフが伸びる。
「運動に関連する部分がうまく使えていないと、棒グラフは伸びません。つまり、活性化させたいと思っている脳の部分を使えているかどうかが、棒グラフの伸びで明らかに分かるのです」
三原医師は、マヒがある脳卒中後3カ月の患者20人を対象に実験を行った。10人ずつ2グループに分け、一方は脳の働きに応じて棒グラフが表示される方法(脳の働きを客観的にチェックできる方法=A)、もう一方は脳の働きとは関係なく棒グラフが表示される方法(脳の働きを客観的にチェックできない方法=B)で、週3回2週間、マヒ部分を動かすイメージを持ってもらった。すると、A群の方が、B群より指と手の動きの機能改善が上だった。
「14点満点中、Bは平均1〜2点でしたが、Aは3〜4点でした」
マヒした指などをうまくイメージできるようになるまで時間がかかる人もいるが、逆上がりと同様にコツをつかめば後は簡単だ。
「現在は、脳卒中のリハビリで入院中の患者さんにご希望で行っていますが、ゆくゆくは外来でも行う予定です」
近赤外分光を発する機械が必要なので、まだ広く普及しているわけではないが、それも遠い先のことではないだろう。
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