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「無駄な医療撲滅運動」の衝撃 医療費抑制も期待、現在の医療行為を否定する内容も(Business Journal)
http://www.asyura2.com/14/iryo4/msg/202.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 7 月 14 日 07:10:25: igsppGRN/E9PQ
 

「無駄な医療撲滅運動」の衝撃 医療費抑制も期待、現在の医療行為を否定する内容も
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140714-00010002-bjournal-bus_all#!bei8J9
Business Journal 7月14日(月)3時0分配信


 筆者は6月、『絶対に受けたくない無駄な医療』(日経BP社)という書籍を上梓した。2014年現在でも進行中の、米国の医学界による「無駄な医療撲滅キャンペーン」の動きを、日本で初めてまとめた。その内容は本書出版まではほとんど日本では知られていなかったが、日本にとっても無視できない動きだと考えている。米国流を礼賛する意図はないが、米国の“良いとこどり”は賢明な選択だ。

 6月にスタートした出版連動連載の記事『米国医学会が出した「衝撃のリスト」』(日経ビジネスオンライン)が同サイト週間アクセス数トップとなり、人々の医療への関心の高さををあらためて認識する一方、フェイスブックのシェアが10日間で1万7000件まで広がり、ネット上での記事拡散範囲も医療界から学界、行政、経済界など幅広く、関心の幅の広さも興味深い。

 そこで今回は、米国で始まった無駄な医療撲滅運動をめぐる裏話を紹介しつつ、手加減のない米国流キャンペーンの背景に何があるのかを探ってみたい。日本の医療政策、医療事業を考える上でも参考になるはずだ。

●「無駄な医療」をおよそ250項目列挙

 前出の「衝撃のリスト」が強い関心を集めた理由は、世界的地位のある米国医学会が無駄な医療を認定しているため、信憑性を伴っているからだ。世界の医師が模範とする医学会が団結して公表しているという点が重要だ。米国の医師約60万人のうち8割に当たる約50万人が、所属学会を通してこの「無駄な医療撲滅運動」に参加している。この運動は、「Choosing Wisely(チュージング・ワイズリー)」と呼ばれており、興味深い動きであるにもかかわらず、日本でほとんど知られていなかったのは、英語や専門性の壁のほかに、日本で公然と行われている医療行為を無駄だと示している事例もあるため、進んで紹介しようという人がおらず、既得権の壁のようなものもあったのではないか。
 
 米国内科専門医認定機構財団(ABIM財団)という非営利組織が中心となり、米国に複数存在する医学会に呼びかけ、無駄な医療を挙げている。13年の段階で参加する医学会は71団体を数え、50学会が約250項目を挙げるところまで拡大した。その内容はインターネット上で無料で全項目公開している点が重要だ。誰もが簡単に無駄な医療の中身を見られるようになっている。

 「ピルをもらうのに膣内診は不要」
 「じんましんができても検査をするな」
 「中耳炎で抗菌薬を飲むな」
 「超高齢者にコレステロールは無用だから使うな」

など、日本では一般的に行われているような医療行為についても、不要だと認定されているものもある。

 筆者がこの米国医学会の動きを知ったのは、13年夏頃、米国不整脈学会が無駄な医療を数え上げていることを知ったのがきっかけだったが、当初は「衝撃のリスト」の持つ価値に気づかなかった。日本にとっても実はかなりのインパクトのある内容を、淡々と落ち着いた文面で発表していたためだ。例えば、前出の「超高齢者にコレステロールを使うな」「じんましんで検査するな」というような内容は、日本で多くの医療機関が手掛けている医療行為を否定する内容になる。そのため、その内容の重要さに時間をかけて気が付き、日本では間違いなく賛否を呼ぶ内容だと想像できたので、和訳して世に問うてみようと思ったのが冒頭の自著出版のきっかけとなった。

●日本の医療界にとっても有益

「衝撃のリスト」が良いのは手加減がないところだ。日本でも患者向けに医療行為を説明するものはあるが、わかりやすく解説しようとするあまり、内容が平易すぎて専門性の低い内容に陥りがちだ。病気の当事者に近づけば近づくほど、細部を知りたくなるものだ。「衝撃のリスト」を見ていくと、前述のような比較的、理解しやすい項目だけではなく、次のように専門性の高い項目も並んでいる。

