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愛と平和のボノボ セックスの神様
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投稿者 BRIAN ENO 日時 2019 年 1 月 04 日 22:03:37: tZW9Ar4r/Y2EU QlJJQU4gRU5P
 

これまでお伝えしてきたボノボの性行動以外に、飼育下の観察では、
さらに驚くべきボノボの多様な性行動が見られます。

■チンパンジーにも、けんかの仲直りに抱き合ってキスをすることが
観察されていますが、これはプラトニックなキスだとドゥヴァール
(2000『BONOBO』)は言っています。ボノボでは、一方が口を開いて
相手の唇にくっつけ、舌を触れ合わせることもあるという「フレンチ
キス」が見られます。

■飼育下のボノボでは、「マスターベーション」も観察されており、
主に若いオスとおとなのメスが行うのだそうです。マスターベーショ
ンに社会性が加わった行動として、性器のマッサージも見られます。
これは、おとなのオスが若いオスに行うのがほとんどで、若いオスが
勃起したペニスを見せると、おとなのオスが手で握って愛撫するのだ
そうです。

■さらに驚くべき行動は「オーラルセックス」、すなわち「フェラチ
オ」です。この行動は、主に子供の遊びの中で見られます。追いかけ
っこやレスリングの合間に見られます。遊びの一部という感じなので
しょうか。

■以上に挙げた性行動は、野生の研究では観察されていません。しか
し、25年にわたりフィールド研究を行ってきた加納隆至(京大名誉教
授)はこう述べています。「霊長類などの高等な動物になると、その
背後に多様な行動や能力を隠し持っている。それらの行動や能力は不
要なのではなく、環境からの要求があればすぐにでも出てくる、いわ
ば出番を待っているだけなのだ。」

■このように、ボノボの見せてくれた性行動は、私たち人間の性の進
化を考える上で必要不可欠なものといわざるを得ません。繁殖とは離
れた、そして、私たち人間と同じ、あるいはそれ以上の多様な性行動
は、ボノボが非常に高等な類人猿であるという証拠であると共に、い
かに人間と近い存在であるかを教えてくれました。

■このようなボノボの性行動を紹介すると、ボノボが異常なまでに性
欲の強い動物だという印象を持たれると思いますが、実際にボノボを
見たことのある方(もしくはビデオ等でも)なら納得されると思いま
すが、それほどエロティックなものではありません。実に自然に、生
活の一部として行われています。サンディエゴ動物園のボノボでは平
均で1時間半に1回の割合で性行動が見られたようです。チンパンジー
になると、7時間に1回。野生のボノボでは、特に餌場などの個体が
密集する特殊な場面以外では、もっと頻度は低くなると予想できます。
交尾の時間も、人間と比べるとずっと短く、サンディエゴ動物園では
13秒、ワンバ(コンゴの野生研究が行われている村)では15秒と
あります。ボノボは「コミュニケーション」として性行動を用いると
いうのが、最もしっくりとくる気がしますが・・・。

【参考文献】

●『BONOBO −ヒトに最も近い類人猿ボノボ−』 
(2000/TBSブリタニカ)
著者:フランス・ドゥ・ヴァール
写真:フランス・ランティング
監修:加納 隆至
訳者:藤井 留美


●ご意見ご感想はこちらまで● (c) 鴨志田晃子
●和光大学ボノボプロジェクトHP● http://www.wako.ac.jp/~itot/bonobo/
Created: Nov.14, 2001. Last modified: Nov.14, 2001.

http://www.wako.ac.jp/~itot/bonobo/mag10.htm
 

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