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2021年7月3日 07時04分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/114332?rct=hissen
多くの批判を浴びた政治家であっても、訃報となれば、筆の先が幾分かは優しくなるのが普通である。反対に鋭さを増したような記事に、はっとさせられた。「国防長官の死を悼むな。その犠牲者を悼め」▼ドナルド・ラムズフェルド米元国防長官の死に際し、米ニュースサイト「デーリービースト」が掲載している。中東のテレビ局アルジャジーラの電子版などは「戦争犯罪人」と呼んだ中東の活動家の声を紹介しながら、死去を報じた▼「ネオコン」と呼ばれた新保守主義者からの支持を受け、イラク戦争を推し進めた。強硬路線の米国を象徴する人物であろう。開戦の理由にした大量破壊兵器は結局、見つからず、その後の泥沼化、刑務所での捕虜の虐待問題などでも、責任を問う声が向けられた▼知性的で実直な人であったようだ。もっとおとなしい筆致で、人がらや功績にふれている記事もたしかにある。半面、国防長官の職を退いてから、約十五年にもなる人物に対して、「許せない」という思いが米国にも中東にも衰えずに存在していることも、いくつかの報道は気付かせる▼米国はその後、「世界の警察」の座からは降りたようである。トランプ政権の一国主義の時代を経ると、強硬路線の時代は、少し遠い過去にも思えてこようか▼米国が行ってきたことと、大きな揺れをあらためて考えさせるタカ派の死である。
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