 「コルポスコピーは、子宮頸がんの経験がある場合も安易にしない」
 「糖尿病では、スライディングスケール法を用いて血糖値を管理しない」 
 「抗核抗体の関連検査は安易にしない」
 「ぜんそくの診断ではスパイロメトリーを使って」
 「アレルギー検査に非特異的IgE検査、IgG検査は避ける」
 「『いきなり手術』はご法度」

 これらはすべて病気の当事者にとっては切実な問題になっており、無駄な医療行為の項目はまだまだ拡大中である。

 繰り返しになるが、米国の「衝撃のリスト」は、日本の患者にとっては診断、治療、予防の選択肢を考える上で非常に役に立つ。さらに、健康保険関係の団体などにとっても、保険料をかける価値のある医療を検討したり、国や地方自治体が医療政策を考える上でも重要になってくる。
 
●背景に医療費高騰という問題

 では、米国医療界はどのような動機で、このようなリストを作成・発表しているのだろうか。

 まず、大きなきっかけとなったのがオバマケアだ。従来、米国では約5000万人もの無保険者がおり、医療機関での診療を容易に受けられない状態にあった。オバマケアは、こうした状況を大きく転換して、日本のような国民皆保険を実現しようとする動きだ。しかしこれは、低所得層の医療利用が進む半面で、日本をはるかにしのぐ総額約300兆円に医療費が増大する可能性があるため、米国は医療費の抑制にも動く必要に迫られている。医療提供者にしてみれば、医療費抑制の動きの中で、本当に必要な医療行為にまでカネが回ってこなくなるのは避けたい。そこで、無駄な医療行為に流れるカネの流れを断ち、必要な医療行為にカネを回しやすくする環境をつくりたいという意図があると考えられる。

 このほかには、米国で進行する「self-referral(セルフリファラル)」という問題への批判に応えようとする意図があると思われる。「医療界が自分だけの尺度で医療行為の意義を判断して実施するのはまかりならない」という批判だ。ある検査を行う際、医療を施す側のみの判断で検査を増やすと、本来は無意味な検査が実施され、「やりすぎ」になる恐れがある。米国では、医療界に対して、医療界の外の尺度も踏まえて、医療行為の価値を判断するように求める動きが広がっているのだ。これにより、米国の医療界には自らが推進しようとする医療行為について「なぜ必要なのか」を説明する責任が生じるようになっている。

 以上みてきた動きは、日本の医療界にとっても決して無関係ではない。米国同様に日本の医療界の内側からも、無駄な医療撲滅運動が出てくる素地はある。ちなみに、すでに欧州など米国外にも同様の動きが広がっており、日本国内の今後の動きが注目される。

室井一辰/医療ジャーナリスト


 

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コメント
 
01. 2014年7月22日 12:40:27 : nJF6kGWndY
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/hai/201407/537485.html
コラム: 裴 英洙の「今のままでいいんですか?」
年収は1293万円よりも上ですか?下ですか?
2014/7/18

 当社が関わっている医療機関でのコンサルティングの大半は「経営の立て直し」だ。地域にとって必要な医療機関をさらに伸ばすことや、存続させることを最優先事項としている。その際には、当然、売上や利益の拡大に向けてあらゆる方策を考えて実行し、経費で削れるものはどんどん削減していく。経営を通して患者に必要とされる医療機関を創っていくためだ。経費の観点から見てみると、医師の方々には言いにくいが、聖域でもある医師の年収も見過ごすことができなくなる。

 日経メディカルオンラインの調査によると、2013年の勤務医(840人、平均年齢45.6歳)の平均年収は1293万円だという。外勤など副収入を合わせると1477万円にも上る。興味深いのが「今の給与に不満」と答えている医師の年収は1199万円で、希望年収額は1844万円という点だ。「かなり不満」と答えた医師の年収は902万円で、希望年収額は1688万円だという。それぞれ、現実と理想のギャップは645万円、786万円となる。

 ちなみに、2013年に国税庁が発表したデータでは、平均的な労働者の年収は約409万円、平均的な1世帯当たりの所得金額は約550万円だ。もちろん、医師の仕事は責任も重くハードワークなことも多いため、日本人の平均年収と同じ土俵上では比べられないだろう。

