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治療も薬もやめたい…「血圧147正常」で混乱する医療現場〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140605-00000000-sasahi-hlth
週刊朝日 2014年6月13日号より抜粋
日本人間ドック学会などが発表した「血圧147」が波紋を呼んでいる。この騒動の内容から疑問の解決まで、現役の高血圧治療医らへ取材した。
* * *
「『自分は上が147以下だから治療をやめたい』と言う高血圧の患者さんが今日も診察に来ました。高血圧に伴う脳梗塞もある方です。あなたは治療しないと危ないと言ってどうにか納得してもらいましたが、数値が独り歩きしていて、非常に危ない状況です」
高血圧治療を専門にするある医師はこう嘆く。いま、医療現場では高血圧の数値をめぐって大きな混乱が起きている。
きっかけは、4月4日に日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が発表した「新たな健診の基本検査の基準範囲」だ。過去に人間ドックを受診した約150万人のなかから、肥満や持病がなく、たばこを吸わないなどの条件を満たした「スーパーノーマル(超健康)」な人、約1万〜1万5千人を抽出。血圧、血糖値、コレステロール値など計27項目を調べたものだ。
その結果、血圧については、基準範囲の上限が、147/94(初めの数値が上の血圧、次の数値が下の血圧、単位はmmHg、以下同)。「高血圧治療ガイドライン2014」では、140/90以上が高血圧の診断基準なので、上の血圧はそれより7mmHg高いことになる。さらに血圧以外の項目でも、これまで「治療の必要がある」とされてきた診断基準の数値と比べ、総じて“ゆるい”数値が示されたのだ。
人間ドック学会の数値が報道されると、「正常の範囲が広がった」と受け止められた。「自分は高血圧ではない」と考え治療をやめたいと言いだす患者や、薬を勝手にやめてしまう患者も出てきた。
人間ドック学会には医師からの問い合わせが殺到した。その後、「今すぐ学会判定基準を変更するものではない」「『健康』とされる範囲を緩和した新基準を発表したかのような一部報道は事実誤認」とホームページで表明するなど、騒動の火消しに追われた。
診療側の学会も相次いで声明を出した。日本高血圧学会は、「人間ドック学会の『正常』の一部には、『要再検査、要治療』が含まれていると理解するのが正解」と指摘。同学会学術委員長で大阪大学大学院老年・腎臓内科学教授の楽木宏実医師は、「血圧を下げるべき人への生活習慣修正の指導もされなくなってしまい、血圧のさらなる上昇と将来の心血管病発症の危険が増加する可能性がある」と心配する。
ついに5月21日には、日本医師会が「多くの国民に誤解を与え、医療現場の混乱を招いている実態に鑑みても、『拙速』と言わざるを得ない」と、人間ドック学会の対応を厳しく批判する事態にまで発展した。
「147」という数値をどう理解したらいいのか。臨床研究適正評価教育機構の理事長で、東京都健康長寿医療センター顧問の桑島巌医師は、「正常範囲が広がったと理解するのは正解ではない」と指摘し、人間ドック学会、高血圧学会の数値の違いをこう解説する。
「人間ドック学会の数値は、現時点で健康と考えられている人の血圧の分布範囲。つまり将来、脳卒中や心筋梗塞を発症する可能性には言及していません。一方、高血圧学会の基準値は、脳卒中や心筋梗塞を予防するうえで、どのレベル以上だと危険かということを示した数値なのです」
高血圧の恐ろしさは、放置すると動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞といった命にかかわる病気を引き起こすことにある。高血圧学会の数値は、将来これらの病気が起こる危険性を考慮している、というわけだ。
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