介護労働安定センターは8月11日、「平成25年度介護労働実態調査」の結果を公表した。介護サービス従事者の不足を感じている介護保険事業所は全体の56.5％に上った。前年度の57.4％からわずかに（0.9ポイント）改善したが、依然として人手不足に悩む事業所が多いことが分かった。

　調査は、介護保険サービスを手掛ける事業所（回答数7808カ所）と介護従事者（1万8881人）に対して実施。2012年10月から2013年9月末までの状況を主に調査した。介護従事者の過不足状態を事業所に尋ねたところ、「大いに不足」が5.7％、「不足」が19.8％、「やや不足」が31.0％となった。一方で、「適当」と回答した事業所は43.0％にとどまった。

　不足している理由については、「採用が困難」が最も多く68.3％、次いで「事業を拡大したいが人材を確保できない」が19.3％、「離職率が高い（定着率が低い）」が17.5％だった。「採用が困難」な理由としては、「賃金が低い」が55.4％、「身体的・精神的に仕事がきつい」が48.6％、「社会的評価が低い」が34.7％、「休みが取りにくい」が21.5％などとなった。

　離職率（2012年10月〜2013年9月）は、前回より0.4ポイント改善して16.6％。ただし、離職者のうち就労期間1年未満の人が39.2％、1年以上3年未満の人が34.0％を占め、短期間での離職者が依然として少なくないことが表面化した。

　介護サービス事業を運営する上での問題点としては、「良質な人材の確保が難しい」が54.0％、「今の介護報酬では人材確保・定着のために十分な賃金を支払えない」が46.9％、「指定介護サービス提供に関する書類作成が煩雑で時間に追われている」が30.7％に上った。

　これに対して、介護従事者に今の仕事の継続意志を尋ねた調査では、「働き続けられる限り」と回答した人が54.9％に達した。ただ、働く上での悩みや不安の具体例として、「人手が足りない」（45.0％）、「仕事内容のわりに賃金が低い」（43.5％）、「有給休暇が取りにくい」（34.5％）などを挙げる人が多く、介護業務に携わる中で就労意欲を継続していくことに難しさがあることがうかがえる。

　若年層の減少による人手不足の影響は、一般企業で表面化しつつある。牛丼チェーンの「すき家」を運営する（株）ゼンショーホールディングス（東京都港区）は8月6日、人手不足による店舗の休業が相次いだことなどから2015年3月期の業績予想を下方修正した。介護業界でも今後、こうした人材不足の影響が徐々に強まる可能性がありそうだ。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201408/537930.html 　

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