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※日本人間ドック学会の資料より抜粋。従来(専門学会の基準)の血圧は日本高血圧学会の数値
血圧「新基準」で医療現場の混乱続く 患者から「薬やめたい」戸惑いの声
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140715/dms1407151820009-n1.htm
2014.07.15 夕刊フジ
血圧をめぐる「新基準」で医療現場が混乱している。日本人間ドック学会がまとめた高血圧に関する数値の新基準が、従来の目安より大幅に緩かったことが発端だ。高血圧は脳卒中や心筋梗塞(こうそく)を誘発するリスクが高い生活習慣病のため、日々数値をチェックする中高年は多い。それだけに悩む患者からは「降圧剤を飲む必要はあるのか」「そもそも高血圧ではないのでは」との戸惑いの声は広がる。新基準の登場で降圧剤はやめられるのか。
906万7000人(厚生労働省調べ、以下同)。日本の人口で約13人に1人が悩む高血圧。放っておくと脳卒中や心筋梗塞、腎障害など生死に関わる合併症を引き起こし、同じ生活習慣病の糖尿病(270万人)、高脂血症(188万6000人)の患者数と比べてみても断トツに多い国民病だ。
自覚症状がほとんどないことから別名「サイレントキラー」と呼ばれ、原因は塩分の取り過ぎや運動不足、遺伝などさまざま。治療は降圧剤を飲み続ける対症療法が取られ、特効薬のようなものはない。
降圧剤も薬である以上、副作用があり、費用もかさむため、誰もが食事療法や運動で改善しようと試みるものの、なかなか正常範囲に戻らないことから、マス媒体でも永遠のテーマのように取り上げられている。
「そんなところに数値の目安が緩和された新基準が出たものだから、注目を集めるのも当然だった」というのは医療関係者の1人。
日本人間ドック学会と健康保険組合連合会(健保連)が発表した血圧などの新基準は、悩む患者たちにとって確かに衝撃的な内容だった。
特に血圧は、これまで採用されてきた日本高血圧学会の正常範囲、上(収縮期)が139、下(拡張期)は89までが、新基準では上が147、下は94にまで広がった=表。
大幅に緩くなったことで話題が集まり、数値が独り歩きし、医療現場では、患者から「薬を止めたい」「自分は新基準では健康体だから薬をやめて構わないか」との疑問の声が上がるほか、「薬を独自に判断して勝手にやめてしまう人がいる」(先の医療関係者)など混乱が続いている。
結論から先に言うと、新基準の数値を基に降圧剤の服用を止めたり、高血圧ではないと判断したりするのはやめた方がいい。
都内の開業医は「新基準は、合併症のリスクとの関係が全く評価されていない。現時点では従来の基準や他の学会のエビデンスに基づいたガイドラインに沿って治療するのが最善だ」と断言。
別の都内の開業医は「新基準は、高血圧学会等が行った10年ほど経過を見て、10年後の治療成績から至適血圧(理想的な血圧値)を判断したものではない。現在、見かけで正常値(=新基準)であっても、10年後に大丈夫かという判断の材料にはならない」と力説する。
大阪市内の基幹病院の内科医も「いままで通り降圧剤を飲むべきだ。新基準は、超健康人のデータで予防医学的な考えが入っていない」。3者とも合併症のリスクを考慮していない点を危ぶむ。
そもそも人間ドック学会は、どのような調査でこの数値を導き出したのか。
同学会の『新たな健診の基本検査の基準範囲 日本人間ドック学会と健保連による150万人のメガスタディー』によると、約150万人の人間ドック受診者から健康人を定義づけて約34万人を抽出し、最終的に選んだ「超健康人」約1万〜1万5000人の検査値から基準範囲を求めたという。
超健康人の現時点の数値を分析したもので、健康ではない層は除かれている。しかも、その超健康人を将来にわたって調査したものではないため、長期間追跡して結果を反映した従来の学会の数値と、同じ土俵で比べることはできない。
キッコーマン総合病院(千葉)の院長代理で内科医の三上繁氏は、「人間ドックの新基準は、これまで医療機関ごとに基準範囲が異なっていたことから、統一するための第一歩として調査、発表したものだ。すべての検査に異常がなく、飲酒は少量、喫煙もしない厳選された健常者の検査値を基に算出されている。マスコミもそのへんの実態をよく把握して報道すればよかったが、数字だけが独り歩きして混乱を招く結果になった」と解説。
「人間ドック学会も、『今回の値で基準値範囲になったからといって治療を受けなくてよい、薬を中止してもよいということではありません。自己判断せず主治医と相談してください』とのコメントを出している。患者は将来のリスクを見据えた対応が必要」と従来通りの治療を勧める。
高血圧は、治療が長期に及ぶため、治療そのものが日常生活の一部に溶け込んで認識が薄くなりがちでもある。
医療ジャーナリストの長田昭二氏は「臨床現場に混乱が生じたが、あえて好意的にとらえれば、漫然と治療を受けてきた医療消費者が『自分の受けている治療は何の意味があるのか』という意識を向けるきっかけにはなった」と語る。
これを契機に正しい知識を再確認してみてはどうだろうか。
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