 経営支援をしている際に、医師の給与にメスを入れるのは至難の業だ。ある病院では、年収を100分の1(12〜15万円)下げただけで医師がごそっと辞めたという話を聞いたことがある。

 とはいえ、医療機関経営が厳しい状況で「もっと給料を増やしてほしい」という医師からだけの声に気軽に応じるわけにはいかない。医師以外の医療機関での勤務者の中には、年収300万円で昼も夜もなく働いている人たちもいる。医師の給与を下げ、医療機関で働いている人全体の底上げを図りたい思いもある。しかしながら、モチベーションが下がったことで医師が1人辞めれば、それを埋めるために他の医師たちに荷重がかかり、退職者が続いてしまう「負のスパイラル」が起こる。そうなると、医療機関の存続さえ厳しくなる。うむ、本当に難しい問題だ。自分で書いていても持病の片頭痛が出てくるくらい、医師の報酬は頭の痛い問題なのだ。

医師は本当に高い年収を望んでいるのか?
 そこで、医師から「もっと報酬を上げてほしい」「このままでは退職も仕方がない」という要望や不満が挙がっている現場に介入する際、まず私は詳しく話を聞くことにしている。すると、かなりの割合で「もっと報酬を上げてもらわないと困る。医師に2人欠員が出た分、以前の倍以上忙しくなった。同期の医師と比べて仕事量は多いのに年収が低いのは納得がいかない」といった話が出る。

 立ち止まって考えると、ここに解決策を探るキーワードが実は二つある。「忙しい」と「同期に比べて」だ。実は、不満の原因は年収だけでなく、これらが大きく関与している可能性を無視できない。医師はピアプレッシャー(同化圧力)を重要視し、同期や仲間との横並びを好む傾向がある。「○年卒」「卒後○年」という言葉に思った以上に縛られている可能性が高い。また、忙しさに対して、報酬も含め経営陣から何らかの形で(同期と同じかそれ以上に)認めて報いてほしいのだ。

 例えば、忙しさを緩和するのであれば、例えば医師に専属クラーク(医療秘書)を付けてもいい。日常の事務雑務や患者さんへの応対・声掛けなどをお願いすることはできる。当然、医療クラークの人件費はアップするが、先ほどのデータのように600〜700万円もかかることはないだろう。

 また、「同期に比べて」という言葉に関しては、もしかすると、同期の医師たちの職位・職階が自分より上がり、肩身が狭い思いをしている可能性がある。それであれば、新たにポストを作るか肩書きを作ることで納得がいく可能性もある。年収が下がっても肩書がつくのなら納得する人が一定数いるのは、たくさんの医師を見てきて得た感想だ。このように医師が年収を口にする背景には、実は「忙しさの緩和をしてほしい」あるいは「年齢に相応の肩書きがほしい」というサインが隠れていることもあるのだ。

年収による満足度の限界
 収入と幸福度の関係を調べたブリティッシュ・コロンビア大学のエリザベス・ダン准教授によると、収入が増えるにつれて幸福度は上がるが、年収7万5000ドル(約750万円)を超えると幸福度はほぼ上がらなくなるそうだ(2010年プリンストン大学、45万世帯のアンケート)。つまり、医師の年収を幾分だけアップしたところで、実はその幸福度はそれほど上がっていない可能性もあるのだ。

 もう一つ、医療機関経営にとって重要なことは、医療資源は有限だということだ。医療機器、医薬品もそうだし、人的資源である医師や看護師、コメディカルにも限りがある。限られた資源の中で、報酬も含め適切な配分をしなければならない。限られた資源の中で、効率良く多くの人たちを救うことが医療機関の使命だ。全ての医師や医療職の報酬を上げてあげたい気持ちはあるが、ほかにも使うべきところは多くある。限られた資源の中で医師のやる気を出し、医療機関を発展・存続させていくのが医療機関経営の難しいところだろう。

 と、ここまで書いて、隣で原稿を見ていた社員が身を乗り出してきた。

 「社長、我が社も資源が限られていますよね。『報酬を上げてくれ』とは言いません。ただ、その“限られた資源”は、今晩おいしい焼き肉を食べると仕事が頑張れそうです」と耳元でささやかれた。

 医療機関経営だけでなく、どうやら私の頭痛の原因はここにもあるようだ。
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